掌小説語り～自作つぃのべる集～63

リュカ @ryuka511

全知全能の神様がいる世界に転生した。ここでは祈りは必ず叶えられた。罪は即座に裁かれ、些細な嘘も許されなかった。悪の存在し得ない世界は窮屈で堪らない。神様なんていないと思ってた。だが違う。介入しないだけだったのだろう。もう無責任な神頼みなんてしないから、元の世界に帰りたい #twnovel

リュカ @ryuka511

忘れられた遊園地の小さな舞台で、壊れたマリオネットは踊る。色褪せたドレスを翻し、バラバラに動く手足を伸ばして舞う。糸が切れ自由なのに、どこへも行けないマリオネット。かつてスターだったマリオネットは、子供達の歓声と拍手を待っている。私を見てと繰り返す。まだ踊れるわ。 #twnovel

リュカ @ryuka511

美しかった城が燃え落ちる。泣き叫ぶ姫を抱え、王から密かに教えられた隠し扉を目指し走る。貴女をこの腕に抱く事を恐れ多くも夢見ていました。隠し扉に手をかける。開いた道へ姫の背を押す。守るべきは姫、忠誠を誓うべくは王。「行って下さい」燃え落ちる城へ踵を返す。この恋に悔いなし。 #twnovel

リュカ @ryuka511

悪の組織を壊滅させた後、アジトの奥で見つけた君はどう見ても無力な子供だった。傷の手当てをして連れ出す。「もう大丈夫だよ」「次の命令は?」この子は、洗脳と改造をされた組織の戦闘員だと気づいた。なら、平穏も安らぎも知らずに生きてきた君に、命令する。「傷つけず傷つかず、生きて」 #twnovel

リュカ @ryuka511

破滅を迎えた地上を見下ろし、神々は話し合う。「また同じ結末をなぞるのだな」「やはり我々が介入した方が」「いや、それでは意味が無い」本に書きつけながら神々は議論する。「これは不可能と結論付けてよいのでは」「それには尚早だろう」熱心に議論する神々に、救いを求める声は届かない #twnovel