@schizoophrenie

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schizoophrenie @schizoophrenie

子供は自らの生存戦略として,自ら母の欲望する想像的ファルスに同一化しようとする以外にない.しかし,その一方で,これは子供が母を支配する賭金となる.この袋小路から脱出するために導入されるのが「父の名」である.こう読まないと,ヘーゲルの主人と奴隷の弁証法を持ちだしてくる意義が?になる

2011-08-19 11:36:21
schizoophrenie @schizoophrenie

「少女=ファルス」の公式がここにも現れている.子供はファルスとして母に享楽され,精神病者は女として妄想的大他者に享楽される.

2011-08-19 11:32:35
schizoophrenie @schizoophrenie

これは恐ろしい体験である.なぜなら想像的ファルスとみなされた子供は,大他者である母に一方的に享楽される対象となるのだから,シュレーバーのような神に享楽される恐ろしい体験の基盤の一つはここにある.

2011-08-19 11:32:23
schizoophrenie @schizoophrenie

母,子,想像的ファルスの三角形(想像的三角形)を考える.母と子の関係というのは二者関係ではなく,ファルスの介在する三者関係である.子供は,実際には想像的ファルスではないにもかかわらず,母から想像的ファルスとしての身分を重ねられる.子供は,母自身の喪失をうめるための道具となる.

2011-08-19 11:29:38
schizoophrenie @schizoophrenie

「母《の》欲望désir 《de》 la Mère」は次のように読む.(1)子供は,母(客体)に想像的ファルスが欠如していることを見てとって,母がそれを欲望していると考え,母の欲望するファルスになろうとする.(2)ペニス羨望をもつ母(主体)は,子供を想像的ファルスとして欲望する.

2011-08-19 11:23:31
schizoophrenie @schizoophrenie

ラカンが「de」という言葉を使うとき,この「de」は往々にして主格属格と目的格属格のダブルミーニングである,ということを無視してはいけない.つまり,「母の欲望(désir de la Mère)」と言ったとき,「母」は欲望する主体であるし,同時に欲望される客体でもある.

2011-08-19 11:20:09
schizoophrenie @schizoophrenie

「欲望は他者の欲望(désir de l'Autre)である」という言葉は,「人は他人が欲しいものを欲しくなる」(マネっ子理論)や「ほしいものが,ほしいわ」(糸井重里理論)というふうに理解されることが多いけれども,これではラカン理論の切れ味はまったく伝わらないと常々思っている.

2011-08-19 11:17:27
schizoophrenie @schizoophrenie

要素現象論のボツ部分を使って,「幻覚と妄想の認知心理学的研究にみられる精神病理学的問題について」ってのを書いてみるか.C.FrithとかP. Garetyらの心理学的アプローチがどこで精神病理と合致し,すれ違うのか.彼らは幻覚や妄想を測定しようとして,一体なにを測定しているのか.

2011-08-19 11:07:26
schizoophrenie @schizoophrenie

分裂病のはじまり:クラウス・コンラート http://t.co/KSdJPCw セシュエーの症例ルネに関しては,精神病理の側からもコンラートがこの本の補遺で痛烈にDISっていて,実は分裂病論の超古典のこの本のなかで一番面白い箇所だったりする.この箇所だけでも是非読むべき.

2011-08-18 17:19:19
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schizoophrenie @schizoophrenie

ちなみにマルヴァルによれば,タウスクの有名な「影響機械」論文の症例もヒステリー性精神病だと言われます.タウスクの症例はD&Gも引用していて,おそらく彼らの「機械」の概念に大きな影響を与えているでしょうから,これがそもそも精神病じゃなくてヒステリーだとすると,どうなるんでしょうね.

2011-08-18 17:11:25
schizoophrenie @schizoophrenie

分裂病の少女の手記:セシュエー http://t.co/eI8Lda5 この手法を推し進めたのがレンヌ大2大学のマルヴァルで,彼によればこの本の症例ルネは分裂病ではまったくなく,実は「ヒステリー性精神病」であるとされます.

2011-08-18 17:08:35
schizoophrenie @schizoophrenie

ラカン派では,主体の構造が神経症であるか精神病であるかが非常に繊細に鑑別されます.幻覚や妄想があっても,それが神経症性のものであるのか,精神病性のものであるのかを構造論的に鑑別しなければいけないのです.ラカンの「精神病の…前提的諸問題」の論文はこれを問題とするものです.

