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桂吉坊さんの #今日の辻占 です

2020年12月27日から落語家の桂吉坊さんが毎日投稿されている#今日の辻占は#なんとなく開いた頁から選ばれた和歌一首を投稿されていますが、どんどん解説が詳しくなってきていて読むのが楽しくなってきたのでまとめてみました。 時間は逆順です。 吉坊さん、FBではツイッターよりも詳しく解説されています。読み応えあります。
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桂吉坊 @kichibo_rakugo

作者は家族もあったが、若い頃から居所を定めず漂泊の旅を続けた。 …どうもこの集成に出てくる歌人の多くは、ジッとしていられない人間が多いと見える。旅する人の半分は歌人と寅さんと水戸黄門ではなかろうか。

2021-03-16 08:10:48
桂吉坊 @kichibo_rakugo

明治22年金沢に生まれ、窪田空穂を私淑し21歳で上京。歌人そして国文学者として、大正から昭和にかけて歌壇においては歯に衣着せずの毒舌と言われたが、自らの歌調は「ざっくばらん調」と称した。学生時分に結核から、右足を切断している。 戦時中岩手に疎開し、敗戦の年の12月、京都へ旅した時の歌。

2021-03-16 08:10:21
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「友が家の子供叱られゐるきけばいざ帰りなむ吾も吾家(ワギヘ)に」尾山篤二郎(オヤマトクジロウ) #今日の辻占 #なんとなく開いた頁から選ぶ #日本名歌集成 #とふのすがごも 叱られる様子に我が子を思い出して帰心がわく。いざ帰りなむ、がニワカに思い立つのと、山上憶良みたいやな、と思う。

2021-03-16 08:09:35
桂吉坊 @kichibo_rakugo

…とか、僕はエエなぁと思った歌も何首かあるのだが、この集成には今日の一首しかない。 ますます気の毒である。

2021-03-15 09:49:56
桂吉坊 @kichibo_rakugo

とその後を調べると、父の推薦により「続後拾遺和歌集」の単独撰者に!おめでとう為藤!(←ナニサマ) しかし、喜んだのも束の間、志半ばにして齢50で死去。 ほととぎす雲のいづくに忍びきて空よりもらす初音なるらむ(新千載集)・すむ月の影さしそへて入江こぐ芦分け小舟秋風ぞ吹く(続千載集)

2021-03-15 09:47:20
桂吉坊 @kichibo_rakugo

京極為兼に敗れ、勝った為兼によって『玉葉集』が撰進される。 兄の早逝により二条家の嫡子であった為藤は、その渦中にあり、この歌はその真っ最中らしい。 辛く苦い塩を作る苫屋の煙 我が身を立てる事の容易でなさ 風が吹いたら流されてしまう煙と自分とか、辛いとか苦いとか、もうツラさ全開である。

2021-03-15 09:45:28
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「劇壇」というと、いつも観ている芝居の世界と少し違う(そこが一段高くしてあるという事?)気がする。 政を司る者、詩歌管絃が必須の時代に、歌壇の長に立つのは「家」にとって重要だったと見えて、作者の時代は、二条家と京極家を中心に熾烈な争いが繰り広げられ、作者の父である二条為世は、

2021-03-15 09:44:41
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「身ひとつを立つるぞからきもしほ焼く浦のとま屋のけぶりならねど」二条為藤(ニジョウタメフジ) #今日の辻占 #なんとなく開いた頁から選ぶ #日本名歌集成 #続後拾遺和歌集 歌人の社会を「歌壇」と言う。壇とは、一段高く作った場所で、儀式などを行ったりする場所を指したりするらしい。

2021-03-15 09:44:16
桂吉坊 @kichibo_rakugo

本日そして4月9日にも上演の「たちきり(たちきれ線香)」の中で歌われます地歌。実は、落語で使われますのは歌の途中からです。ココから歌い出しと言うのが昔から決まっております。…堪らんナァと、思うのでございます。

2021-03-14 09:05:08
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「〽︎ほんにむかしの むかしのことよ わが待つひとはわれを待ちけん」地歌『ゆき』ヨリ #今日の辻占 #番外 ほんに遠い昔のことよ 私が待つ(ていた)あの人が、私を待っていてくれたこともあったでしょう pic.twitter.com/qK2newXqeP

2021-03-14 09:04:17
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桂吉坊 @kichibo_rakugo

「旅に出たと噂を流し、家にこもって十分に日焼けしてから発表した」て、そこまでするかwと歌人の歌への並々ならぬ自信とこだわりを感じてしまうが、平安時代に日サロも無かろうし、家にこもってどうやって焼いたのかが気になる。 因みに数々の歌が選ばれた、ちゃんとした(⁉︎)僧侶であり歌人です。

2021-03-13 09:25:22
桂吉坊 @kichibo_rakugo

白河の関は、勿来(ナコソ)の関・念珠(ネズ)ヶ関とともに奥州三関とも言われ、奈良時代に南下してくる蝦夷の人々を防ぐために作られた。 『古今著聞集』では、能因は白河には行っておらず(⁉︎)、どういうこっちゃとこちらは騙されっぱなしであるが、歌がまず出来たらしい。しかし行ってないので、

