平沢、ベーシストとの思い出

Susumu Hirasawa @hirasawa

菊池達也というP某の二台目（機械扱い）ベーシストが存在し、彼は思いもよらない場所で思いもよらない掘り出し物の服等を発見する天才であったと記憶している。

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最も驚いたのは入谷の店だ。入谷は吉原大門の脇を行き、見返り柳に後ろ髪を引かれながら進んで日光街道の向こう側のエリアの地名だ。

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大門をくぐれば2,000人の遊女が働いていたといわれる吉原の遊郭がずらりと軒を連ねる。見返り柳は、遊女に後ろ髪を引かれて振り返るところに立っている柳のことだ。

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菊池達也は見返り柳で振り返りもせず、黙々とアンテナに届くシグナルを追って歩いていたに違いなく、その先には思いもよらぬ掘り出し物の達の息吹を感じていたに違いないのだ。

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いったい誰が何の目的でそんな所に行くのだという場所で彼は明らかに年配のおばちゃん御用達の洋品店に入り、戦利品を持ち帰ってくる。

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「平沢さん、入谷に行ってください」と言う菊池の指示に従い私もそこへたどり着いた。 我々は入谷のおばちゃん御用達の洋品店で買った服とお揃いの靴をステージ衣装にしていた時期がある。 まいったか？

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菊池達也は私のセンセ教室で拾った男だ。まだ高校生だった。勿論ベーシストなど弾けない高校生だ。 彼はP某のバンマスに拉致されてからベースを習った。親御さんに「はよろしくお願いします」と言われていたのでセーフだ。

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ところでM某の二台目ベーシストはデザイン学校で拾った男だ。彼はベースなど弾けないデザイン学校生で、むしろフォークシンガーだった。M某のバンマスに洗脳されてフォークソングがキモチワルイと認識するに至り、プログレのベーシストとなった。

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M某は東京のバンドだった（中央線沿線ではないので安心してください）。驚くことに、ベーシストはどんな時も新潟在住で、ことあるごとに東京に来てはバンド活動していた。 （バンド活動。好意が持てない言葉）

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P某の二台目Bの親御さんには「よろしくお願いします」と言われていたがM某のBのOには悪の芸能人だと思われていた。Hは。 自然である。

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バンド=芸能界＝YKZ、という図式がMのBのOには有った。まったくもって共感できる。一つ間違いを指摘させていただければ、その時代には既に「ゲーノーカイ」ではない音楽現場は出来上がっていた。ゆえにHはゲーノーカイ人ではない。

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新潟から東京へ通いBとなっていれば、いつかは遅刻やすっぽかしが生じるものだ。当時はネットもなければ携帯電話も無い。 電話した。するとBのOが出て罵倒された。 オマエはヤクザもんかあ！！！ Bは「遅れてすまん」とも言えずにM某を脱退することになり、 新潟ネイティブに戻った。

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勿論、そういう罵声の後によろしくお願いしますと言う人は居ない。 自然である。

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現在、M某のBとは連絡が途絶えている。彼はもしかしてHがPになったことも知らないかもしれない。 HはMになりPになり。ステルス三段活用。

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クラフトワークをHに教えたのはBである。フォークシンガーは洗脳されてプログレになり、そして前テクノになった。そして彼は髪をバッサリ切った。 ひゅー！ひゅー！ 彼はHより先にゲームチェンジのペダルを踏んだ。

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しばらくしてHもペダルを踏みPになったことを彼に知らせるべきだと思ってた。が、連絡がつかなかった。 Hはその後もペダルを踏み続け、野を越え山を越え新潟に辿り着いた。 フジロックの舞台袖に立ったHは小声で独り言を言った。 「遅れてすまん」 またこんど！！