【冬の音楽】福間健二 #k2fact281

1月4日から13日まで。その間に、二度目の緊急事態宣言が「発出」。それも意識しないわけにはいかないが、新しい年になって、これから、どう仕事していくか、どう自分の書くものを「拡張」させていくかを希望的に考えている。音楽、デザイン、「散らかった部屋」の片付けなどで、ちがう自分を作りたい。ふりむかないということを徹底したい。復習的になるが、大きな主題のひとつとして、ドゥルーズ的な生成変化の意味での「女性になる」がある。などなどなど、で「彼女」が登場している。最後の二回、トマス・トランストロンメルと小峰慎也に敬意を表した。 音楽は、ふと思い出してしまったRachel Sweet の「Who Does Lisa Like」。 https://www.youtube.com/watch?v=EbX7hFqIpFU
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福間健二 @acasaazul

どこまでの、青。彼女はソファーに座って話し、連絡を待つ身であることを忘れている。何人もの宿なしが夜を明かしたソファーだ。尽きて、それから音だけになる。期待しすぎない性格。世の中、悪くなる一方だと言う。でも、割れてから役に立つものを思い出しなさい。(冬の音楽1)#k2fact281

2021-01-04 16:11:00
福間健二 @acasaazul

寒い土地で生まれ育った人の音楽。聴く人をあたたかく包む力がある。それはそれとして、必死に動いて向かってくるものを回避しない生き方。そんな夢、見たと言いたくない夢を引きずってけいれんする断片との、何度もの正面衝突。それもめぐりあわせだ、と彼女は笑って言う。(冬の音楽2)#k2fact281

2021-01-05 16:57:59
福間健二 @acasaazul

断片、それぞれに目と耳。世界は変わる。追いつく断片と追いつけない断片。どちらが絵画や音楽を理解するだろう。連絡を待ちながら、彼女の話は影を立ちどまらせる。用はなくても、しばらくここに。階級、年齢、性、才能、関係ない。心があるなら描きなさい。歌いなさい。(冬の音楽3)#k2fact281

2021-01-06 11:27:41
福間健二 @acasaazul

自分が見られていることを忘れ、猛威をふるうウイルスの言い分も聞きそこなったまま。おや、また早合点ですね。慌てて小さくなる人たちの気配に彼女は笑う。音の枝を折らずに。いま、マスクとメガネと帽子で別人のようになって見ている世界。その言い分もよくわからない。(冬の音楽4)#k2fact281

2021-01-07 17:00:06
福間健二 @acasaazul

すでにして。その日は来て、去り、起きたこと、生じたこと、取り返しがつかない迷路の血の、無音のざわめきから拾える断片は拾った。さまざまの人生。泣きやむ断片ばかりじゃない。では、歌います。悲しき街角、二〇二一年。あの子はどこに。真夜中、奇跡の店を探している。(冬の音楽5)#k2fact281

2021-01-08 14:48:40
福間健二 @acasaazul

した。やった。それを語る。行こうとした先端の手前で引き返して胸を撫でおろすのと同じだ。ダメってわけじゃないけど、真夜中の先にある夜の目を動かさない。歌、絵、デザイン。引き返すためにあるのではない。必要なこと、たとえば女性になる。なって、さらに女性になる。(冬の音楽6)#k2fact281

2021-01-09 13:34:55
福間健二 @acasaazul

かすかな吐息のほかは何も聞こえなくなった。彼女はひざまずいて祈っている。おっと、待ってください。別な夢のなかに現れるために消えるのは、駅と駅のあいだの「わたし」たちをやっつけてからだ。細い月の下、紫に透きとおるその肉体。さびしい地方。線だけの再生産。冬だ。(冬の音楽7)#k2fact281

2021-01-10 12:42:24
福間健二 @acasaazul

希望を歌わない。美しさを描かない。前向きをデザインしない。どうしてだ。無効、惰性の暗がりを歩くだけの靴。だれかのためにとっておいたピーナッツの袋も。でも、自慢できる卵を産む映画を見た帰り。和音を、青い山をどこに。財布じゃない。夢のなかでも今夜は相当寒い。(冬の音楽8)#k2fact281

2021-01-11 11:59:47
福間健二 @acasaazul

デザイン。できても、世界の作るあなたはその外だ。手袋なくして、一九九五年からの法則。どこに弾きだされても、最後まで生きる。彼女は言う。片手の動かない北国のトマスのように。さまざまのホットな「わたし」を試した。自分の影に運ばれ、思いを読みとられているだけ。(冬の音楽9)#k2fact281

2021-01-12 10:20:12
福間健二 @acasaazul

あるいは「すべて見えた」鴻巣の古本屋さんのように。初めて見る、彼女の悔しそうな顔。連絡将校、連絡教授、そしてあと何を始末すれば、というラストは、この曲。未来の香りと相談して。あの子はどこに。ゆっくり、ゆっくり、富士見通りを朝の駅にむかって歩いている。(冬の音楽10)#k2fact281

2021-01-13 08:19:03