セーラームーンが世界中でヒットしたのは「女子の素直な欲望を、性的な部分も含めて肯定した」から？

須藤玲司 @LazyWorkz

プリキュアは性的視線を意図的に遠ざけ、「女の子だから」という制約を打ち破った　吉良智子 tokyo-np.co.jp/article/135244 わかったようなわからないような論。 何がわからないかというと、この論の世界線には、明らかに両性の性的視線を意識し、かつ女子を勇気づけてきた、セーラームーンが存在しない。

須藤玲司 @LazyWorkz

吉良智子氏の＜炎上考＞、事実認識レベルもかなり怪しい。 ＞戦隊ヒーローものの「ごっこ遊び」では、ピンク役（１人だけしかいない女性キャラ）をやるしかなかったが、「プリキュア以降は好みのキャラが選べるようになった」という tokyo-np.co.jp/article/135244 「戦隊桃一点」は普遍的ではありません。

須藤玲司 @LazyWorkz

＞ピンク役（１人だけしかいない女性キャラ） この法則は、早くも「バイオマン」(1984)で破られています。（黄色も女性、しかも2人） 事実として、スーパー戦隊44作のうち22作は、女性キャラが2人以上います。選択可能。 さらに初代プリキュア(2004)前の3年間はピンク不在。 news-postseven.com/archives/20201… pic.twitter.com/Egsmkql2w4

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須藤玲司 @LazyWorkz

そもそもなぜ選択肢がスーパー戦隊とプリキュアだけなのか。 ・セーラームーン(1992-1997) ・東京ミュウミュウ(2002-2003) ・ぴちぴちピッチ(2003-2004) ・プリキュア(2004-) ・しゅごキャラ！(2007-2010) なかよしバトル少女戦隊の選択肢は豊富です。 ※空白時期は単独主人公のCCさくら(1998-2000)

須藤玲司 @LazyWorkz

※なかよし少女戦隊は、他にも ・アキハバラ電脳組(1998) ・スーパードールリカちゃん(1998) ・AKB0048(2012) ・さばげぶっ！(2014) などがありますが、ターゲットや人気の面で多少微妙なところがあるので（偏見）、ここでは割愛しています。

須藤玲司 @LazyWorkz

吉良智子氏の＜炎上考＞が書くように、プリキュアが性的すぎないよう配慮されてること、「女の子だから」制約を打ち破ったのは、正しいでしょう。 しかし部分的に正しくても、セーラームーンすら抹殺した世界線から我田引水で語られては、評論全体としての価値はありません。 tokyo-np.co.jp/amp/article/13…

須藤玲司 @LazyWorkz

補足。 引用したデータに、ちょくちょく間違いがあるようです。 twitter.com/LazyWorkz/stat… ・イエローレーサーは女性 ・メガイエローは女性 ・キョウリュウブルーは男性 力作の表が見つかったので、ウラをとらずに使っちゃいました。すみません。 ただ、この誤りは、論旨には影響しないと考えます。

須藤玲司 @LazyWorkz

補足。 「セーラームーンすら抹殺した世界線」との批判は、「性的すぎる」と批判されたセーラームーンへの反動から初代プリキュアが始まっている、という経緯を無視してるからです。 しかし今やセーラームーンこそフェミニズム作品との評価が世界的にだいぶ定着してますね… twitter.com/LazyWorkz/stat…

須藤玲司 @LazyWorkz

ここからは私見なので別ツリーで。 「セーラームーンは世界中でヒットしたのに、プリキュアはなぜ外国で流行らなかったのか」って話を、つい先日に深夜スペースのテンションで激論しました。 結論のひとつは、「女子の素直な欲望を肯定するセーラームーンに対し、プリキュアは保護者目線が強いから」 twitter.com/LazyWorkz/stat…

須藤玲司 @LazyWorkz

もちろん他の意見もあり、たとえば「セーラームーンは日本アニメブームに乗ったから」「そもそも4クールアニメは海外ヒットしにくく、セーラームーンは運良く当時のケーブルテレビ枠に収まった」などのタイミング論もありました。 しかし強かったのは「セーラームーンは女子の欲望を肯定してる」論。

