@schizoophrenie

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schizoophrenie @schizoophrenie

これで紹介を終わりますが,このあたりの話,いわゆる超越論的システムの話として捉えると色々と発展させられると思うんですが,いかがでしょうかね.では作業に戻ります.

2011-08-20 14:45:06
schizoophrenie @schizoophrenie

(僕が大いに依拠する)Jean-Claude Malevalは反対に,ミレールの議論から「父の名の排除」と「一般化排除」はまったく異なるという議論を持ちだしてくる.こっちのほうが臨床的には有意義な議論だと思うけど,ラカン自身の70年代の記述そのものはSkiriabine寄りです.

2011-08-20 14:43:36
schizoophrenie @schizoophrenie

そこからミレールの話は「精神病の一般化」つまり「人類みな狂人」なんて話にまで至る.この辺ちょっと微妙で,一般化とかいいつつミレールは神経症と精神病の構造の差異も主張している.ECF内でも意見が分かれているようで,同号のSkriabineの論文は「人類みな精神病」の論調.

2011-08-20 14:41:26
schizoophrenie @schizoophrenie

あと,この論文では排除の一般化の話もされている.後期ラカンはすべてのディスクールは保証が不在であるとする.それゆえ象徴的体系を支えるシニフィアンも,構造をとわず排除されている.固有名としての父の名から,述語名としての父の名へと位置が変わる.父の名っぽい機能を果たせば何でもいい,と

2011-08-20 14:36:49
schizoophrenie @schizoophrenie

上記の通り,これまでシゾイドと呼ばれてきた物との近接性や,私たちが引きこもり事例でときおり出会う「変わった症例」との類似性が伺われる.もちろん発達障害とも似ている所がある.ECFでこの辺の概念との比較がなされていないようであることは不思議である.彼らは物凄く精神医学詳しいのに.

2011-08-20 14:26:25
schizoophrenie @schizoophrenie

3つ目が,主体の外部性.普通の精神病では,独特の空虚感がみられることがある.もちろんこのような外部性は神経症でもみられうるものであるが,普通の精神病の場合はdialectiqueがないこと,つまりその空虚感を弁証法的否定することができないことが相違点であるとされる.

2011-08-20 14:22:19
schizoophrenie @schizoophrenie

二つ目は,身体の外部性.普通の精神病では,身体が自己に接続されず,ズレをはらむことがある.ジョイス『若い芸術家の肖像』の身体落下体験です.この身体の不安定性に対する対処行動として,ミレールは「タトゥー」をあげている.「タトゥーは身体との関係における父の名になるだろう」(!)

2011-08-20 14:16:39
schizoophrenie @schizoophrenie

反対に,社会(職場)に対して過剰に同一化する形式での普通の精神病もある.この場合,職を失うことを契機に発病することもあるという.「職を持つことは,父の名である」(!)

2011-08-20 14:12:31
schizoophrenie @schizoophrenie

一つ目は,社会からの脱接続.分裂病者の放浪というのはルソーをはじめ昔からよく観察されているが,放浪という形で社会のなかに固定した位置を占めないという外部性がある.

2011-08-20 14:12:26
schizoophrenie @schizoophrenie

並外れた精神病と普通の精神病との違いは,前者が幻覚妄想によって発病(déclenchement)するのに対して,後者は発病するかわりに,様々な社会的紐帯や自らの身体から脱接続(débranchement)するという点にある.この脱接続という外部性をミレールは3つの様態で提示する.

2011-08-20 14:06:55
schizoophrenie @schizoophrenie

ラカン派では神経症と精神病の境界は厳密である.父の名があれば神経症,排除されていれば精神病である.しかし,明らかな精神病の標識がないにもかかわらず,神経症のようなシニフィアンの媒介性がみられない症例がある.そのような違和感が普通の精神病の判別のひとまずの鍵となる.

2011-08-20 14:02:49
schizoophrenie @schizoophrenie

ただしミレールはこの概念を厳密に定義することはしない.ラカンが「パス」を考案したときのように,大まかな事柄だけを提示して,あとはエコールの分析家がそれぞれ普通の精神病に関して考えて発言することのなかから,事後的にその概念はできていく,という.

2011-08-20 14:00:02
schizoophrenie @schizoophrenie

シュレーバーのように華々しい妄想を開花させる精神病を「並外れた精神病(psychose extraordinaire)」と呼ぶ.これは概ねラカンの50-60年代の精神病論に対応する.一方,サントームの臨床におけるジョイスのように,顕在発症せずに目立たないものを普通の精神病と呼ぶ.

