小山田圭吾氏のインタビューが掲載されていたQuickJapan Vol3を実際に読んでみた人の感想と、竹熊健太郎先生の解説

少なくとも町山さんの自己弁護バリバリの話よりは説明として納得がいく。町山さんのは本当にひどかった
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寿寿💉💉💉💉💉 @shisahikibutoko

@masterlow 竹熊健太郎さんの「私とハルマゲドン」には、いじめられた体験談などが載っていました。 クイックジャパンのいじめ紀行との関連は不明ですが。 pic.twitter.com/iUxvazvgfI

2021-07-24 14:03:47
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竹熊健太郎先生の解説

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

小山田圭吾がいじめ告白をした90年代前半の「クイック・ジャパン」で私も仕事をしていた。小山田インタビューを担当した編集者も知っているあの当時もそれなりに衝撃的な記事だったが、炎上することはなかった。ネットが未発達だったこともある。

2021-07-18 06:41:15
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

90年代は95年の前と後では全然ムードが違う。私の記憶では、90年代前半に流行った「悪趣味」「鬼畜系」ブームの中で、その変種として受容されたのではないかと感じている。鬼畜系の出版をよく出していたのがデータハウスと太田出版で、太田出版からは「完全自殺マニュアル」がベストセラーになった。

2021-07-18 06:46:00
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

私の印象では94年までは80年代の延長で、80年代は「明るいニヒリズム」の時代だった。この辺りを説明しようとすると、Twitterの短文では難しい。60年代の高度経済成長の終着点が80年代末のバブル経済で、これは91年に弾けたが、本当に不景気の実感が始まったのは98年からだ。

2021-07-18 06:52:18
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

しかし95年に阪神大震災とオウム事件があり、時代の「空気」がガラリと変わった。80年代から始まった「明るいニヒリズム」「悪趣味ブーム」「鬼畜系」は、それからも出てはいるが、未曾有の天災に加えてオウム事件という、80年代のパロディのような現実の大事件によって霞んでしまった。

2021-07-18 06:55:46
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

私は鬼畜系の仕事はしなかったが、そういう記事が載る雑誌で仕事はしていたし、強いて言うなら「悪趣味系」ではあったと思う。95年のオウム事件で、私の中の80年代、広い意味での日本の戦後は終わってしまった95年以降のその状況に表現として対応できたのは、「新世紀エヴァンゲリオン」だけだった。

2021-07-18 07:00:27
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

小山田圭吾のいじめ告白が掲載された「クイック・ジャパン」95年7月号。なんとなくこれが最初の印象があったが、ロッキング・オンの記事の方が一年早かった。 pic.twitter.com/q4wgdJduY8

2021-07-18 07:06:05
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竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

初期のQJはほぼ不定期刊だったから、7月号は7月に出た(実際は6月)ということですね。第3号というのが正しいかも。

2021-07-18 07:34:10
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

昨晩鶴見済氏からメッセをいただいた。私の一連のツイートで「完全自殺マニュアル」を90年代の鬼畜系の文脈に入れて書いたことへの抗議(というほどのものではなかったが)のメッセだった。同じ指摘をフォロワーからもいただいていたこともあり、釈明しておかないと、と考えていた矢先のメッセだった。

2021-07-23 10:21:57
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

以下、鶴見氏への返事を載せる。 「Twitterの短い文章ではうまく書けなかったと後悔しています。おっしゃるとおりです。私の趣旨は、ああいう一見「反倫理的」なテーマを扱うことが、90年代前半の「悪趣味系」が流行った時代の中で成立した企画で、

2021-07-23 10:23:39
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

「完全自殺マニュアル」の作品としての目的は、むしろ反対側にあると書くべきでした。 実際、「完全自殺マニュアル」は鬼畜系ではない、という指摘を何人かのフォロワーから頂いております。近く訂正を入れたいと思います。」

2021-07-23 10:24:33
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

鶴見氏への返事は以上だが、今朝方「週刊女性」のコメントとして送った文の一部を載せる。 「Twitterで私はうっかり90年台に流行った「鬼畜系」「悪趣味系」の言葉を出してしまいましたが、QJ自体は必ずしも鬼畜系・悪趣味系の文脈で編集された雑誌ではありませんでした。→

2021-07-23 10:29:48
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

特にQJは殊更に反道徳・反倫理を強調する鬼畜系の記事は載りませんでしたが、価値判断を正面に出さず、一見「悪趣味」とも思えるテーマや題材を扱うことはあったと思います。その意味では広い意味での「悪趣味系」と捉えられる側面はありました。私の書いた記事にもそのようなものがあります。→

2021-07-23 10:31:10
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

こういったテーマを殊更に、露悪的に扱うことは、当時はQJのようなマイナー誌ではよくありましたし、ある意味では今も続いていると思います。  その意図は、あえて一般的な道徳とは反対の立場を取ることで、世間の「良識」や「道徳」の欺瞞性に疑問を投げかけるということがあると思います。

2021-07-23 10:32:18
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

小山田圭吾インタビューは、もともとは「いじめられた」側のインタビューも載せる計画で、記事を読むと実際にインタビューを試みた経緯も書いてありますが、結果は断られました。→

2021-07-23 10:34:06
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

まあ、いじめられた側にしてみれば思い出したくもない過去でしょうし、無理やり取材してもセカンド・レイプになってしまいますから、これは相当に時間をかけて、いじめられた側とコンタクトをとり、信頼関係を築いてから取材する慎重さが必要だったと思います。→

2021-07-23 10:34:35
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

それができた上で小山田インタビューをすれば、全く異なる記事になったでしょう。  その意味では、慎重さを欠いた記事になっていたと思います。」 以上。

2021-07-23 10:34:51
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

雑誌に答えたコメントの一部ですが、全文はかなり長くなり、適当に編集して載せて下さいと先方に伝えました。雑誌が出てから、原文の完全版を後日ネットに上げることも考えてます。

2021-07-23 10:45:44
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

「いじめ紀行」を掲載したクイック・ジャパン初代編集長の赤田祐一氏は、編集長を他に譲って太田出版の書籍部に異動し、高見広春「バトル・ロワイヤル」を単行本化してベストセラーにした編集者です。「バトル・ロワイヤル」はもともと角川のホラー小説大賞最終選考に残った作品ですが、

2021-07-23 13:33:40