ナコ @nakotic の #twnovel 全部

ナコ@文学フリマ東京Q-01 @nakotic

#twnovel 「責任の取り方、知ってる？」彼女は微笑んで尋ねる。僕に。何の、責任？あれかな。これかな。それとも、どれ？「取り方を知ってるのか、聞いてるの」彼女はまだ微笑んでいる。その、右手に何か黒っぽくて重そうなものを持っているようなのだけれど、僕はなぜかそれを見たくない。

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#twnovel 一生に一回くらいなら、刺し殺されるって言うのも、悪くないのかもしれないなあ。

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#twnovel ナイフを研いでおく。こわいあいつが追いかけてくる前に。角をまがった、路地の陰で。それから駆け出してもいいし、待ち構えてもいい。よく研いだナイフがあれば、迎撃もできる。あいつを刺すこともできるし自分を殺すこともできる。刺されるのは貴方かもしれない。その、喉をね。

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#twnovel 「君のアニマが求める男性を体現した結果としての理想像とは？」「は？」「解説してやろう。男性たる君の内面に存在する内なる女性性＝アニマ。彼女が理想とする異性の姿を、社会的・肉体的に男性である君がいかに体現するのか、ということなんだが」「はあ」「分からんなら帰れ」

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#twnovel 携帯電話が囀る。電車内が緊張する。緊急孵化速報。皆、端末を見つめている。端末は丸みを帯び、ふるふると震える。中から鳴き声がする。「ああ」雛は孵化し、瞬く間に羽根が乾く。そして空調制限のため開け放たれた窓から飛び立つ。持ち主の思い出と共に。数多の鳥が青空を覆う。

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#twnovel 桜の樹の下で、俺は去年の春を思い出す。かつて殺され、埋められ、今年は桜の養分になった俺は、なぜか花びらの視点で公園を見る。かつての上司が誰かを殴打している。俺の隣に埋まるのだろう。綺麗な人だといい、と思うが、視界はちらちらとして焦点が定まらない。 @nodo69

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#twnovel　生贄を捧げる儀式が終わる。極限まで照明の落ちた部屋。荒く息を吐く二人の男。煙草の煙が染み付いた部屋に、木琴めいた電子音が響く。携帯端末の液晶が光る。二人ともそれを、手に取ろうとさえしない。「気が狂ってる」どちらともなく呟く。

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#twnovel 「俺は言葉を司る。世界は言葉でできている。俺は世界を手に入れる」「おれは言葉の弓を射る。形ない魔物を矢で射ぬく。弦は概念、矢は言葉」一瞬の沈黙。非言語の空間。「…概念部マンガ化って、一次創作部はマジですかね」「そもそも一次創作なのか？」「出演料交渉、してきます」

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.@yuriikaramo #twnovel 深夜のＴＬにグラスの音が響く。グラスの中身は問題じゃない。私は焼酎で、君はビールだろう？乾杯の音色は繋がってゆく。どこにいるかも問題じゃない。今、沖縄と北海道でグラスが合わさった。乾杯しよう。私たちの未来に。文学の夜明けまで。乾杯！

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#twnovel かちゃり。撃鉄の起きる音。細い指が支える鉄の塊。遠くで回るファンの音。サイレン。冷たい床。「立ちなさいよ」彼女は微笑む。右足の踵が砕かれているので、それは不可能だ。彼女が、その手で、骨を砕いたのに。「聞こえないの？」花を愛でる様な笑顔。銃口の奥の闇と目が合う。

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#twnovel 「昨日は心配って言うか、迷惑かけて、ごめん。びっくりしたよね。いつもああなんだ。あれが普通なの。あたしのことを好きだって言ってくれるのは、あのひとくらいしかいないから。あたしは大丈夫。でも」ぎこちない微笑。「今日は、こわくて家にかえれない」人間のまねをしている。

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#twnovel 概念とは何か？それは、世界を切り取るナイフだ。フォーク並び。近代科学。純粋贈与。神。人々は不定形にして無名なものを名づけることで世界からそれらを「切り出し」、その手で扱えるようになった。「未知なるものへの恐怖が最も強い、か」。彼らは微笑む。彼らは恐怖を知らない。

