ガルウェイのインナーゲーム理論

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リンク Wikipedia インナーゲーム インナーゲーム(inner game)とは、勝負において、競技者の外側の世界で実際に行われるアウターゲーム(outer game)に対して、競技者の心中で行われるもうひとつの勝負のこと。テニスコーチのティモシー・ガルウェイが、レッスンを通して考案し、1974年に著作 "The Inner Game of Tennis" の中で発表した考え方。ガルウェイは、心の中のインナーゲームに勝つことが、アウターゲーム(実際の勝負)に勝つための近道であるとしている。 ガルウェイは、ヒューマンポテンシャル運動の中心地エサ 20 users 34
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

スポーツ心理学の歴史を振り返ると、スポーツなど緊張した場面でベストパフォーマンスを出す秘訣が見えてきます。 今日はその大本と言われる、46年前(1974年)に発表された「インナーゲーム」の話をシェアしますね。 いわゆる「ゾーンに入る」についても触れており、興味深い内容です↓

2020-09-30 20:30:48
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

コラムに入る前に。 今回の内容は「インナーゲーム」の内容の紹介が8割と、それを踏まえた僕なりの考察が2割です。 インナーゲームについて詳しい方には、あまり新鮮味がないコラムだと思うので、見ないでも良いかもです笑 それでは始めます!

2020-09-30 20:31:41
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

本日のコラムの目次 ①インナーゲームについて ②スポーツ時には「2人の自分」が存在する ③緊張の中でもパフォーマンスを発揮するには ④日常でできる訓練法 順番に解説していきますね〜

2020-09-30 20:32:11
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

①インナーゲーム まず、インナーゲームの成り立ちを少しだけ。 インナーゲームというのは、アメリカのティモシー・ガルウェイというテニスコーチが、レッスン中に発見した理論になります。 1973年、つまり46年前の内容なのですが、これが後にスポーツ心理学の元になったと言われています。 pic.twitter.com/Nfil5lqt67

2020-09-30 20:33:31
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

彼が提唱したインナーゲームというのは、 「スポーツ中は常に、実際に行われているゲームとは別に、競技者の中で自分vs自分の葛藤(勝負)が行われている」という主旨。 彼は前者をアウターゲーム、後者をインナーゲームと呼び、ベストパフォーマンスを出すには後者に勝利することだと提唱しました。

2020-09-30 20:34:21
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

当時はただ彼が言い出した独自の理論だったのですが、年々研究が重ねられ、今では様々なスポーツや音楽、ビジネスなんかにも応用されるようになりました。 (実際、様々な方面で書籍化されてます) そしてインナーゲームは、この 「スポーツ時には二人の自分が戦っている」 から物語が始まります。 pic.twitter.com/Kl9RSSgWVx

2020-09-30 20:35:42
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

②スポーツ時には二人の自分がいる プレー中にミスをすると「このバカ!なんで!」と言ったり、大事な場面で「失敗したらどうしよう」と頭に浮かぶことは、誰にでもあるかと。 では、これは一体誰が誰に言っているのか? 答えは「自分が自分に言っている」。 これこそが「二人の自分」の正体です。 pic.twitter.com/H7FNtrdqgz

2020-09-30 20:37:52
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

この「二人の自分」をガルウェイは「自分の頭」と「自分の体」に分類し、それぞれセルフ1、セルフ2と名付けた。 つまり、スポーツ中には常に自分の頭(セルフ1)が自分の体(セルフ2)に対して何か話しかけている、という解釈になります。 pic.twitter.com/aLK3UAWa34

2020-09-30 20:38:21
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

ガルウェイいわく、セルフ1(頭)とセルフ2(体)には、それぞれ特徴があり。 セルフ1(頭) ・自分自身はプレーできない ・セルフ2のプレーの良し悪しを判断したがる ・セルフ2を言葉で罵る セルフ2(体) ・高いポテンシャルを持っている ・自分自身でプレーし、その感覚を感じ取れる

2020-09-30 20:39:05
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

例えば、あなた自身をひとつの「会社」とした場合、 セルフ1=部下の揚げ足をとり、文句ばかり言う無能な上司 セルフ2=純粋で有能な部下 と言い換えることができます。 当然、無能な上司に文句ばかり言われていると、部下がいくら有能でもパフォーマンスは期待できません。 pic.twitter.com/dxKQdT3I0E

2020-09-30 20:39:41
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

ですが皆さん知っての通り、 実際にプレーするとどうしてもセルフ1(無能な上司)に罵倒されることが多くなりますよね。 (何やっとんねん!◯ね!みたいな) 優秀な部下に全て任せとけばいいのに、自分では何もできないのに罵って足を引っ張ってしまうのがセルフ1ということになります。

2020-09-30 20:40:30
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

しかし、セルフ1も2も「あなた自身」なので、当然どちらかを捨てることはできません... なので理想は、 『無能な上司であるセルフ1には黙って見守ってもらい、優秀なセルフ2にのびのびプレーしてもらう』 のを目指すべき、となります。 これこそが、インナーゲームの目指すところとなります。

