*42 O'Regan J. K. 1992. Solving the "real" mysteries of visual perception: The world as an outside memory. Canadian Journal of Psychology 46:461-88.
2021-04-19 11:13:59*43 Frith C. D., S.-J. Blakemore, D. M. Wolpert 2000. Abnormalities in the awareness and control of action. Phil. Trans. R. Soc. Lond. B, 355, 1771-1788.
2021-04-19 11:14:12本稿では、ヒトの言語の進化には、以下のような二つの段階があったと考えます。これは前掲の参考文献の一つ[*33] にならったものです。ただし、同書の枠組みは採用するものの、その内容は同書とはかなり異なるものになると思います。
2021-04-20 10:47:37いずれにしても、その枠組みにしたがうと、言語は、もともとの言語レベル0(言語以前)の段階から、言語レベル1(原言語)、言語レベル2(本言語)と、二段階で進化したことになります。
2021-04-20 10:48:27レベル0:言語なし レベル1:内容語(と現場指示的な機能語)のみあり 単文のみあり レベル2:内容語と機能語(と接辞)あり 単文と複文あり
2021-04-20 10:49:29ここでいう「内容語」とは、動詞と名詞のことです。形容詞も内容語ですが、最初期の言語にあったかどうかは不明です。「機能語」とは、それ自身は内容をもたず、文法的な機能だけを示す語のことで、冠詞とか助詞とかがそれに当たります。語内の「接辞」も機能語のような働きをするものです。
2021-04-20 10:51:11「現場指示的な機能語」とは、会話の行われている現場にある物や人を指す代名詞などのことです。方向を示す語なども含まれるかもしれません。これに対するのは「文脈指示的な機能語」ですが、これは会話の中に出てくる物や人を指すもので、レベル1では存在しなかったと推定されます。
2021-04-20 10:52:38また、レベル0の段階であっても、語彙と文法に相当するものはそれぞれ別に存在していて、それらが後に組み合わさって言語になった、という考えもあり、参考にしています[*28]。
2021-04-20 10:53:59本稿の[B1]~[B5]では主にレベル1の出現過程を論じ、[B7]~[BY]では主にレベル2の様態を考察します。[B6]と[BZ]では全体を補足します。
2021-04-20 10:56:52いずれにしても、実際にこういった二つの段階があったのかどうかは不明です。明確な段階なしに徐々に変化してきたのかもしれませんし、逆に一足飛びに高いレベルの言語が獲得されたのかもしれません。ただ思考の便宜上、本稿ではこういう段階があったと仮定することにします。
2021-04-20 10:57:08現在の言語は、音声言語が多数派であり、手話のような身振りを使う言語は少数派です。ただ、最初の言語は身振りから発達した、という考えもあります[*37]。
2021-04-20 11:00:01本稿でも、とくに動詞については、身振りから発達したと考えることにします。名詞については、身振りから発達した可能性も音声から発達した可能性もあると考えることにします。
2021-04-20 11:00:21言語は、ヒトの社会的(対人的)な知性と技術的(対物的)な知性の複合の産物だ、という考えがあります[*26]。 本稿でもその考えを採用します。
2021-04-20 11:00:55霊長類の多くが行っているグルーミングと、人類が日常的に交わしている噂話は、社会的に同等な機能を果たしているという仮説があります[*34]。 これは「グルーミング=ゴシップ仮説」と呼ばれているようです。
2021-04-21 11:06:13霊長類のグルーミングといえば毛づくろいであり、手を使う行動なので、人類が行う噂話も、最初は手を使った言語、すなわち手話で行われたとすると、行動の変化がより滑らかに進んだと考えられます[*37]。
2021-04-21 11:08:13