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ボノボとヒトの「教育ママ」の類似性と相違性 / なぜ教育パパは少ないのか

ボノボの「教育ママ」は性的ライヴァルを打倒し、ヒトの「教育ママ」はお見合い制度に適応している。 教育パパの少なさは父性の不確かさに基礎付けられる。
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

「教育ママ」という存在、生物学的には「何としてでも息子/娘の将来の群れにおけるヒエラルキー上昇を目指す母親」ということになるが、ホ乳類では別に珍しくなく、たとえばボノボの母親は「息子とチームを組んで性的ライヴァルを打倒し、息子が社会集団のヒエラルキーを出世するのを助ける」。 pic.twitter.com/ACfL1SVSlp

2021-02-04 12:26:28
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

上記引用は以下ワシントンポスト紙記事から(washingtonpost.com/science/2019/0…)。ボノボはヒトに最も遺伝的に近い種なので、受け継がれてきた遺伝子が、世の中の母親の教育熱心さを顕現させていると考えるのは合理的な推論では無いだろうか。

2021-02-04 12:26:29
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

だがボノボの「教育ママ」とヒトの「教育ママ」に見られる最大の違いは、息子を勉強だけに集中させ、恋愛やファッション、異性とのコミュニケーションから引き離そうとする点にある。生物学的には将来息子が出世できるよう手助けする意味はステイタス上昇が遺伝子の生存、包括適応度を高めることだ。

2021-02-04 12:32:12
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

ここでは人類社会には長らく「お見合い制度」が存在してきた点に注目するのも良いだろう。教育ママは自由恋愛文化が浸透した現代でなく、お見合い文化に適応して子育て・教育をしているのだ。女性/男性にまるで免疫のない高学歴カタブツ男性/女性、"評判"が著しく重要なお見合い文化では強い属性だ。

2021-02-04 12:40:16
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

なお父親が子育て熱心に進化しにくい理由は、生物学では一般的に「父性の不確かさ」が挙げられる。父親役をきちんと果たすオスというのはきわめて珍しい。彼らは血が繋がっているか分からない赤ん坊の子育てに精を出すよりも複数の女性を誘惑した方が遺伝子生存戦略として合理的だと「考える」のだ。

2021-02-04 12:46:58
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

勿論、母親は父親に子育てを手伝ってもらうと嬉しい。そのためたとえば鳥類のメスは夫に「じぶんが父親である」ことを確信させるために義務的に複数回の交尾をする。ヒトの女性は自分が浮気などしない貞操観念のある妻であると夫に誓う。すると父親の子育て参加は増えてくる。 sciencedirect.com/science/articl…

2021-02-04 12:53:27
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

最近では「夫が子育てしない!」と世の中の男性は妻からいつも怒られているが、これでもサピエンスはMPIを進化的にかなり高めてきた種なのだ。だからこそ女性は、父親の子育て投資量が大きいというサピエンスの生物学的特性に注目して高年収男性への好みを進化させている。twitter.com/selfcomestomin…

2021-02-04 12:59:40
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

Q.なぜ女は高年収の男性が好きなのか?A.ライバルにマウントがとれて快感だから?──その答えは生物学的には不十分だ。高ステイタスの彼氏や旦那を他の女性が羨むのはなぜかというそもそもの説明に欠けるからだ。親の投資/ペアレンタルインベストメントという生物学的観点はこれを完璧に説明する↓ pic.twitter.com/TgU9mNhAC7

2021-01-29 22:12:10
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

教育ママが多く教育パパが少ないというテーマに関して、多くの人は社会学的な説明をしたがるのだが、どちらかといえば生物学的な論理──世の中の母親の"意志"を遺伝的に操っている進化心理──に説明を求めた方がいいだろう。ヒトの生態を語るならまず生物学、文化や社会の影響はそのあと。

2021-02-04 13:07:19