大事な記憶

いぞーさんがりょーまさんの記憶だけなくった話
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かむい @sunyaxxx

「本意やのうても、おまんはこのカルデアでわしを使うちょるじゃろが!!」 掴まれた腕を払う。 「昔の記憶は失うなったかもしれんがの、このカルデアの中の記憶は勝手に記録されちゅうやろが!!頭が足りんでもそれくらいは見るわ!!べこのかあ!!」 「…っつ」

2021-04-13 00:12:49
かむい @sunyaxxx

「わしはおまんを望んだが!!一度でもわしはおまんとの体の繋がりを望んだか!!」 「…そ、れは…」 「はっきり答えんかい!!わしは、おまんとの体の繋がりを求めたか!!望んだか!!同意がありゆうがか!!」 一気に言葉を言い切り息をつく。 「話だけっちゅうならどこでもでも昼間に聞くぜよ」

2021-04-13 00:12:50
かむい @sunyaxxx

「昼間じゃなくても話しよ」 「夜は、ダメじゃ、おまんにゃあ、嫁がおるじゃろうが」 だからダメだという。心を求めるならいらない。心を求めた繋がりの相手だけは絶対にしないと言っているのだ。

2021-04-13 00:12:50
かむい @sunyaxxx

記憶を取り戻そうとは思っていた、だけども、…あの泣きそうな目に顔に引きずられてはダメだ。 なぜ自分はこんな奴の為に…舌打ちして足早に出て行ってしまった。

2021-04-13 00:12:50
かむい @sunyaxxx

どうしても苛立ちがおさまらず、しばらくりょーまの前から姿を消した。 本人を見ると怒りがおさまらない。殴りたくなる。 話をしたって思い出せないのだから会う必要もない。 「少しは戻ったかな?」 試作品でもなんでも試して飲んでいる薬を一気に飲みこんでからの効果のほどを聞いてみるが、

2021-04-14 00:12:08
かむい @sunyaxxx

「ちっくとも思い出せんわ、ほがな事よりも戦いに出せ」 「記憶が失うなったんは、さかもとのことだけやき、戦えんわけやないろう、いい加減出せや」 ただ鍛錬するだけでは物足りない、この苛立ちを発散しないと。 「そうかい、ならマスターに頼んでおくよ、ちょうど君も必要になる感じだしね」

2021-04-14 00:12:08
かむい @sunyaxxx

「ほう」 だ・びんちの言葉に口角をつりあげて楽し気な顔で笑みを浮かべる。 「まずは諜報からだけどね、だけども、君の腕が必要になる必ず」 「おん、任せちょけ、わしは仕事でしくじりはせんきに」

2021-04-14 00:12:09
かむい @sunyaxxx

いぞーは、りょーまから離れた。記憶を取り戻すことにばかり気を取られて腹がたってしょうがない。 あの男の情けない顔を見るとどうにもならなくなる。だから離れる。何事にも冷却期間が必要だ。それにばかり囚われても今はどうにもならない。

2021-04-15 02:09:15
かむい @sunyaxxx

「ぶった斬っちゃる!!」 雄たけびを上げ敵を斬り上げる。 誰に八つ当たりをすればいいと言われれば、カルデアは基本私闘も死闘もご法度、ならば敵にあたるしかない。 敵は一騎でも減った方がいい、マスターであるりつかのためにもなる。

2021-04-15 02:09:15
かむい @sunyaxxx

裏で諜報活動も兼ねながら敵を一騎でも多く倒す。 頭から血しぶきを浴び目を閉じる。これが自分だ。暗い闇に紛れながら暗殺、そして相手の血が体に吹きかかる。 「わしがおかだいぞーじゃ、これがわしじゃ、あがな奴とは違う、わしは血にまみれた大罪人」 血のついた両手を見る。

2021-04-15 02:09:16
かむい @sunyaxxx

「ふは…ふははははは!!わしは、天下の大罪人、おかだいぞーじゃ!!何が維新の英雄じゃ、なにがさかもとりょーまじゃ!!わしは血を吸ってなんぼのロクデナシよ!!」 暗い闇に浮かぶ丸い月に向かって嗤う。 自分とは真逆の男の顔を浮かべ『泣きながら』自分を嗤った。

2021-04-15 02:09:16
かむい @sunyaxxx

いらないから捨てた記憶など必要ない、だから胸も痛くない悲しくもない辛くもない、一人でいるのは自由だ自由に動ける。 何にも縛られず、たとえりつかの命令だろうと一人になれば好きに動ける。

