司法試験受験生のガチ自民党改憲案検討 ②逆に考えるんだ 「人権が公益で制約されちゃってもいいさ」と考えるんだ

実に半年以上遅れての投稿。時機を失したといわれても仕方がないかもしれない。 しかしながら、9条以外の部分については改憲の可能性が現実のものとなっている以上、憲法の議論は継続させたい。 自民擁護のようなタイトルだが、結論は・・
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huna @hunahunahunahun

7か月ぶり!司法試験受験生のガチ自民党改憲案検討 ②逆に考えるんだ 「人権が公益で制約されちゃってもいいさ」と考えるんだ 始めます http://t.co/XMyEnHjzWT

2013-07-23 22:19:16
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はじめに

huna @hunahunahunahun

自民党改憲案で一番ぶっ叩かれているところ、それが12条13条29条の「公共の福祉」→「公益及び公の秩序」への文言変更であることは、この話題に関わっているみなさん異論を持たないと思う。

2013-07-22 21:23:10
huna @hunahunahunahun

この「公共の福祉」とはなんぞや、ひいては、人権はいかなるものにより制約されるのか。それは人権保障・立憲主義の根幹にかかわる問題なので非常に重要なのはわかる。しかし、それ故に、安易なスローガンや政治的論争にもっともなじまないものでもあると思う

2013-07-22 21:24:55
huna @hunahunahunahun

とりあえず、 1.巷で通説ともてはやされる学説が出てくるまでの学説の展開 2.最高裁判例の状況 3.現在の学説の状況 4.自民党改憲案検討 という流れで考えてみる

2013-07-22 21:26:05

人権制約は人権のためだけ!説が出てくるまで

huna @hunahunahunahun

さて、大前提として現行憲法の条文。 12条 この憲法が国民に保証する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

2013-07-22 21:29:11
huna @hunahunahunahun

13条 すべて国民は、個人として尊重される。 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

2013-07-22 21:30:31
huna @hunahunahunahun

22条1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転、及び職業選択の自由を有する。

2013-07-22 21:31:42
huna @hunahunahunahun

29条2項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

2013-07-22 21:32:37
huna @hunahunahunahun

ふう、多い多い。なんで22条29条までしっかりやったかというと、12,13条にだけ公共の福祉の制約がかかっているならともかく、他の条文にも公共の福祉ってあることに意義があるとも言えるので。

2013-07-22 21:34:12
huna @hunahunahunahun

さて学説。まずは一元的外在制約説。これは12条13条の「公共の福祉」は人権以外の何らかの人権制約原理と考える。22条29条のは意味がない。これに対し、これでは全体の利益のために個の利益が圧殺されてしまうのではないかという批判が生じた。 http://t.co/ZF310EaQAk

2013-07-22 21:38:13
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huna @hunahunahunahun

そこで、次に内在外在二元的制約説がでてくる。「公共の福祉」は人権でない公益などの制約根拠だとしたうえで、それにより制約されるのは22条29条の経済的自由関係と社会権のみ、それ以外の人権は内在する社会的制約のみ許されるとする。 http://t.co/k2RWJoZxzf

2013-07-22 21:42:07
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huna @hunahunahunahun

ところが、この説の致命的な弱点は、「公共の福祉」文言がある13条後段を単なる倫理規定とすることで、そこに規定された幸福追求権をも単なる倫理、法律的意味のないものとしてしまうことにある。これでは、幸福追求権をもとに、「新しい人権」、プライバシーとか環境権とかを認めることができない

2013-07-22 21:44:24
huna @hunahunahunahun

ここでさっそうと現れたのが皆様ご存知一元的内在制約説である。憲法上のどこの「公共の福祉」も人権相互の矛盾衝突を調整するための実質的公平の原理であるとし、要は人権制約OKなのは他の人権保護する時だけですよ?という理論 http://t.co/gqYkajIj96

2013-07-22 21:46:48
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事件は学説で解決されるんじゃない!最高裁が決めるんだ!

huna @hunahunahunahun

さて、1955年に宮沢教授が唱え、その弟子芦部が引き継いで、実に戦後長きにわたり学会の「通説」であった一元的内在制約説。 しかし、これはあくまで学会の中の話。 実務、すなわち最高裁の判断はどうなっていたのであろうか?

2013-07-22 21:55:32
huna @hunahunahunahun

ぶっちゃけ、最高裁は「『公共の福祉』が人権衝突衡平の原理で、人権だけが制約根拠?なにそれあんたバカ?」状態を憲法施行後すぐから現在に至るまで続けている。そういっても過言ではないだろう。

2013-07-22 22:02:52
huna @hunahunahunahun

まず超初期の判例から。昭和24年5月18日の食糧緊急措置令違反煽動事件。本文はこちら→http://t.co/o6VI5G920A

2013-07-22 22:06:45
huna @hunahunahunahun

この判決からすれば公共の福祉=国民全体の食糧確保、というわけで、もはや個人の人権、というより全体の利益なわけです。

2013-07-22 22:10:43
huna @hunahunahunahun

このように、初期の判例は一元的外在制約説で、びしばし人権を全体利益を理由に制約しまくっていました。微妙に潮目が変わってくるのが昭和41年10月26日の全逓東京中郵事件http://t.co/ldLFtrfnVT

2013-07-22 22:15:46
huna @hunahunahunahun

この判決は、「勤労者の~労働基本権は、 すべての勤労者に通じ、その生存権保障の理念に基づいて憲法二八条の保障するところであるが、~国民生活全体の利益の保障という見地からの制約を当然の内在的制約として内包している 」と内在的制約を認めている。

2013-07-22 22:20:19
huna @hunahunahunahun

しかし、これは「公共の福祉」から導かれたものかはわからない。そうはこの判決は言っていない。そもそも、国民生活「全体」の利益という以上、これを人権衝突といってよいのか?ともいえる

2013-07-22 22:21:59
huna @hunahunahunahun

さらには法律を違憲と断じた判決として名高い森林法判決昭和62年4月22日判決についても見てみる→http://t.co/DaVqSP0Aez

2013-07-22 22:31:07
huna @hunahunahunahun

「財産権に対して加えられる規制が憲法二九条二項にいう公共の福祉に適合する ものとして是認されるべきものであるかどうかは、規制の目的、必要性、内容、そ の規制によつて制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を比較考量して決 すべきものである」

2013-07-22 22:34:27
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