対抗問題について

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杉山博亮 @sugiyamahiroaki

対抗問題は全然難しくない。驚くほどシンプルだし、判例も論理的だ。受験生のころ、このことが初めて解ったときは猛烈に感動した。と同時に、広く行われている教え方に対して、猛烈に腹が立った。変に簡略化して説明しようとするから、かえって話がややこしくなる。

2011-08-20 11:03:54
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

対抗問題が解るきっかけになった本は、槇悌次先生の『物権法概論』(有斐閣ブックス)。ただ、この本を受験生に勧めても、あまり評判がよくない。表現がとても難しく取っ付きにくいからだろう。しかし、この本を読むと、学者というものの凄さを見せつけられる気がする。

2011-08-20 11:09:51
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

本来、権利は二重に譲渡することができない。1つのボールを2人にパスできないのと同じ。民法177条は、権利変動を相対化しこれを可能とした。だから二重譲渡を処理するために177条があるのではなく、177条によって二重譲渡という現象が生まれた。このことは星野英一先生の本に書かれている。

2011-08-20 11:16:19
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

物権にも債権にも二重譲渡があり、対抗要件で決せられる。これは権利の排他性とは関係がない。だが、相容れない内容の地上権の二重設定は対抗問題となるが、動産の二重賃貸借は対抗問題とはならない。これは、物権に排他性があり、債権にそれがないことに由来する。では、不動産賃借権はどうか?

2011-08-20 11:30:38
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

不動産の二重賃貸借は、対抗問題となる。これは民法605条が登記された不動産賃借権に排他性を付与しているからだと理解できる。

2011-08-20 11:34:28
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

判例は、対抗要件を備えた不動産賃借権に妨害排除請求権を認めている。しかし、妨害排除請求権は、絶対性の動的顕現形態であって、排他性から導かれるのではない。これは、法理論的には、対抗要件による排他性の付与には、絶対性の付与が伴われる、と理解することができる。では、解釈論的には?

2011-08-20 11:40:45
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

民法605条は「その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる」としか言っていない。しかし、物権取得者にさえ使わせろと主張できる者が、不法占拠者に対して出て行けといえないのは不均衡。そこで、勿論解釈として妨害排除請求権が導かれる。鈴木禄弥先生の旧版にある。

2011-08-20 11:49:18