2021-04-15 02:09:17
かむい @sunyaxxx

愉しい楽しい!!人を斬ってその報酬がもらえるのだ簡単なことじゃないか。 「もしかして、あの白い抑止の人生きてるの?」

2021-04-15 02:09:17
かむい @sunyaxxx

少しばかり高い声。だが白い抑止と言った言葉に前を見る。 暗い闇に紛れながら見えるのは小さな子供。 目を細めることもなく言葉を綴った子供を見る。 「ねえ、おにいさんがここにいるってことは白い抑止の人生きてるってこと?」 いつの間にか背後を取られ首に小さな腕を巻き付ける。

2021-04-15 23:40:07
かむい @sunyaxxx

「餓鬼の姿して、おまん、誰じゃ」 不思議な事をする英霊ならいくらでもいる。だから今更子供の姿をされて自分の背中に回りこまれたとて驚きはしない。 子供は、目を二度瞬きし、 「あ~、そっか、あの時にかけた呪いのせいで僕達とあった記憶なくなっちゃったんだ」

2021-04-15 23:40:07
かむい @sunyaxxx

「それでかあ、わかったあ~、じゃあ、忘れちゃったんだね、だからかあ、じゃあ、おにいさん、もうすぐ死んじゃうよ」 子供がもう一人増えて足元からやってくる。 くすくすと笑いながら。 「助ける手段しとして、あえて残したのは、大事な何かと引き換えること、あともう一つ誰かの命をもらうこと」

2021-04-15 23:40:08
かむい @sunyaxxx

無邪気な子供の姿で言葉で声でそういう。 「あの抑止の人、本当にしつこくてさあ、私達がいくら世界を壊そうとしても邪魔するんだよねえ」 「だから、とびきりの呪いをあげたのに、そっか、ま、そうだよねえ、一人を犠牲にしたらいいだけだもんね、簡単なことか」

2021-04-15 23:40:08
かむい @sunyaxxx

何千何万の命といぞー一人の命なら、いぞー一人の命をもらった方が見知らぬ誰かを含めた人間も助かり世界も助かる。 子供達は少し離れて残念と言い続けるが、 「あの阿呆の命とわしの命の重さなら、あの阿呆の命の方が重いに決まっちゅうやろが、べこのかあ」 「…え?」

2021-04-15 23:40:09
かむい @sunyaxxx

何かが煌めいたと気付くのは胴が二つに離れてからだ。 たとえ子供の姿をしていても『敵』だ。しかもあのお人好しの『敵』だ。 「わしの命なんぞ、とうに尽きてしもうちょるんに生かす阿呆は、あのばあたれじゃきの、痛みを抱えたままで死にとうはないが、勝手に消えて死ぬんなら重量」

2021-04-15 23:40:10
かむい @sunyaxxx

一人の子供を二つに分けながら脇差で一人を串刺しにする。 ためらいが一つもない動作に子供二人が驚く。 「『あいたあの夢邪魔すんな言うんじゃ』、べこのかあ!!!」 その言葉に斬られた子供達が驚いて体をすぐさま修復し離れる。 今、いぞーは『邪魔をするな』と言った、確かに言った。

2021-04-15 23:40:10
かむい @sunyaxxx

まさかと目をむく。自由になった二振りの刀についた血を払い捨て一歩を踏み出す。 それは人間の速さとは思えぬ目でとらえきれないものだ。 せっかく修復した体が…刻まれた…。 「ま…」 「…さ、か…」

2021-04-15 23:40:11
かむい @sunyaxxx

「別に、いらんわ、こがな命、やけんど、あいたあは選んで勝手にしちょる、ほれで、わしは『呼ばれ続け』ちょる、あの阿呆は死んでもわしを離さんだけじゃ、万人を助けたい笑い、阿呆な夢を描きそれに向かう、その夢の中にゃあのう、わしみたいなだきで阿呆な存在はいらんじゃ、やき、わしはいらん

2021-04-15 23:40:11
かむい @sunyaxxx

わしのおらんところで勝手に理想をもって夢に突き進む阿呆のまんまでえいがやけんど、それを邪魔する奴ぁあ、わしが殺す、なんぼでもなんべんでも殺すち決めちょる!!」

2021-04-15 23:40:12
かむい @sunyaxxx

今、ここにりょーまがいなくて良かったと思う。 単独行動をすれば、もしかすると出てくるかもと少しばかりの事も思っていた。 にぃっと嗤う。 「ぶっ壊されてもロクデナシでも、ひとっと壊れんで捨てきれんもんがある、『わしの大事な幼馴染みの、その夢を今度こそ守る』」

2021-04-15 23:40:12
かむい @sunyaxxx

りょーまが死にかけた時の、その時のことが一気に脳内に流れ込む。 家族以外には、誰にも教えられたなかった、その感情に名をつける前に踏みにじられた壊された、だからわからないままでいい、このままでいい。 愛も恋も知らない知ろうとも知りたいとも思わない近くて遠いすぎる。

2021-04-15 23:40:13
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