2020-09-30 20:40:56
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

・セルフ1(頭)は黙って見守る ・セルフ2(体)はのびのびとプレーしてる これがベストパフォーマンスを生む状態なのですが、ではどうすればこの状態を作り出すことができるのか? それも、緊張する場面で? ガルウェイはこれに対し、 「今、ここに」 が最大のポイントであると考えました。

2020-09-30 20:41:44
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

③緊張の中でもパフォーマンスを発揮するには 皆さんが知りたいのは、 「大事な試合の大事な場面で、パフォーマンスを発揮するにはどうすればいいか」 だと思います。 インナーゲームでは、セルフ1(頭)を深く理解することが重要だと説いています。

2020-09-30 20:42:44
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

特徴として... セルフ1は判断(judgment)が得意といわれます。 一方セルフ2は、純粋に感覚を感じ取るのが得意。 例えばピッチャーが「ボール球」を投げた時の反応は、 セルフ2(体)→「この感覚で投げると、◯cmボール玉になるね」 セルフ1(頭)→「外したやんけクソが!ボケカス!」

2020-09-30 20:43:41
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

そして、セルフ1がjudgmentするのは共通点があり、 「なんでミスしたんだ!」 「次もしミスしたらどうしよう」 「あの選手は自分と比べると…」 「周りは自分のことをどう思ってるのか…」 など、全て 『今ではないこと』 『ここにないこと』 なんですね。 つまり、過去や未来、他者などです。

2020-09-30 20:44:17
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

これが、インナーゲームの中で最大のキーワードと言われる部分で 、 原本では 『now and here(=今ここに)』 と書かれています。 つまり、 「今ここにある何かしらの感覚に意識を傾ける」 ことができれば、セルフ2が優位となり、セルフ1が黙って見守ってくれる、という理屈です。

2020-09-30 20:45:20
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

抽象的な話なので、僕の現場経験も合わせてお話ししますね。 実際に僕がサポートしていた選手で、非常にプレッシャーのかかった場面に強い選手がいました。 その選手に、 「緊張した場面で何考えてんの」 って聞くと、 『いつも通り、ボールを捉える時の感覚をイメージする』 って答えたんですね。 pic.twitter.com/3CWVZO4Aso

2020-09-30 20:46:04
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

まさしくこれが、「今ここに」集中することであり、インナーゲームの理想と考えられています。 この「感覚」というのはガルウェイ曰くなんでも良く、自分の体の使い方に意識を向けるもよし、球技ならボールを捉える感覚に意識を傾けるでもよし。 「自分が信頼できる感覚」であれば良いとのこと。

2020-09-30 20:46:22
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

僕が感じているのは、緊張する場面でパフォーマンスを発揮できる選手ほど、 何かしらの『確固たる感覚』を持っているんですね。 これは以前僕が運動学習のコラムであげた「自動化段階」を経て、「感覚を探す旅」に入ってる、という話と繋がるかも↓ twitter.com/physio_tennis/…

2020-09-30 20:47:43
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

運動は自動化していくほど、その感覚は磨かれ続ける。 cm単位だったのがmm単位に、そしてコンマ数mmへと。 なので③自動化段階を僕は、 「感覚を探す旅」 とも言える。 あと自動化は疲労が少ないことが条件とされる。 身体的疲労があると自動化された運動も意識的な運動に切り替わってしまう。

2018-09-23 21:02:05
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

一方で、緊張した場面でどうしてもパフォーマンスが落ちてしまう選手もやはりいます。 こうした選手の多くは、普段から自分の感覚に意識を傾けないというか、どちらかというと目の前の結果を気にしてしまう(うまくいった、ミスしたなど)タイプが多かったです。

2020-09-30 20:48:18
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

なので、緊張した場面でのパフォーマンスをインナーゲームの観点から考えると「メンタルの良し悪し」より、普段から作り上げて来た確固たる感覚があるかどうかが重要ということですね。 (無論、これが全てではないですが)

2020-09-30 20:48:52
西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

また、ここまでの話でトレーナーやPTの方はピンと来たかもしれませんが。 セルフ1の正体は主に大脳皮質の高次脳機能であり、セルフ2は大脳運動野,感覚野から始まる小脳系回路であると考えられています。 スポーツはコンマ数秒の世界なので、セルフ2の回路が優位になる方が良いのは頷けますね。 pic.twitter.com/GfmNRsTjOw

2020-09-30 20:49:16
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西川 匠🌏鰹BAR for Sports @physio_tennis

④日常でできる訓練法 さて、最後にベストパフォーマンスを出すための練習について僕なりの意見を解説します。 繰り返しですが、セルフ1が黙るには 「judgmentをしないこと」 が最重要で、そのためには『今ここに意識を傾ける』ことです。

2020-09-30 20:50:10