【シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム】 #2

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ニンジャスレイヤーとは】 ・舞台は近未来 ・電子ネットワークが巨大化し ・身体のサイバネティクス改造が一般化 ・国家は消滅し企業が軍事力を持って争い合う ・サイバーパンク ・ニンジャとは平安時代をカラテで支配した半神的存在である。彼らは歴史の表舞台から姿を消し……そして帰還する

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【シーズン４】 ・エジプトのリアルニンジャ「セト」が他のリアルニンジャと共に「ストラグル・オブ・カリュドーン」の儀を始めた ・ニンジャを殺すニンジャ……「ニンジャスレイヤー」を狩りの獲物とし、七人の代理戦士がネオサイタマに送り込まれる。彼らが狩人である ・七人が同時に襲いかかった

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シーズン４　第１話 【ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム】#2 pic.twitter.com/212jx7cZnD

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ニンジャになる以前から、サロウは抜群に「ハヤイ」だった。ベルリンのハッカー・コミュニティにおいて、サロウが畏れられる存在になるまで、そうはかからなかった。単純な事だ。自分が三番手であったならば、一番手と二番手のハッカーの脳を焼けば一番になる。　1

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一番手の「ゲルハルト・ゲルハルト・ゲルハルト」のニューロンが千千に破れて01消滅するさまを、極度のスローモーションの感覚の中で見つめた。それがサロウに訪れた最初の絶頂の瞬間だ。翌朝、彼はベルリン一番の娼館のオネイ・チャンを全員呼びつけ、プールサイドで天国そのものの体験をした。　2

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慣れない事をするものではない。なにしろそれはサロウが生まれてはじめて自部屋から出た瞬間だったのだ。その日の正午にはジゴクに落ちた。ゲルハルト³はカタナの紐付きであり、オーバードーズ寸前までキメまくっていたサロウは容易にガラを押さえられた。どうやって逃げ出したのかは覚えていない。　3

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カタナの武装社員が頭を爆発させて彼の周囲に倒れていた……そんな映像がPTSDとして残っている。どうやって殺したのか？じきにわかった。彼はニンジャになったのだ。その代償は大きく、実際彼はLAN直結の力を失った。しかし失意のままにセプクする暇もなかった。彼のニンジャソウルが助けてくれた。　4

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人間のニューロンというのは、ローカルコトダマ空間なのだから、ちっぽけな脳漿のファイアウォールを破り、ジャック・インして貫通すれば、そこを出発点に、広いコトダマ空間に飛び出す事ができる。UNIXにうまく触れなくなっても、代替としては十分すぎるほどだ。彼はネットワークに再び踏み出した。 5

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この異質な力は、何によって与えられたのだろう。ニンジャソウル、それはすぐに理解した。では、何がそれを与えたのか。やがて彼が引き寄せられていったのは、「祝福」を求める探求者達の互助コミュニティだった。中心人物は軒並み姿を消した、廃墟の再構築めいた電子の村だった。　6

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サンズ・オブ・ケオス。それが電子コミュニティの名前だった。素敵な名前だ。彼はそう感じた。神秘の感覚を共有する者たちのもとへ、祝福者が降臨し、力を与える。名を「サツガイ」。ああ。そういう事か。サロウは理解した。つまり、サツガイがニンジャソウルをくれたのだな。二度目の絶頂が訪れた。 7

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サンズ・オブ・ケオスの者らはサツガイの降臨を期待し、情報を交換し、様々な儀式や実験に明け暮れていた。集団ザゼン、ボン・ダンス、サバト、拷問。やがて……トランスの果て、コトダマ空間の彼方で、実際に、超自然の電子揺らぎに触れる者たちが現れ始めた。サロウは焦った。俺にも権利がある。　8

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数え切れぬジャック・インを繰り返し、治安維持の為に出動してくる企業ニンジャを返り討ちにするなかで、彼のジツはどんどん磨かれていった。その果てに「存在」はあった。それはサツガイではなかった。「サツガイ？まあ違うけど、大した問題じゃない」女の電子姿は笑った。「アタシが答えをあげる」 9

