(おかんまとめ25)朝の三分小説~おかん~(鉛色の追跡者編)

おかん398からおかん414まで。  ドラボーロとの戦いからしばらく経過し、松本市は諸侯が乱立する戦国時代と化していました。  このあたり、敵を倒したからといっておかんがヒーローとして祭り上げられるわけでもなく、ただ治安が悪化するだけなあたりがピカレスロマンって感じですね。  旧ドラボーロ勢力が復権を考えててもよさそうなもんなのに、そうならないあたり、潜在的に住民の治安があまり良くなかったのかもしれません。  そして、松本市の治安を改善するためにおかんがついに市長選の候補に。ヒーロー扱いはされないけど治安改善に利用されるのがやたらリアルな塩梅です。つい直前までPTA選挙やってたとは思えないスケール感です。 続きを読む
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カメックスシ @agodenderu

おかん398 松本市を支配していたドラボーロ氏が倒されて一年。松本市はマフィアや武装警察、宇宙海賊、市民連合、老人会などによって無秩序な分割がされる様になった。そんな中、市民達は市政の安定を求め、松本市の統一市長を決定する事になった。そこで白羽の矢が立ったのがあのおかんである。

2017-05-26 07:01:08
カメックスシ @agodenderu

おかん399 おかんは人の家の軒下に巣を作っている最中だった。 「これなら熱い夏でも快適だぞ」 「おーいおかんさんや、アンタ今度の市長選挙に出るんだろ」 おかんに巣を作られた家主の婆さんが尋ねた。 「出る訳ないでしょ、PTA会長になったばっかりだよ」 「みんな出るって言ってたよ」

2017-05-29 06:57:51
カメックスシ @agodenderu

おかん400 世間(松本市)ではおかんが市長選に出るのではないかと噂になっていた。 「長野四天王を三人も倒して長野県の三割を支配している(と噂になってる)おかんさん意外に松本市東部地区の代表はいませんよ」 「なんか噂が大きくなってないか。まあ忙しいから無理だな」

2017-05-30 07:00:10
カメックスシ @agodenderu

おかん401 「すでに宇宙海賊夏の夕暮れからはナンバー3のウミガメマンが、ヤクザの長門組からは組長のひろきが立候補を表明してますよ」 「この街はどこに向かってるんだろう」 しかし、おかんの思いとは関係のない所で事態は深刻化していた。 「安賀多おかんはいるか」 妙な来客者だった。

2017-05-31 07:01:21
カメックスシ @agodenderu

おかん402 来客者は全裸のマッチョなダンディであった。ただし、その手にはライフル銃が握られている。 「これは通報した方が良さそうだな、いろんな意味で」 「もしかしたら、これは市長を目指すライバルからの刺客かもしれんよ」 軒下に巣を作られた婆さんが言った。 「気が早いなあ」

2017-06-01 06:57:21
カメックスシ @agodenderu

おかん403 全裸のマッチョなダンディは容赦なく銃口を向けてきた。 「やばい逃げよう」 おかんと軒下に巣を作られた婆さんは街に逃げた。もはや松本市に安全な場所なんてないのに。 統治者の失われた松本市では、乱闘略奪焼き討ちなどが多発した。 「おいおい、松本春の犯罪祭りかよ」

2017-06-02 06:58:25
カメックスシ @agodenderu

おかん404 おかんが逃げ込んだのは近くの美術館だ。ここは抗争も起きてない。 「この美術館妙にヤクザのブロンズ象が多いな」 「それはこの私がブロンズ象に変えたヤクザ達です」 出てきたのは美術館の館長だ。 「実は私も市長選に立候補しようと思ってましてね。おかんさんも消えて頂きたい」

2017-06-05 06:56:34
カメックスシ @agodenderu

おかん405 館長には人をブロンズ象に変えるわくわく光線という技があった。 その時、全裸のマッチョなダンディが美術館に入ってきた。 「なんだね君は、今いいところだからブロンズにでもなってろ」 館長の手から出たわくわく光線はダンディに当たってその方向を変えた。 「効かないだと」

