司法試験受験生のガチ自民党改憲案検討 ②逆に考えるんだ 「人権が公益で制約されちゃってもいいさ」と考えるんだ
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つまり「公共の福祉」=財産権と規制の目的必要性その他色々を比較して、後者が優越すること、ぐらいのかんじ。もはや人権云々どこ行ったというかんじである。
2013-07-22 22:36:49さらに、この判決では目的についてのみ検討するところでも、「公共の福祉」がでてくる。違憲となる場合として、「立法の規制目的が前示のような社会的理由ないし目的に 出たとはいえないものとして公共の福祉に合致しないことが明らかである」場合を挙げている。
2013-07-22 22:40:11で、その目的は最初の前提部分で「社会公共の便宜の促進、経済的弱者の保護等の社会政策及び 経済政策上の積極的なものから、社会生活における安全の保障や秩序の維持等の消極的なものに至るまで多岐にわたる」というかんじ。人権?なんだねそれは
2013-07-22 22:41:25さて長々と、本当に長々とみてきた最高裁の判例ですが、ちょっと待て。学説上、最高裁がぜんぜん人権擁護してくれないじゃんおいこらなんだお前と非難されまくっているのは周知の事実。てことは、最高裁の考えは人権保障のために役に立たず、やはり一元的内在制約説が正しいんじゃなかろうか?
2013-07-22 22:56:27ところがどっこい、芦部教授が亡くなられてはや14年。人権制約根拠・限界に関する学説は今や一元的内在制約説をフルボッコ、果てには一人一説・百家争鳴・憲法学会は核の炎に包まれた!というかんじの大乱世になっているのでございます。んじゃ最近の学説解説いきまーす
2013-07-22 22:59:09テッレッテー!! 芦部亡き今、憲法学会は公益の炎に包まれた!
一元的内在制約説フルボッコ
まず、一元的内在制約説の批判から。一元的内在制約説は結局、人権制約根拠は人権だけ!と言っているわけだが、その最強継承者、芦部教授ですらも、人権以外の人権制約根拠を認めてしまっているのです。
2013-07-22 23:02:01具体的には、公務員・やらかしちゃって檻の中の人の人権は「憲法秩序の構成要素」たる公務員関係・在監関係により制約されるとしているのが一つ。わけわからん?ああ俺もわからんよ←オイ さらに、財産権では社会的公平のための規制が許されるとしているが、「公平」なる目的が人権とは言えないだろう
2013-07-22 23:07:13さらには、ある個人の人権を守るためにその個人自身の人権を制約する、パターナリズムという理論も説明がつかない。具体的には酒とたばことエロ本とかの年齢制限。一元的内在制約説だと、あくまで「他人の」人権を守るためだけに制約を認めるので、どうにもならない。
2013-07-22 23:09:37そして、芦部教授の理論上最大の保障がされるべきであり、あっちゃこっちゃで改憲案に関連して大炎上している表現の自由の内容についての規制目的。「やむにやまれぬ必要不可欠な『公共的利益』」のときのみ許される・・っておいいいいいい!この時点でもう人権衝突とかどこいったよ!
2013-07-22 23:12:59※改憲案の21条については今回は無視する予定ですが、ここは注意。「表現の自由は公益目的では制限されないぞー!」とかいうと、どこぞの芦部の弟子が、芦部第5版p188広げてにやけながらやってきかねませんので。お気を付けください
2013-07-22 23:14:02と、芦部教授の一元的内在制約説の揚げ足取り的な批判をしてきた。しかし、本番はここからである。一元的内在制約説の致命的弱点はここから始まる。
2013-07-22 23:16:19さてみなさん、「人権」とはなんぞや?正確にはその意義。人権とは、単なる権利ではない。国家に対する権利である。そして、それは国会のつくった法律を無効化する効力をもちうる超強力な権利。民主主義により多数派の利益が優先され、少数派が圧殺されかねないときの「切り札」である
2013-07-22 23:20:55憲法上の人権の効果を、国会や裁判所の機能と合わせるとこんな感じ。 http://t.co/SB1kHU8obB
2013-07-24 00:31:28その切り札には切り札でしか対抗できない。そう考えるとなるほど、と思うかもしれない。だが、実際に考えてみよう。たとえばポスターをそこらの壁にべたべべた貼ることは表現の自由のひとつだ。しかし、その内容がどうあれ、それは過ぎれば町の美観を損ないかねない。
2013-07-22 23:25:27ここで、「美観維持」というのも、一元的内在制約説からすれば「人権」すなわち「汚れていない街で生きる権利」とでもいおうか?そういうものと考えざるを得ないことになる。当然、こんなのは憲法にないので、13条の幸福追求権から新しく作り出すことになる。
2013-07-22 23:27:2213条は幸福追求権を定め、それは明文の人権だけでなく、プライバシーなど明文にない人権をも包括したものとされている 非明文人権をどこまで認めるかにつき、重要な人格的利益に関するのに限定する説とあらゆる利益に関するものを人権として認める説があるが、一元内在説は後者をとらざるをえない。
2013-07-24 00:38:00図にするとこういう感じ。ポイントは1つのとても重要な利益よりもたくさんのちょっと重要な利益の方を保護せざるを得ない場面があるということ http://t.co/fD73CG8fYN
2013-07-24 01:06:39このように、なにかと人権を制約せざるを得ないというときに、それに対抗する人権を作り出していくとどうなるか。なんでもかんでも、「個人がちょっとでも不快に思うことをなくすようにすること」が人権として認められてしまうことになっちゃう。ただ、人権の制約には対立する人権が必要だというだけで
2013-07-22 23:29:18そして、このような人権は、これを主張しようとすればものすごい制約を受けやすい弱いものになる。これを「人権のインフレ化」という。 要は、芦部説は「人権はステータスだ!希少価値だ!」といってたはずが、粗製乱造につながっちゃうんですよ http://t.co/uBdtDGwRgu
2013-07-22 23:40:31このように、一元的内在制約説は、人権制約範囲を狭めて人権保障しよう!といってたはずが、人権自体を制約されやすくしてしまうという本末転倒な帰結に至るという根本的欠陥が指摘された。その人は長谷部恭男。彼の批判以来、公共の福祉関連の論争は地獄の様相を呈することになる・・
2013-07-22 23:44:15憲法学会ばとる☆ろわいある!
ハイというわけでまずは長谷部教授から。 長谷部学説が面白いのは、「憲法上の権利」を「人権」と「それ以外の憲法上の権利」に分けて、制約の場面はおろかその前提となる保障の段階でも異なるものとしているところ。
2013-07-23 00:45:08