2011-08-20 13:57:14
schizoophrenie @schizoophrenie

今日はめずらしく神経症圏の話をしたので,午後は現代的な精神病である「普通の精神病」についてのミレールの議論を紹介する.J.-A. Miller: Effet retour sur la psychose ordinaire. Quarto94-95, 2009から.

2011-08-20 13:50:07
schizoophrenie @schizoophrenie

Triggering Determinants in Anorexia http://t.co/D44JzxZ lacanian ink30のこのイタリアのラカニアンの論文は,摂食障害の発症類型をラカン派の見地から詳細に記述していて非常に参考になります.@masayachiba

2011-08-20 13:47:39
schizoophrenie @schizoophrenie

摂食障害女性は,母という大他者による給餌に欲望をみてとり,それに対する明確なプロテスト,つまり拒絶を行う聖なる戦いを敢行する.彼女たちは大他者に飼いならされないのだ.この意味で,摂食障害は意欲が低下したために生じる「食欲不振症」などではなく,厳密な拒絶としての「”拒”食」である.

2011-08-20 13:38:26
schizoophrenie @schizoophrenie

精神分析は,主体が抱える根源的な「問い」と,その問いに対する答えを見出そうとする果敢な試みとして症状を捉える.摂食障害が思春期の少女に発症しやすいのは,この時期に彼女たちが性の現実界に直面するがゆえに「女性とは何か?」という神経症の問いを抱え込むからである.

2011-08-20 13:35:29
schizoophrenie @schizoophrenie

一見「何も抑圧していない」ように見える現代的な神経症者は,そうすることによって一体何を我々に隠そうとしているのか(そして同じ事だが,隠しながら伝えようとしているのか).現代の神経症もまた,コミュニケーションを取らないことによってコミュニケーションをとる「ディスコミュ」の病である.

2011-08-20 12:27:57
schizoophrenie @schizoophrenie

RT.臨床家から「最近の神経症は古典的な抑圧なんてまったくなくて,むしろ家族との葛藤や過去の思い出したくないはずの記憶をいとも簡単に語ってしまう」という声をよく聞く.しかし,神経症とはある「問い」を偽装して表出する病であり,その偽装は時代により変わるとしても構造は変わらない.

2011-08-20 12:26:25
schizoophrenie @schizoophrenie

RT.臨床家から「最近の神経症は古典的な抑圧なんてまったくなくて,むしろ家族との葛藤や過去の思い出したくないはずの記憶をいとも簡単に語ってしまう」という声をよく聞く.しかし,神経症とはある「問い」を偽装して表出する病であり,その偽装は時代により変わるとしても構造は変わらない.

2011-08-20 12:26:25
schizoophrenie @schizoophrenie

P. Chaslinはフランスの精神医学者で,原発性精神錯乱と不統一精神病(フランスにおける破瓜病)で知られますが数学者でもあり,「純粋数学の心理学についての緒言」という極めて興味深い論文を書いており,ラカニアンからも注目されています.そんな話は拙論には全く出てきませんけども.

2011-08-19 15:28:02
schizoophrenie @schizoophrenie

想像界に安住 - Google 検索 http://t.co/jRS86F3 「鏡像段階に安住」ってのもあるね.そもそも体バラバラのヒロエニスム・ボッシュの世界にいったい誰が安住できるというのか…

2011-08-19 12:23:59
schizoophrenie @schizoophrenie

まとめる.母と子の関係は,実際にはありもしない「想像的ファルスφ」という虚の消失点を構造的にはらむ.母は現実の子供を相手にすると同時に,φにもかかわる.子供を「子宝」とよぶのは,ファルス=宝物でもあるからだ.一方で子供の側でもφに同一化しようとして母との関係を維持しようとする.

2011-08-19 11:46:34
schizoophrenie @schizoophrenie

要するに「母と子の密着した関係」がどれほど恐ろしいものか,ということ.この辺は変なラカン理解している人より,クライン派のほうがずっと分かっているだろう.「食うか食われるかの妄想分裂体制に”安住”している段階を…」なんて絶対いわないもんねw

2011-08-19 11:42:56
schizoophrenie @schizoophrenie

想像的関係(想像界)ってこういう風に恐ろしい世界.もちろん子供にとってプラスの可能性を作り出す賭金でもあるわけだが,それは極めて不安定なもの.世にはびこる「想像界に”安住”している段階を脱して,象徴界に入る」っていう理解はこの辺をきちんと読めていないと思われる.

2011-08-19 11:40:23