2021-03-13 09:22:54
桂吉坊 @kichibo_rakugo

都の春霞と、白河の関は福島県白河市の秋風という対比もさることながら、ほぼ時間も場所も、一言で飛んでいるかのような感覚は、落語の技法にも似ているように感じる。 前半で春の都の景色を想像して、実は後半の秋の白河という…騙しではないけれど、「えっ、そっちちゃうの」と両方見えるような。

2021-03-13 09:20:58
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「都をばかすみとともに立ちしかど秋風ぞ吹く白河の関」能因 #今日の辻占 #なんとなく開いた頁から選ぶ #日本名歌集成 #後拾遺和歌集 なんとなく開いた頁の中の、なんとなく季節に合ったものやら気の合うものを取り留めもなく挙げているが、毎朝いつの間にか時間が過ぎる。

2021-03-13 09:19:28
桂吉坊 @kichibo_rakugo

先述の「麻の中の蓬」は、曲がりくねる蓬でも、麻の中ではまっすぐに育つように、人も善人に交わればその感化を受けて自然に善人になることのたとえだが、なかなかそうはならない物で、とある師匠のマクラにもある「賢いというのは周りの人に伝染らないんですが、バカは…伝染りますね」を思い出す。

2021-03-12 09:09:12
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「麻と蓬」は「直と曲」、蔓延る蓬に対して真っ直ぐ伸びる麻は、道理の通ったことを意味する。 平泰時(北条泰時)は、ものの道理を大変に重んじ、道理の通ったことには人前でも涙するような人だったという。鎌倉幕府北条家の中興の祖と言われる幕府三代目の執権。

2021-03-12 09:07:53
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「世の中に麻はあとなくなりにけり こころのままのよもぎのみして」平泰時 #今日の辻占 #なんとなく開いた頁から選ぶ #日本名歌集成 #新勅撰和歌集 古く中国は荀子に「麻の中の蓬」は、曲がりくねる蓬でも、麻の中ではまっすぐに育つように、人も善人に交わればその感化を受けて自然に善人になる事。

2021-03-12 09:05:22
桂吉坊 @kichibo_rakugo

祷。生きる人が生きることをあきらめない世の中でありますように。 その中に、及ばずながら少しでも、誰かの生きる歩みのお力添えとなり、亡き人を想うひとかけらに成れたらと存じます。

2021-03-11 08:04:26
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「あす知らぬわが身と思へど暮れぬまのけふは人こそかなしかりけれ」紀貫之 #今日の辻占 #日本名歌集成 #古今和歌集 詞書には、(従兄でもありともに古今和歌集の撰者として、先輩歌人でもあった)「紀友則がみまかりにける時よめる」

2021-03-11 08:04:18
桂吉坊 @kichibo_rakugo

翌朝「枕元に将棋盤あるんやけど、これワシどないしたんや?」と電話があった。 あの時の将棋も、ちゃんとさしてたのかどうか覚えてない。…第一、覚えている風景の中に、駒が無い。あるのは澄みきった盤上のみである。 あの将棋盤、その後どないなったか…結局取りに行った気もするのだが。

2021-03-10 08:32:08
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「心澄みゆく」とは、誠に酒の徳を言い表したような響きがあるが、えてしてそのまま飲み続け、澄みゆくどころか朝を迎えたら泥沼だった、とは僕の感想である。 …そう言えば、内弟子の時に米朝師匠と呑んでいた高弟の師匠が、どこからか師匠と将棋をさした末に、何故かその将棋盤を持ち帰る事になり、

2021-03-10 08:30:42
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「何すれぞ」は、ふるくは万葉集にも出てくる言葉で、「どうして」「なぜ」の意味。何故か今日の酒は、悲しいほど心が澄んでいく。一人酒なりゃこそ、であろうか。あちらこちらの枝葉にとまる鳥みたいに思いをめぐらせようにも頭の中になんにも無い。

2021-03-10 08:29:19
桂吉坊 @kichibo_rakugo

正岡子規に始まり、やがて會津八一と出会い、門下となる。34才、昭和11年に初めて出したこの歌集は前半はほぼ病床歌という。そのわりに、酒の歌は多い気がする(自然と酒の歌を拾い読んでいるだけかも知れない)。

2021-03-10 08:28:21
桂吉坊 @kichibo_rakugo

「ひとり飲むこの夜(ヨ)の酒や何(ナン)すれぞ かなしきまでに心澄みゆく」吉野秀雄 #今日の辻占 #なんとなく開いた頁から選ぶ #日本名歌集成 #苔径集 明治35年生まれ。元々体が弱かったが大学時代に喀血、肺結核のために中退する。正岡子規に傾倒、歌の道に入る。 生涯、病との戦いを強いられる

2021-03-10 08:27:00
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