読書記録

大村祐里子 @Holy_Garden

万城目学『プリンセス•トヨトミ』読了。大阪に隠された壮大な秘密とは何か、が話の中核。発想は面白いと思うが、全体的に荒唐無稽な印象。場所や歴史の説明の長さが文章のテンポを少し悪くしている気がした。大阪に詳しければもうちょっと楽しめたかなーと思う。

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黒羽幸宏『裸心』読了。「なぜ彼女たちはＡＶ女優という生き方を選んだのか？」という副題通りのインタビュー本。400頁超と分厚い。有名女優８人の生い立ちや家族を深く掘り下げているのが興味深い。これを読むと、ＡＶ嬢＝不幸というのは昔の話なのかもしれないなと思う。読後感の良い話多め。

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森博嗣『すべてがFになる』読了。理系ミステリー。UNIXとかインテジャ型とか言われてわかるにおすすめ。解説で瀬名秀明が書いているように、通常のミステリーにありがちな、”犯人の、感情的な殺人の動機”がこの小説には皆無。そこが新しく、面白い。作中の人物に感情移入したい人には不向き。

大村祐里子 @Holy_Garden

小川洋子『薬指の標本』読了。他の方が仰る様に、幻想的なホラーだと思った。ひそやかな中に漂う妙な残酷さが印象的。こういう、すっと消えて行きながらゾッとさせる小説は好き。同時収録の『六角形の小部屋』は『薬指〜』とは違い明るめな読後感で、こちらもなかなか良かった。

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いまさらだけど…『もしドラ』読了。ドラッカーの本を読んだ事の無い私ですが、一気に読めました。面白かったよ。最後はわりと感動。表紙の絵見てナメてたけど（笑）人間てそういう些細なきっかけで劇的に変わるものなんだよね。興味を持ったのでAmazonで『マネジメント』注文してみた。

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村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』読了。四部作ファイナル。確実にオッサンになった「ぼく」が年をとると共に失われたものをもう一度見つけに行く話(私はそう思った)。ノルウェイ〜と言いたいことは同じである様に思う。大切にしたい一冊。思わずメモした名言は、村上作品中最多でした。(続く)

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村上春樹『羊をめぐる冒険』読了。これで初期三部作全て読了！『世界の終り〜』に似た世界観。ファンタジーな感じなのに、彼の言いたいこと(？)がひしひしと伝わってくるのは何でだろう。これがムラカミワールドか。個人的に鼠はいい男だと思った。面白かったわあ。次は『ダンス〜』を読む！

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村上春樹『1973年のピンボール』読了。非常に淡々と話が進むが、随所で「これはどういう意味なんだろう…」と考えてしまう不思議な小説。行間を読みたくなる感じがまさにムラカミハルキ。ここに出てくる直子はあの直子なの？？この後読む予定の『羊をめぐる〜』と『ダンス〜』いずれも楽しみ。

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村上春樹『風の歌を聴け』読了。彼のデビュー作。らしさ全開の一冊。最初からこういう文体の作家さんなんですな。派手な展開もなく、非常に淡々としているが、妙に心に残る一冊。最後、ああ、人生ってどんどん流れていくものだよね、としんみりした。ビールが飲みたくなった。

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村上龍『限りなく透明に近いブルー』読了。クスリ、酒、暴力、セックスというグロ要素盛り沢山の内容なのに、まるで他人事のように、非現実を見ているかのような印象を受ける不思議な小説。最後になんとなくタイトルの意味がわかった。読後は思わず本の表紙を見てしまった…。

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スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』（村上春樹訳）読了。『ノルウェイの森』に何度も登場する本。気になったので読んでみた。最終章まで非常に退屈、最後はエーッそういう事だったの…という感じ。ギャツビーの何がグレートなのかいまいち理解できず。…後でもう一回読んでみる！

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島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』読了。物騒なタイトルですがホラー小説ではありません。12歳位の少女特有の心理を描きたかった…のだと思うが、いかんせん薄い。ページ数も内容も。たぶん桐野夏生の『残虐記』と言いたい事は同じ。こういう不安定な感じはあれくらい書かないと伝わらないかも。

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村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』読了。読み応えがあり、読後たくさんの感情が自分の中に残る。素晴らしい作品！面白かった。比喩的な表現が多く、想像力をフルに働かせる必要があるが、最後にきちんと結論を提示してくれるので『海辺のカフカ』よりはストレス無く読める。