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「誰……？」「アタシはオモイ・ニンジャ」女の目の中には瞳が3つあり、艶めかしい唇はピンクだった。「イイ？アタシの人格と外殻は、このイカした女のものをもらったんだ。平和的にね。そうしないとアタシが存在するのは難しい。アブストラクト過ぎるから。この女にも名前はあったけど、要らない」 10

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横並び。正三角。縦並び。逆三角。オモイ・ニンジャの瞳の位置は移り変わり続ける。「アンタ、なかなか見込みがある。自力でアタシのところまで来たから。撫でてあげる」「エ」オモイ・ニンジャは撫でてくれた。「ファックしてあげる」「エ」オモイ・ニンジャはファックしてくれた。三度目の絶頂。11

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「アンタのする事が、アタシのためになる。ね」「ええと……」「アタシがアンタのボス。わかるね」「……わかる」「タノシイよ。アタシと一緒に冒険しよ」「……そう、だね」……めくるめく日々。そしてその先端に、ネオサイタマがあった。ストラグル・オブ・カリュドーン。妙な儀式だ。　12

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わけもわからず、街を彷徨った。他の狩人たちにはいずれ出逢う。それまで頑張りな。……それがオモイ・ニンジャの啓示だった。ネオサイタマは過酷な街だ。ダサいやつは狩られる。だからって、殺してばかりいれば長居できない。彼は髪にネオン遷移処理を施し、ファッションをキメた。いい街だった。　13

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星辰が定まったのはほんの少し前。マルノウチ・スゴイタカイビルの屋上、彼は他の六人のニンジャと相まみえた。四隅のシャチホコ・ガーゴイルが凄まじかった。六人は震え上がるようなキリングオーラを漂わせる恐ろしい奴らで、サロウを邪険にしたが、怯んではいられない。自分もまた……狩人なのだ。14

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ブラックティアーズが儀式のルールを告げた。ストラグル・オブ・カリュドーン。まずは獲物たるニンジャスレイヤーに印を打つ。これは参加する全ての狩人にて執り行う。他の狩人は、友達とは少し違った。むしろ競い合うライバルであり……場合によっては、身を守る必要すらある。 15

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容易に手の内を明かすわけにもいかない。だからといって、ニンジャスレイヤーは全力で抵抗してくる相手なのだから、飼育員みたいに笑顔でホールドアップして近づくわけにもいかない。つまり……チームワークだ。最初で最後の共同作業か。なんともいえない感覚をサロウはおぼえた。　16

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自分はこのパーティーでは後方支援タイプだ。前衛の奴がカラテでニンジャスレイヤーをそこそこなぶって、反撃しようとしたところに、自分のユメミル・ジツで攻撃をかける。凹凸を補い合った、なかなかバランスの取れた布陣だ。その筈なのに、アヴァリスとマークスリーときたら、何たる非協力。　17

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アヴァリスはやたらとニンジャのジツをその目で見たがる。体験したがる。危険なアトモスフィアを感じた。マークスリーは気取り屋だ。屋上でも打ち解けなかったし、さっきの多勢に無勢という言葉も引っかかった。パーティープレイを卑怯と考えている節があった。コンヴァージの言う通り、ズレている。18

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その点、メイヘムは率先して動いてくれる。リズムを作りやすい。サロウはメイヘムに好感をおぼえた。ファッションも素敵だ。ニンジャスレイヤー相手にどんどん攻めていくし、打撃戦でも遅れを取らない。間近で見るニンジャスレイヤーは確かに恐ろしい。だが、コンヴァージもメイヘムも無傷だ。 19

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少し釈然としないが、たしかにこのくらいの相手ならば、アヴァリスやマークスリーが動かずとも、抑え込む事ができるだろう。「カリュドーンの獣」という名称のイメージ、忍殺の文字は、事前の恐怖を誘ったが、これ位ならイケる。一対一でやる時はもう少し頑張りの度合いを上げていく必要があるか。　20

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サロウは鼻血を拭った。一度目、二度目と、ジャックインを弾かれた。精神防衛の適正がある相手だ。コツを掴みきるのに何度か試す必要がある。理想的には直接こめかみに触れてのジャックインなのだが、どこまで出来るのかを他の六人にここで知られるのは躊躇われる……。　21