(おかんまとめ30)朝の三分小説～おかん～(猿の温泉編)

カメックスシ @agodenderu

おかん479 「湯田中、そこは地獄谷から現れた猿人達に支配された街、人類はもはや奴隷でしかなかった。あと温泉が有名だ」 冒険者トロ松崎の手記より抜粋。 湯田中温泉にワープさせられたおかんも例外ではなく猿人達に捕まって強制労働(主にカレーにじゃがいもを入れる仕事)させられていた。

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おかん480 一日過ごして判ったのだが湯田中温泉には長野市の政治犯とされた人が多くワープさせられているようだ。 八時間の労働が終わった後は温泉とテニスとわずかな食事が許される。 奴隷に個室はなく大広間の臭い布団で眠る。 柄にもなく労働したせいか指先の痙攣が止まらないおかんだった。

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おかん481 おかんは脱走を企み他の奴隷と情報交換していたが 「やめた方がいい。ここのボス猿は体長184センチの化物だ。この前も脱走者が竜田揚げにされとる」 「街の出口は猿人に見張られているぞ」 仕方がないので猿人に見つからないよう、一匹ずつ猿人を消していく事に決めた。

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おかん482 猿人は強いのでこっちも強そうな仲間が欲しいが、同じ雑居房に保安官の格好をした奴がいた事を思い出した。保安官なら強いと思う。 この話を保安官に持ち掛けると 「今は俺忙しいし時期じゃないんじゃないかな」 と遠回しに断られた気がした。 次は平家風の男に頼もうと思う。

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おかん483 「わしに頼むとはわかってる。この冒険者トロ松崎が協力しよう」 平家風の男トロ松崎は平家のコスプレをした冒険者だった。 作戦は猿人を一匹ずつ誘きだして、トロ松崎が背後から羽交い締めにしておかんがとどめをさす。 「ちょっと猿人さんビデオデッキの使い方を教えておくれよ」

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おかん484 おかんはビデオデッキの使い方を聞くふりをして上手く猿人を一人呼び出した。 あとはトロ松崎が背後から羽交い締めにするはずなのだが返り討ちにされていた。 「助けてくれぇ」 「うわぁ」 やっぱりトロ松崎を見捨てて逃げようか迷った。 とりあえず写真を撮っておく事にした。

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おかん485 やっぱり猿人と戦ったら負けそうなのでトロ松崎を見捨てようかと思った時 「やっぱり俺がいないとダメだな」 とか言って保安官の格好の奴が歩いてきて猿人の首元を指で突いた。 すると猿人は意識を失って透明になった。 「これは貸しだぜ。今度ドラゴンボール全巻貸してくれよ」

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おかん486 「保安官さんはどうして助けてくれたんだ」 「湯田中温泉の調査が終わったからな。じゃあ猿人のボスをコロッケにでもしにいこうか」 と保安官が言っていた時、黄金の猿人達が街に乗り込んで来た。 「私達ハ外来種ノ猿人デース。コノ街ヲお好み焼きノテーマパークニシニ来マシタ」

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おかん487 外来種の襲撃にすぐにボス猿の大猿エアポートが現れ、抗争に発展した。 「お前らこの大猿エアポート様の街で何しとるか」 「じゃあ私達は第三の選択肢としてこの街を大根ミュージアムにしようか」 というおかんの呼び掛けのもと奴隷達も結束して、ここに三つ巴の覇権争いが勃発した。

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おかん488 「さあ立ち上がれ奴隷達、この安賀多おかんと共に戦おう」 おかんが奴隷達に決起を呼び掛けると 「すげぇあの大盗賊おかんじゃねーか」 「まて、あのおかんの横にいる保安官って長野四天王のガンマン・エメラルドンじゃないか」 「回転寿司四天王のトロ松崎もいる」 「えっ」

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おかん489 ガンマン・エメラルドンの提案でラジコンカーレースで湯田中温泉の覇権を争う事になった。 おかんはそろばんを改造した「ワイルドジャガーノート号」で参戦する。 レースは湯田中駅前を各マシン一斉にスタート。 半数くらいのマシンは整備不良のためスタートと同時に爆発した。

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おかん490 大猿エアポートのマシンもスタートと同時に爆発していた。 「こんなラジコンカーレースなんて認めねぇ、ぶっ殺してやる」 大猿エアポートはキレて襲いかかって来たが 「うるせぇ」 とガンマン・エメラルドンに蹴りとばされて何処かに飛んでいった。 「やっぱりラジコン楽しいなぁ」

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おかん491 傍若無人な振舞いだがこのガンマン・エメラルドンという男は純粋にラジコンカーレースを楽しみたいんじゃないか。彼の楽しそうな姿を見たおかんは確信した。 しかし、少しでも機嫌を損ねたら味方でも捻り潰されそうな気もする。 なので勝ちすぎず負けすぎない様に走らないといけない。

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おかん492 次々とラジコンは脱落していき外来種の猿人が優勝した。 「コレカラハ温泉トお好み焼きノ街トシテ発展シマース」 「おめでとう」 この一件により湯田中温泉は長野市長の傘下から離脱。遠回しにガンマン・エメラルドンの勢力に入った。 この一件は後に「ラジコンの乱」と呼ばれる。

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おかん493 その夜、ラジコンの乱に関わった有力者達が集まって打ち上げが行われた。 そこでおかんも仲間達と語らっていた。 「そういえばガンマン・エメラルドンはどうしてこの街に来たんだ」 「ピザモンスターの支店を出す場所を探してたんだ」 「旨いよなあの店」 「俺筆頭株主なんだよ」

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おかん494 実はトロ松崎はどんな眼精疲労でも治せるという伝説の龍神を呼び出すためのレーダーを探してこの湯田中温泉まで来ていた。 「それはどうでもいい」 「えっ！？」 「ピザモンスターの株主優待券をやろう。ピザ全種類とオレオの佃煮が四割で買えるぞ」 「それは嬉しい」

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おかん495 「それでこれからどうすんの」 「もちろんボンボ・ウボンに捕まったムーンライトさだみつを助けに行く。あいつは今頃きっと勉強とか無理矢理させられてるんだ」 「それでいいんじゃない」 「あいつには家業(盗賊)を継がせるから大学なんか意味無いぞ」 「好きにさせてやれよ」

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おかん496 「どのみち今のお前だとボンボ・ウボンには勝てないし奪還も無理だ。多分捕まってかまぼこにでもされるぞ」 「やっぱり修業が必要か」 「俺の経営するシャイニング寿司道場で修業ごっこしないか」 とトロ松崎が提案した。 「それはちょっとな、私は師匠のいる戸隠の里へ向かうよ」

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おかん497 おかんは湯田中温泉を後にして単身戸隠の里へ向かう。一人で旅をするのはいつ以来だろうか。十代に戻った様に足取りは軽やかなものだった。 もうすぐおかんは500回です。500回からは本筋とは無関係な特別編「復活の寺田よしのり編」がスタートします。話数があまりました。

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おかん498 話数が余ったのでここで一つためになる話をしましょう。 宇宙怪獣ダブルカルバンに山で遭遇した場合はAMラジオを付けましょう。五割の確率で助かります。FMラジオだと即殺されます。 ドン・クリー○の柄のパジャマを着て目を閉じると安らかに死ねるでしょう。

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おかん499 おかんももうすぐ500回です。開始からいつの間にか二年も経ってしまいました。書き始めた頃はこんなに続くとは思ってなかったですが、今では生活の一部になりつつあります。 これからも朝の心暖まる時間を作っていくおかんをよろしくお願いいたします。 「猿の温泉編」完