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早い、高い、うまい #twnovel

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#twnovel 「主観ですが」副部長の毒舌はだいたいこう始まる。「人物の本質をついていない。二次創作なら原作を読みこんで人物理解を深めろ。そもそも論として同性愛関係である必要もない。なら、一次創作男女恋愛でいいだろ。つうかこんな受け身で主体性の欠片もない人間はおれじゃねえ！」

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#twnovel 「困った」「ああ」回りくどい言葉を好む彼らの、最小限の言葉。新年度、概念部は二人となった。部に必要なのは三名。「誰か一人」「ですね」視線の先には、柔らかな物腰で印刷物を配る長身の男子。「彼だ」「ええ」部長と副部長は視線を合わせずに笑う。「概念の王国へようこそ」

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#twnovel 夏は暑く、冬は寒い、部室という名の倉庫じみた部屋。蝉の声を聞きながらアイスキャンディーを食べ、肉まんを食べながらかじかむ指でキーボードを打つ日々。「なあ、君の中のアニマが求める男性を体現した結果としての理想像とはどのようなところだい？」彼らは言葉で、戦う。

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#twnovel その活動の不透明さ、特殊さから、概念部の扉を叩く生徒は減り続け…。とうとう、部活動としての体を成すぎりぎりのところまで落ち込んでいた。しかし彼らは、諦めない。目指すは全国大会。概念を扱う若者が集まり、言葉と言葉で殴り合うその場所で、頂上を目指すのだ。

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#twnovel 文学クラスタ学園。文学、或いは文章表現を志す若者が集う学園。研鑽を積む彼らの中に、ひと際高みを目指す者がいた。数ある部活動の中でも異彩を放つ「概念部」。そこでは目に見えぬものを名付け、顕在化し、思考の対象とするべく言葉を操り、日々思考実験が繰り返される。

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#twnovel 横断歩道の向こう側で、君は歩きださずに佇んでいた。僕は人の波に流され、信号が赤になったところで立ち止まった。遠くて見えないけれど、見える。君はいつものように、唇の片側をつり上がらせた、ゆがんだ表情をしているんだろう。どうして泣きたい時に笑おうとするんだい。君は。

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#twnovel しかしながら有史以来、人の作りしものが人に犠牲を強いてきたというのも、紛れもない事実ではないですか。そして神は天に在り、人に話しかけず、人を救わず、人を罰したこともなかった。ただ世界はこともなしとして沈黙するのみ。「彼ら」の紋章にも記されている。 @nodo69

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久々にとげとげしている。でも笑っていよう。私の方が強いのだから。社会的にも、精神的にも。局地的にかもしれないけれど、私はあいつらを潰すことができる。私の力が本物だから。私の力はそんな風に使われるべきではないけれど。だから、いつでも、優しく微笑んでいよう。私は。 #twnovel

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#twnovel 一人で泣きながら飲む酒は、うますぎない方がいい。ビールならアサヒスーパードライ。ウイスキーならブラックニッカ。ロックでもお湯割りでも。コーラで割るならダイエットペプシ。トリスは昔の方がまずくて良かったな。どうせ涙になる水分だから、うまい酒だともったいない。

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#twnovel 誰か私を、絶対的な唯一だと言って。今この瞬間に、はぜる様な強さで。そして、その瞬間を、いつまでも、ずっと、私が死んでしまうまで続けて。それがないと、消えてしまいそうなの。表面張力のように、私に触れていてほしいの。さまざまな刺激で。でも、それでも、優しくされたい。

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#twnovel 「やあ、旅の人。同じ方向かい？次の街まで、ご一緒させておくれよ。東の方から来たのかい？こっちは、ホビット庄ってとこの出でね。うん、あったかくて、食べ物もおいしくて、いいとこだよ。ついでがあったら寄るといいさ。こんなにいい天気の日に、一緒に歩けて嬉しいよ」

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感情が変質していく感覚。私の身体の中で、内臓の中で、煮える液体が変質してゆく。新たな熱を加えられている。あの甘やかな蜜のようなものは、やがて腐臭のする毒に変わるのだろう。錬金術の逆の過程で、物質の階梯を逆行している。金は硫黄と水銀に還る。賢者の石など作れない。 #twnovel