【2021年9月】1日1SSセルフまとめ

すべてフィクションです
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小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

真っ先に視界に飛び込んだのは種無し柿の山だった。店頭に並ぶまでを見越して早めに収穫されたのであろう柿は、そのほとんどが若々しい黄色だ。山を見るうちぐずぐずに熟した柿が好きだったなあ、などということを思い出す。 久々に柿を食べたくなった。あの、ぐずぐずに熟しきったヤツ。 #TwitterSS

2021-09-26 23:08:00
小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

きみとはいろいろありすぎて細かいことなんていちいち覚えてない。だけど前触れもなく急に脳裏に閃く。海に行ったのはいつのことだったっけ。細かいことは覚えていないのにやけに広い空の色は思い出せた。たぶん、そのうち、こうして閃くことも減るんだろう。 あんなに、大好きだったのに。 #TwitterSS

2021-09-27 22:52:20
小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

またひとつ、星が墜ちた。 いずれ来ると解っていても、幾度経験しても、その瞬間に立ち会うのは切ない。だれひとりとしてその瞬間を知ろうとはしない。 だからこそ僕は最後まで目を背けずにいようと決めている。あの場所で煌めいていた姿を心の奥に刻み込むために。 きっと覚えているから。 #TwitterSS

2021-09-28 23:12:55
小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

一秒でも長くきみが笑ってくれていたらいいと思うんだけど、実際には苦しめてばかりいる気がする。ごめんなさい、と言えばきみはしつこいくらいに首を振って、涙声で「わたしこそ、ごめんなさい」って答える。 何故うまくいかない? 僕はきみが大好きで、きみも僕を大切にしてくれるのに。 #TwitterSS

2021-09-29 21:57:58
小椋 杏/おぐら あん @ogura_anne

こんなところにいたんだね。気がつかずにごめん。囁きと共に伸ばした指先に、恐る恐る、細い指が触れた。電流が走る。心も震える。この瞬間を、きっと、生まれてからずうっと、待ってた。 もう大丈夫。見つけたからには絶対に離れないし離さない。 魂になってもあなたに寄り添うとを誓う。 #TwitterSS

2021-09-30 23:18:23