- Apple_Mystery11
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プールでの事件があった翌日の朝。 シルクもアビゲイルも、大した怪我もなく風邪も引いていないということで、とりあえず安心した。 大事をとって休んでいたフランチェスカも医務室から出てきていて、いつも通り朝食の席に着いている。
2021-07-25 21:03:04…しかし、一昨日の朝のような明るい雰囲気ではなかった。 プールに居合わせた探偵たちは皆、エプルの言っていた明日来たる「最後の晩餐」という言葉について考えていた。
2021-07-25 21:03:48女児連続殺人事件の記事の見立てが残り2つだったことを考えれば、昨日の朝の事件を1つとして、残りはもう1つ…つまり明日の夜8時に、それが行われるという予告だろう。
2021-07-25 21:04:33そんな食堂に徐々に集まり始めた者たちの耳に、ドタバタと廊下を走る音が入る。 そのまま食堂の前で急に立ち止まって勢いよくドアが開けられた。
2021-07-25 21:06:17開けたのは…マシューだった。 その顔はどこか焦燥している。 その様子を見て、近くにいたジェフェリーが声をかけた。
2021-07-25 21:07:01息を切らして彼らしくもない声音で、そう告げた。 朝から騒々しいと眉を寄せていた探偵や少女も、その言葉には驚いたものだ。慌てて何があったのかと、椅子から立ち上がり食堂の入口へ向かい彼に詰め寄る。
2021-07-25 21:08:16聞けば、朝目を覚ますとミクニリィが居なくなっていたらしい。 急いで支度をして館中を駆け回り、30分かけて探したが見当たらず、緊急事態だと焦った彼は食堂に駆け込んできたというのだ。
2021-07-25 21:08:54「最後の晩餐」は明日だ。 「来なければ身の保証はできない」と予告していたエプルの言葉からして、参加出来なければ決して良くないことが起こるのだろう。 しかし。
2021-07-25 21:10:57ミクニリィ自身が隠れている可能性もなくもないが、食いしん坊の彼女が朝食に姿を現さないのは不自然だ。 そうなると、館側が彼女を隠したことになるが…。 しかし、いつも通り死体偽装をするというのなら、前日のうちに少女を隠しておく意味が無い。
2021-07-25 21:11:50「今までの事件、夜中にいなくなるならまだしも、その前日からいないなんてことはなかったよね」
2021-07-25 21:13:10エトガルが席に座ったまま、隣にいるアイリーンが朝食を頬張っているのを見ながら呟く。今までを思い返して、探偵たちは頷いた。 彼の言う通り、居なくなるのならその当日の直前だったのに。
2021-07-25 21:13:23同じタイミングで、追加の朝食をワゴンに乗せて持ってきたデアダームが「おや」とマシューを見て挨拶をする。 彼は目を向けただけで言葉は返さないが、デアダームは気にしていないようだった。
2021-07-25 21:15:26「皆様どうぞ、お召し上がりください」 にこやかにそう告げるデアダームの声は、いつもより明るかった。
2021-07-25 21:16:15