「憲法の急所」をきっかけに

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anonymity @babel0101

木村草太先生の『憲法の急所』は買いですか? 目次をみると,自由権,請求権,私人間効力の三つの処理手順に関する記載があり,非常に分かりやすそうです。

2011-07-28 17:21:29
anonymity @babel0101

三段階審査論は防御権の有する原則自由/例外公共の福祉による制約という原則・例外図式に依拠しているために請求権,私人間効力論の処理が難しいですが,木村草太先生は請求権,私人間効力までフォローしており,憲法の論証図式として包括的です。

2011-07-28 17:21:34
anonymity @babel0101

http://t.co/D5Ewy2pのブログで著書に関する質疑応答にも応じているので,今後の展開が楽しみです。

2011-07-28 17:29:12
anonymity @babel0101

ブログでは「公共の福祉」に関して「美観風致の維持」などの人権に還元し得ない公益の存在を認めるならば宮沢説流の一元的内在説は採用し得ないことが説明され,どのような「公益」まで認めるべきかがむしろ問題だとされているようですね。

2011-07-28 17:29:31
anonymity @babel0101

「公共の福祉」の「公益」は(1)個人の憲法上の権利に由来するもの,(2)個人の憲法上の権利に由来はしないが憲法上の価値を有するもの,(3)立法府が創設した利益の三種類に分けるのが便宜的であり,おそらく(1)~(3)まですべて認めるのが通説的でしょう。

2011-07-28 17:38:43
anonymity @babel0101

憲法条項に根拠を有する請求権が問題になるときの憲法的論証としては,(1)給付請求権を構成する段階で正当化論証を要求されるので三段階審査論における第一段階の審査で実質的に憲法的論証は終了し,後は過剰侵害禁止の法理や過少保護禁止の法理などの憲法的な道具立てを用いながら結論を導く方法,

2011-07-28 18:52:01
anonymity @babel0101

(2)請求権を「原形」とみて請求権にも原則・例外図式が妥当すると考え,三段階審査論に載せる方法,(3)作為義務の存在及び作為義務の履行の程度の下限を統制するという二段階審査による方法,

2011-07-28 18:52:14
anonymity @babel0101

(4)請求権の問題を制度論の問題に解消し,制度準拠審査など制度内在的に審査を行えば足り,あとは制度準拠審査の審査密度の濃淡で処理してしまう方法などが「理論的」には考えられる。請求権の問題がどれか一つで解決できるというわけでは,おそらくない。

2011-07-28 18:52:35
anonymity @babel0101

例えば,泉佐野市民会館事件では集会の自由という自由権が問題になっているが公共的施設の使用権という請求権としても構成し得る。この場合,地方自治法や条例の「制度」を参照しつつ集会の自由の「原形」を確認した上で,原則自由=例外明らかに差し迫った危険のテストという処理をすることになる。

2011-07-28 18:53:19
anonymity @babel0101

(1)~(4)の論証方法が,テクニックとして相互に矛盾抵触する場面は少ない。矛盾抵触するとすれば,それはその論拠においてである。例えば,泉佐野市民会館事件において制度を参照せずに積極的権利の問題とし,(3)の二段階審査を適用することは妥当ではなかろう。

2011-07-28 18:54:24
anonymity @babel0101

それは(3)の二段階審査が前提とする二重の不確定性の議論が,泉佐野市民会館事件では理由において妥当しないからである。まあ,このへん難しいですよね。なんかテクニック的な問題に過ぎないような気もしますしね。

2011-07-28 18:55:21