大事な記憶

いぞーさんがりょーまさんの記憶だけなくった話
0
前へ 1 ・・ 10 11
かむい @sunyaxxx

何も考えたくない消えてしまえば奴に向ける怒りも憎しみも…それらすべての『フリ』もしなくてよくなる。 もうだいぶ見えなくなった視界に無理やり入ってくる一人の子供。 手を差し伸べる。 「質問はあるよ、貴方は、彼『等』の幸せを願い続けての自己犠牲で、一番傷つくのは誰?」 はくと口が動く。

2021-04-20 02:10:48
かむい @sunyaxxx

その名を声に出してはダメだ。 「傷ついて泣くのは誰?」 一番、忘れてしまわないといけない名だ、呼んではダメだ叫んではダメだ言葉にしてはダメだ。 「お前が言わないなら、吾がその名を言おうか、吾は二度とお前とあいつを死なせないと誓った、神に誓いをたてさせた大罪人よ」 両耳を押さえる。

2021-04-20 02:10:48
かむい @sunyaxxx

「令呪をもって命ずる、ライダーの宝具である、おりょーよ、その名を刻め」

2021-04-20 02:10:49
かむい @sunyaxxx

「ぁあ、人間、その令呪に応えよう、吾の大事なものの名を、消えかける傲慢な人間に与え教えよう、アサシン・おかだいぞーを檻に閉じ込めたままであり座に閉じ込めた男の名を、どこまでも無邪気でそして不遜で傲慢な男だ、その名を…」 「言うな!!」 聞きたくない思い出したくない!!

2021-04-20 02:10:49
かむい @sunyaxxx

せっかくここまできてせっかく忘れかけたのに…もう思い出せないくらいに…。 「『さかもとりょーま』」

2021-04-20 02:10:49
かむい @sunyaxxx

真っ暗な廊下を歩き進めば待ち構えられていた。 暗い廊下に真っ白の服は目立つ目をそらせない、背筋を伸ばし真っ直ぐ歩き、その横を通り抜ける。 「待って」

2021-04-20 22:44:53
かむい @sunyaxxx

静かな声で足を止められる。足を止めなければいいのだが、ここで足を止めなければ腕をとられる足を止められる、どうしてでも止めようとするのはわかっている。 「僕を生かすために自分を殺そうとするのはやめてくれないかな」 「抑止様にかけられた呪いはのうなったやろ、えいやないか」

2021-04-20 22:44:54
かむい @sunyaxxx

それで消えてもいいのだと確かにあの時は思っていた。 目を覚ましてすぐに苦しそうなりょーまの顔を見て胸が痛んだが知らない顔をした。 「いぞーさんが消えるなんてないから」 腕を掴み振り返らせる。 「おまんを二度とわしから離れさせん」 背筋から這い上がる恐怖を感じる。

2021-04-20 22:44:54
かむい @sunyaxxx

「えいか、わしは何度殺されようと、おまんを忘れようともおまんがわしを忘れようと、できると思いなや、必ずわしは思い出す、思い出させる」 恐怖を感じながら、その目をそらさず真っ直ぐに見返す。 「わしがかけた願いと呪いは甘いもんやない、離さんきね、わし一人を見るようになるまで絶対じゃ」

2021-04-20 22:44:55
かむい @sunyaxxx

掴んだ腕を引き腕の中に閉じ込める。 甘いものではないといいながら願い続ける。 万をとりながら個を欲しがり、個を捨て続けながら万を助ける男。 どこまで行っても変わらない、幼い頃から一度決めたことは絶対に曲げない。

2021-04-20 22:44:55
かむい @sunyaxxx

自分がどれだけ悲しい思いをしても、それには気付かず振り回し続ける、いやもう気付いている気付いていながら自分の方を向けと目をそらすなと…掴んだ手を放すまいと必死なのだ。 「いぞーは、馬鹿な奴だな、壊れたとかいうなら大人しくりょーまに囲い込まれてしまえば楽になれるのにな~」

2021-04-20 22:44:56
かむい @sunyaxxx

はくりと蛙型のクッキーを一口で食べる。 「いぞーは、根本的に勘違いしてる、りょーまは、生きてる頃からずっといぞーが好きなのにな~、おりょーさんが胸焼けするくらいに聞かされたからな~」 「そうなの?」 りつかも蛙型のクッキーを一つ指でつまんで食べる。

2021-04-20 22:44:56
かむい @sunyaxxx

「すごいぞ、他の誰の事も忘れても、いぞーの事だけは小さなことからずっと覚えてる、そうだな、例えば、いぞーがどうやったら傷つくとかもな」 「へ?」

2021-04-20 22:44:56
かむい @sunyaxxx

「小さい頃、いぞーがりょーまだけに教えた場所があったらしいんだ、それをいぞーの気持ちを無視して周りにも教えた、でな、いぞーの逃げ場が一つなくなる」 クッキーを二つ口の中に放り込んで飲み込む、

2021-04-20 22:44:57
かむい @sunyaxxx

「わかるか、りつか、いぞーが一人で逃げる場所を一つ一つりょーまは潰していったんだ、かくしんはんっという奴だな」 「うっわ、さかもとさんって、」 「そうだぞ、りょーまはな、絶対にいぞーが逃げられないように、最後は絶対に自分のところに来るようにしてるんだ」

2021-04-20 22:44:57
かむい @sunyaxxx

りつかは、ぶるりと体を震わせる。 誰がお人好しと言ったのか、おりょーは嘘を言わない、物事をオブラートに包んだ言い方もしない。 だからこそストレートに伝わる、りょーまの本心。

2021-04-20 22:44:58
かむい @sunyaxxx

「人間、いいか、あんな奴に好かれたら苦労するぞー、ま、おりょーさんは、そんなりょーまごと好きだからいいんだけどな」 にっと嗤うおりょーの目が紅く光る。 歪みすぎいきすぎた愛情にいぞーが捕まるのが先か、その愛情で捕まえるのが先か。

2021-04-20 22:44:58
かむい @sunyaxxx

どう転んでもいぞーが苦労はするし、りょーまも苦労する、ま、これだけは本人達の努力次第というところだろうが、 「私は、もっと優しい人を好きになりたい」

2021-04-20 22:44:58
かむい @sunyaxxx

「おりょーさんもそう思うぞ、りつかは良い奴だからな、だ~いじょうぶ、良い奴に好かれる、おりょーさんが保証してやる、ま、りつかを悲しませるなら、おりょーさんが丸呑みにしてやろう」 クッキーを三つ放りこんでごくりと喉を鳴らせ丸呑みにした。

2021-04-20 22:44:59
前へ 1 ・・ 10 11