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(続き)ただし『重力ピエロ』の出した結論はかなり物議を醸し出すところかと。私は、それもアリだよなーわかるわーなんて思ってしまいましたが…。裁判官、検察官、弁護士さんには全くオススメできない本です。理由は読めばわかります。たぶんダンナはこれ読んだら怒り出すと思う。

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伊坂幸太郎『重力ピエロ』読了。ある事件の謎解きに乗り出した兄が見た、衝撃の事実を描く物語。登場人物が出揃ったあたりで、犯人も、ラストの展開もわかってしまった…。個人的にはちょっと物足りない。取り立ててグロいシーンも無いし、浅めのミステリーだし読み易い本ではあります。(続く)

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(続き)スリルは満点なので、ページをめくる手を止めてしまうくらいドキドキしたい人にはオススメですが、読後に深い感動を求める方には不向きです。いい人を装ってるヤツほど本当は腹黒い、ってことが改めて良くわかる本です。

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貴志祐介『悪の経典』読了。優秀で、誰もが信頼する高校教師が実はサイコパスだった、という話。上巻は怖さがゾワゾワと迫ってきてなかなか面白かったが、下巻は完全にチープなバトルロワイヤル。デスノートの夜神月ぽい人が、頭脳を使わずに殺戮を行ったらこうなるだろうよ、という感じ。(続く)

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京極夏彦『死ねばいいのに』読了。初京極。想像通り文体が超くどい。しかし、安定感抜群の文章構成の中で人間の一番不安定な部分を抉り出していく手法は見事。主人公が賢者すぎる事、犯人がわかり易すぎる点を除けば、とても面白い本だと思う。読後の印象は宮部みゆき『RPG』に若干近い、かな。

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角田光代『対岸の彼女』読了。二人の女性の友情と亀裂がテーマ。直木賞受賞作。角田さんはオンナ独特の微妙な心理を描くのが上手い。共感できる箇所は多々あった。が、爽やかにまとまり過ぎている印象。当たり障り無い小説かと。女の子に「一般ウケする本を貸して」と言われたらこの小説を貸すかも…。

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(続き)ただ、「この不思議ちゃんはこういうつもりでこういうことを言ったのかな？」といった感じで想像力をフルに使って読むとそれなりに楽しい。私は読者の想像力が必要となる小説だと思った。またしばらくしたら読み返したい。こういう気持ちになるのが村上春樹氏の良さなのかな。

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桐野夏生『残虐記』読了。ある少女監禁事件の被害者の視点から語られる真実。救い様のなさが桐野さんぽい。読後、生理的に受け付けない感じの気持ち悪さが残った。各登場人物の視点から物語を進めたらもっと深みが出る＆嫌な感じになったと思う、 。個人的には『グロテスク』の方が好きかな。

大村祐里子 @Holy_Garden

村上春樹『ノルウェイの森』読了。10年ぶりに読み返した。今回は、優しくて良い話だなという印象を持った。知人に「ワタナベ君はゆりちゃんの男バージョン」と言われた。あらゆる物事を深刻に考えない様にする、あらゆる物事と自分の間にしかるべき距離を置く、という生き方は確かに似ているかも。

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伊坂幸太郎『グラスホッパー』読了。三人の登場人物個々の視点から物語が進んでいくスタイルはまさに伊坂流だが、話に厚みが無い感じ。最後の方はオチすら読めてしまう。この形なら『ゴールデンスランバー』に軍配が上がる。伊坂さんは小説ごとに雰囲気が違うと聞くので、他の本を読んでみたい。

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村上春樹『海辺のカフカ』読了。筆力が素晴らしくとにかく文章は読みやすい。が、村上春樹初心者にとって、内容は非常に難解。全ての事柄が抽象的に描かれている。しかもそれらは明確に説明されることが無いため、読後すっきりしない。不思議ちゃんを観察しているような気分(続く)

大村祐里子 @Holy_Garden

桐野夏生『東京島』読了。無人島に流れ着いた３２人の男と一人の女が島でサバイバル生活を繰り広げる話だが、その壮大な設定を生かしきれなかった感じ。気持ち悪い人間の描写は桐野さんぽいが、『グロテスク』のような圧倒的な気持ち悪さでは無い。オチもイマイチ。全てが中途半端な印象。