【異形の十字軍】
「キリストのために殺すか死ぬかすることは罪ではなく、最も名誉あることである。殺すのはキリストのためであり、死ぬのはキリストを得ることである。…キリストの騎士は、悪しき者の処罰者、キリスト教の守護者とみなされる。たとえ自らが死しても、彼は死滅せず、魂は天に到達する」 pic.twitter.com/tUJQxAa3wL
2020-03-28 16:17:38彼らが築いた十字軍国家は後に世俗化し、後のプロイセン王国の起源の一つとなります。 プロイセンやドイツ帝国の軍国主義的性格は、ドイツ騎士団にまで遡ることが出来るかもしれません。
2020-03-28 16:19:41実際、20世紀に至ってもドイツ騎士団の亡霊は徘徊していました。 それは、ナチズムによって最悪の形で復活します。彼らの「東方征服」の野望は、古の騎士団への憧憬によってグロテスクに彩られているのです。 pic.twitter.com/9reggXCx4J
2020-03-28 16:20:46ヒトラーは次のように語っています。 「ドイツ騎士団が子羊の手袋をしてでなく、聖書と剣をもってしたように、東方へ向かう我らの者たちは、ナチズム世界観の信念の闘士として、我が民族の利益を、必要なら武力を以て貫徹しなければならない」 pic.twitter.com/OwFhpGh3Gr
2020-03-28 16:21:38また、ヒムラーは自身が率いる親衛隊を、思想的・人種的殲滅戦を戦い抜くためのエリート集団=「現代のドイツ騎士団」として組織しました。 彼が「騎士団の城」(ヴェヴェルスブルク城)でオカルティックな儀式に勤しんでいたことは良く知られます。 pic.twitter.com/0bBCKnuyRr
2020-03-28 16:22:37また、ナチを敵視したソ連でも1938年にドイツ騎士団とスラブ人の英雄との戦いを描いたプロパガンダ映画、「アレクサンドル・ネフスキー」がエイゼンシュテインによって製作されています。 pic.twitter.com/guHwsvODZO
2020-03-28 16:23:46北方十字軍が長くなり過ぎました。後は適当に流します。 アルビジョワ十字軍は南仏に広がった異端、カタリ派を殲滅したもので、ここでも凄惨な殺戮が繰り広げられました。 pic.twitter.com/QiNnhPKOXf
2020-03-28 16:24:52教皇による十字軍の発動は近世に至るまで繰り返し行われ、地中海の制海権を賭けて行われたレパントの海戦(1571年)も十字軍の形式をとっていました。 pic.twitter.com/KmsBr8MssS
2020-03-28 16:26:04歴史家のフェルナン・ブローデルは同時期のポルトガルによる北アフリカ侵攻が最後の十字軍であるとしたようですが、1588年のスペイン無敵艦隊の遠征も十字軍としての性質を備えていました。これは、新教国(=異端)のイングランドを打倒しようとするものです。 pic.twitter.com/0q7FqYby1B
2020-03-28 16:27:12このように「十字軍」は近世に入るまで存続したわけですが、宗教改革などを通じてローマ教皇の権威が低下し、かつ主権国家の原型が生じ始めると、終焉を迎えます。 17世紀の神聖同盟(トルコに対抗するための神聖ローマ帝国、ポーランド、ヴェネチアの同盟)を最後とするのが妥当かもしれません。
2020-03-28 16:28:32ちなみに大航海時代以降の西欧の植民地拡大も一種の十字軍とする見方がありますが、基本的に教皇とは関係が無く、当時の人々もそれを十字軍と認識していたわけではないので、個人的には概念の濫用だと思います。 pic.twitter.com/NXtyoNUoYL
2020-03-28 16:29:36記述のバランスが悪くなってしまい、反省しています。 また、私は西洋史の専門家ではないので、間違いもあろうかと思います。その点については、諸賢のご批正を乞う次第です。 最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
2020-03-28 16:30:29アイユーブ朝の君主はスルタンですね。誠にお恥ずかしい限りです。ムスリム圏でカリフを名乗ることのハードルが如何に高いかを知っていれば決して侵さない間違いなのですが。恥じ入るばかりです。
2021-04-03 17:53:43