稲川淳二の『つぶやき怪談』(2021.01.29)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

“灯火ちかく　衣縫う母は　春の遊びの楽しさ語る 居ならぶ子どもは指を折りつつ　日数かぞえて喜び勇む 囲炉裏火は、とーろ　とーろ　外は吹雪“

稲川淳二 @Junji_Inagawa

懐かしい小学唱歌　“冬の夜”を思い出します。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

雪国の冬の生活と春を待ち望む心が伝わってきますね。 みなさん、お変りないですか？　稲川淳二です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ラジオも電話も無い時代、冬籠りの娯楽といえば、 年寄が聞かせてくれる昔噺や怖い話に、 子供達は一喜一憂したことでしょう。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

しんしんと降り頻る雪。 静寂に包まれて、明かりを消して、眠りに就く。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんな訳で雪深い北国の人は、忍耐強いんでしょうね。 この時季が寒さの底ですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

あと少し。もう少しの我慢です。 春は必ず来るんですから。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それでは、今回の「つぶやき怪談」 そろそろ始めましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ゆったりと、くつろいで、 お付き合いいただければと思います。 そんな訳で、怖ーい噺で楽しんで下さい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

稲川淳二の「つぶやき怪談」、 怖・楽しい時間を、共有しましょうね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

昔、私荻窪にね『ナオ・バーズ・バー』って、 ちっちゃなバーやってたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

今は、もうないですがねぇ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

鳥が好きなもんで、そんな名前をつけたんですが、 デザインなんかもね、自分でやったんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ある日のことですよ、 後輩がね、三鷹に泊まっている、って言うんで、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「じゃあ、飲もうか」 と、あっちこっちと飲み歩いた後、 店に、行ったんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その当時は、仕事が忙しくて、 私が、店に行くのは、本当に珍しいことで、 1年に、何回も行かないんですよ、自分の店なんですけど。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

一緒に飲んでいた私の弟が座り、 そして後輩に、私と、彼を挟む格好で、 カウンターに座りました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それでね、私、たまに店に行くと、 その時にいたお客に、アイスクリームを、 酔ったついでに、配るクセがあるんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そばにある、コンビニかなんかで、 買ってきてもらってね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

だから、店に入ると、 大体のですが、客の数を数えちゃうんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その日も、そんなわけで、 アイスクリームを配ってもらって、 余ったのがあったから、マスターに、渡して、 飲んでたんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そして、フッと見たら、 カウンターの奥にあるテーブルに、 男が２人に、女が１人、 座っているのが、目に入ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

私は、その時は、気がつかなかったんだけど、 同時に、その席を見ていた後輩が、 私の肩をポンポンと、軽く叩いてね、言うんですよ。