須藤玲司 @LazyWorkz

セーラームーンは、女子のダメなとこ、秘めた欲望まで含めて、まとめて肯定して、それを戦うパワーに変えて解放している。 たぶん初期に路線を決定づけた武内直子の、お姫様願望を含む強い個性が、かなり世界的な普遍性を持っていた。 対して藤堂いづみ＝集団脚本のプリキュアは、尖った個性に欠ける。

須藤玲司 @LazyWorkz

実際、セーラームーンは性的か性的じゃないかというと、もう圧倒的に性的です。 原作者もどんどんエロい方向に画力を高めてて、往年のなかよしは武内直子ひとりで少女コミックに対抗できそうな異様な色気を放ってました。 アニメも引きずられて、シリーズ最終回はヒロインがほぼずっと全裸。裸族か。

須藤玲司 @LazyWorkz

セーラームーン初期を思い出すと、ダメな女子中学生が夜の街を徘徊して、謎のゲーセンで男子大学生に色目を使い、怪しい大人に利用されて戦うといった具合に、かなりエロスとタナトスに満ちあふれてるんですよね。90年代という時代を反映してる。 このへんの猥雑なパワーが、世界の女子に支持された。

須藤玲司 @LazyWorkz

「チョコパフェとかイケメンとかマジで夢中になれる年頃」などと制御された生やさしい欲望ではなく、セーラームーンは中学生が初手で前世戦士のメンヘラしぐさでイケメン大学生を連れこみ、淫行条例未整備でイチャつき、しまいに誰の子かはっきりしない子を作る。親御さんはさぞ心配だったでしょう。

須藤玲司 @LazyWorkz

性的か性的じゃないかというと猛烈に性的だったセーラームーンですが、ここで重要なのは、それが女子の圧倒的な支持を得てたってこと。 ついでに大人男子にエロ同人誌を乱発されたりもしましたが、それはあくまでおまけの話。 かわいくてかっこよくてエロくて強くて、女子目線で性的だったはずです。

須藤玲司 @LazyWorkz

同時代の人気作、たとえば『ふしぎ遊戯』をみると、性的かつ凄まじく受け身です。 厳しい目で見れば、主体性を問われずイケメンに襲われたり守られたりしたいという、女子の都合のいい欲望を充足する物語です。（異論は認めます） 比べるとセーラームーンは女子が性的自己決定権を強く持っています。

須藤玲司 @LazyWorkz

セーラームーンキャラが持つ性的自己決定権はかなり強力で、それは時に当時の社会通念に反していても貫いています。はるか＆みちる、ゾイサイト＆クンツァイト等LGBTの生き様が描かれてるのも伊達じゃない。 そもそもヒロインからして、大学生との事実婚めいた関係を周囲に認めさせる女子中学生です。

須藤玲司 @LazyWorkz

セーラームーンが表した女性の性的自己決定思想は、たぶん意外なほど強靭です。 近年の厚労省とのあまりに性的なコラボは、少し物議を醸したものの、自らの性的側面を否定せず戦ってきた少女の呼びかけとして、妙に納得感がありました。 そして行政のケツモチで、完全にポリティカルにコレクトです。 pic.twitter.com/FGRErMOuB4

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須藤玲司 @LazyWorkz

大人の指導により性的要素を抑えたうえで、かっこよく戦うプリキュア。 少女の生々しい欲望を、性的なことも含めてすべて肯定して、かっこよく戦うセーラームーン。 思想は違いますが、どちらもある種の女子をエンパワメントして、どちらもポリティカルにコレクトです。 たぶん両方必要なのでしょう。

M小説同盟@官能作家 @M47560547

@LazyWorkz はじめましてです ＞女子の素直な欲望を肯定するセーラームーン 凄く共感できます 私は、セーラーVの「敵側の、欲望」も「ぶっちゃけすぎる」感じが昔から好きです。 「少年奴隷を集めたあたしの世界征服の夢が・・・」www pic.twitter.com/WsWcGAUunb

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まかるがえし(Makaru.G) @Makaru_G

プリキュアに登場する「変身する主人公」の中には「高校生以上」が極端に少ないため(僕の記憶違いでなければ4人しかいないはず)、この指摘は一理あると思った。セーラー戦士は続編でその半数が高校生以上になったので、自分の欲望を素直に吐露する行為は「登場人物の年齢的に」タブー視されにくい。 twitter.com/LazyWorkz/stat…

須藤玲司 @LazyWorkz

@Makaru_G でもプリキュアもセーラー戦士も中学2年生デビューなんですよね…