2017-06-06 06:56:22
カメックスシ @agodenderu

おかん406 「邪魔だどいてろ」 全裸のマッチョなダンディは館長を投げ飛ばした。 「やばい逃げよう」 おかんはこの隙に美術館を脱出した。とりあえず松本城まで逃げれば知り合いの宇宙海賊がいるので匿ってもらえるかもしれない。 しかし、途中の城下町では武装した警官が検問をしていた。

2017-06-07 06:56:08
カメックスシ @agodenderu

おかん407 検問に引っ掛かった。 「ここを通りたければわかってるよな、三万で許してやる」 「もっとらんよそんな大金」 「市長選に出る癖に貧乏な奴」 「ぐわっ」 突然矢が飛んできて警官の肩に命中した。遠くから弓を持った警官がやって来る。 「あぶない所だったな、そいつは偽警官だぞ」

2017-06-08 06:59:04
カメックスシ @agodenderu

おかん408 「俺が安全な場所まで連れていってやろう」 武装警官に連れられおかんは雑居ビルに入って行った。すると中には悪そうな人達が。 「あれ、この人達は」 「騙されたな、俺が偽警官だったのさ。お前の身柄は他の市長候補者に高く売れるんだ。これでプール付きの縦穴式住居に住めるぜ」

2017-06-09 06:55:02
カメックスシ @agodenderu

おかん409 何とかして逃げ出そうと考えていたらさっきのマッチョなダンディが乗り込んで来た。 「なんだお前、どこの組のもんじゃ」 「靴下ぐらいはけよ」 「まさか長門組の者か」 ダンディは偽警官達を窓から投げ飛ばし始めた。 「邪魔だ、お前が安賀多おかんだな」 おかんも窓から逃げた。

2017-06-12 06:56:49
カメックスシ @agodenderu

おかん410 松本城の前まで逃げてきたおかんだが、そこで宇宙海賊のウミガメマンと長門組のひろきが決闘していた。 「実は俺は人喰い巨大サメに変身出来るぞ」 ひろきは巨大サメに変身した。 「やばい陸上でサメになったから身動き取れないぃぃ」 ウミガメマンはひっくり返って動けなくなった。

2017-06-13 06:56:37
カメックスシ @agodenderu

おかん411 おかんが松本城内に逃げ込むと、おかんの知り合いで宇宙海賊の船長をやっているでかいルンバさんがマッサージチェアに座っていた。 「よお、最近お前城下の実力者を倒して回ってるんだってな」 「しとらんよそんなこと」 世間話(主に牡蠣の話)をしているとヤツが来てしまった。

2017-06-14 06:56:29
カメックスシ @agodenderu

おかん412 全裸のマッチョなダンディはスリッパを履いて松本城に入って来た。 「この男だよ」 「なるほど、強そうなマッチョだな」 でかいルンバさんも納得するほどの筋肉であった。 「でも私とでかいルンバさんの二人なら勝てるんよ」 「あっ俺そろそろ充電の時間だから」 「えっ……」

2017-06-15 06:56:03
カメックスシ @agodenderu

おかん413 でかいルンバさんは部屋から出て行った。 「私を一人にしないでくれ~」 「安賀多おかんだな」 ライフルの銃口が向けられる。 「私が何をしたって言うのさ、人に恨まれる覚えなんてないよ」 「言いたい事はそれだけか」 マッチョなダンディが引き金を引くと蕎麦が出てきた。

2017-06-16 06:55:46
カメックスシ @agodenderu

おかん414 「えっ」 「初めまして、隣に引っ越して井上です。これは引っ越しそばです」 「あっどうも」 井上さんは引っ越しの挨拶に来ただけだった。 結局、市長候補者達が謎の襲撃を受けたりしたため、松本市長は決まらず市内の平和は微妙なままだった。 「鉛色の追跡者編」完

2017-06-19 06:58:59