2011-08-18 17:06:20
schizoophrenie @schizoophrenie

10月14日の精神病理学会で「器質性・症状性精神障碍の精神病理」のパネルディスカッションに出て,「症状精神病のメタサイコロジーにむけて」話をします.司会:濱田秀伯先生,指定討論者:兼本浩祐先生という何という素晴らしい人選…! http://t.co/DjlAg5z

2011-08-18 12:09:58
schizoophrenie @schizoophrenie

つまり,倒錯にはたしかに性的な要素が表立って現れているが,その一方で倒錯はシニフィアンによって分節化された現象でもある.フロイトの「鼻のつや(Glanz auf der Nase)=鼻を一目見ること(glance of the nose)=ファルスを見たい」の症例のように.

2011-08-17 11:17:01
schizoophrenie @schizoophrenie

思い出したからもう少し書く.倒錯に関して,ラカンはハイブリッドなことを主張している.フロイトは「倒錯は神経症のネガである」と言ったが,この言葉を「神経症では抑圧されている性的な欲動が,倒錯では抑圧されずに剥き出しになっている」と理解する論者がいたが,ラカンはこの解釈を猛批判する.

2011-08-17 11:14:31
schizoophrenie @schizoophrenie

妄想はなぜ必要か―ラカン派の精神病臨床:コンタルド カリガリス http://t.co/oIyreq0 「妄想的隠喩」についてはこの本がオススメですね.精神病者の病前のあり方についても緻密に記載されていてためになります.

2011-08-17 11:05:47
schizoophrenie @schizoophrenie

「シニフィアンと享楽のハイブリッド」は,僕が某分析家氏からパクッたラカン読解の一つの戦略なのですが,こうやってチャート式に整理すると理論的にも臨床的にもかなり分かりやすくなると思うのです.おわり.

2011-08-17 11:02:10
schizoophrenie @schizoophrenie

この脱局在化された享楽は,妄想的な大他者に対して再度局在化される.たとえばシュレーバー症例のように,神や主治医フレックシヒ教授に対して享楽が固定化され,シュレーバーはこの妄想的な大他者から「性的に濫用される」のである.「パラノイアは,享楽を大他者の場に同定する」(AE215)

2011-08-17 10:50:48
schizoophrenie @schizoophrenie

だからこそ,妄想気分においては不安感とともに一種の恍惚体験が生じる.この高い強度をもつ体験は病者を魅了し,寛解期になったのちにも時として「あの頃に戻りたい」と思わせるものである.(清水光恵:「発病期の核心点」の反復的想起について) http://t.co/z9Vf3IJ

2011-08-17 10:46:42
schizoophrenie @schizoophrenie

享楽は,神経症と倒錯においては固定されている.つまり神経症者は症状のなかに密かな楽しみを織り込んでおり,倒錯者は大他者の享楽の道具として自らの主体の位置を規定している.しかし,精神病ではとりわけ発病時に,享楽の脱局在化(délocalisation)が生じる.

2011-08-17 10:43:31
schizoophrenie @schizoophrenie

精神病でおこっていることをシニフィアンの側面から見ると上記の通りである.くどいくらい繰り返しになるが,しかしラカン理論の肝は「シニフィアンと享楽のハイブリッド」にある.よって,この事態もまた享楽の側面からみることができる.

2011-08-17 10:40:10
schizoophrenie @schizoophrenie

こうすることによって,精神病者は自らの異常体験を生きうるようになる.フロイトが言った通り,「妄想形成は回復の試み」なのである.妄想的隠喩は,失敗した父の名の隠喩に対する代理となる.

2011-08-17 10:36:35
schizoophrenie @schizoophrenie

ラカンが妄想的隠喩(métaphore délirante)と呼ぶのは,この恐ろしいシニフィアンの体験のすべてを,別の一つのシニフィアンをつかって何とかピン止めしようとする主体の営為である.つまり,すべての異様な体験を「神の仕業」などとして,一箇所に局在化して説明しようとするのだ

2011-08-17 10:35:00
schizoophrenie @schizoophrenie

妄想気分のつぎに起こることは,《不明な何か》を指し示していたシニフィアンの総体が,一気に「主体」を指し示すようになることである.つまり,一挙として「すべてが自分に関係しているように思われる(自己関係付け)」「周囲のすべてから監視されている(注察妄想)」という体験が生じる.

2011-08-17 10:32:00
schizoophrenie @schizoophrenie

これは,シニフィアンが「切れた連鎖(E535)」として単独であらわれるという精神病現象として説明できる.妄想気分では,「異様な何かが起こっているが,その意味は分からない」.世界は「《何か》をさししめす」暗示とほのめかしの総体になってしまう

2011-08-17 10:28:39