- naosarakyaa
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かつてコバルト・ノベル大賞というのがあり、そこから新たな才能が輩出した。やがて少女向け文庫に収まりきらなくなったのか、集英社編集の仲介があったのか、いわゆる一般文芸に進出し直木賞を取る人も次々出た。唯川恵氏、角田光代(彩河杏)氏、そして亡くなった山本文緒氏はその代表的存在だった。
2021-10-18 20:37:23関係者に聞いたのだが、当時は(いや今でも?)ジュニア文庫でどんなにキャリアを積んでも、文壇的にはゼロとカウントされるとの話に愕然とした。以前、本の雑誌のコバルト特集で、後に一般文芸で成功した人だけをとりあげていて憤然とした。そうした理不尽な戦いを闘ってこられたことに敬意を表します
2021-10-18 20:44:16芦辺拓さんが「以前、本の雑誌のコバルト特集で、後に一般文芸で成功した人だけをとりあげていて憤然とした」と書いていた twitter.com/ashibetaku/sta…ので「ん?」となった。 私は本の雑誌は時々読む程度なのでコバルト特集と聞いて思いつくのは2008年10月号「少女小説の逆襲!」くらいしかない。
2021-10-20 16:19:07これのことだろうか。違っていたらご指摘ください、芦辺さん。 この特集は ・久美沙織「正しい少女小説の書きかた」 ・コバルト文庫黄金時代ベスト10座談会/忘れられないタイトルがここにある! ・柿沼瑛子「「嵐が丘」症候群」 ・米本一成「暗黒ものからBL系まで異端の少女小説大集合だ!」
2021-10-20 16:19:07・高頭佐和子「氷室冴子作品一気再読/ずっと心の奥にもち続ける物語」 ・読者アンケート/この少女小説が好きだ! の6編から成る。 芦辺さんが「憤然とした」のはおそらくベスト10座談会ではないだろうか。 これは80年代のコバルト文庫のベスト10を決める座談会で、参加者は当時二十代だった本の雑誌の
2021-10-20 16:19:08男性編集者Aさんと当時小学生だった女性BさんとCさん(全員匿名)。結果は 1位 氷室冴子『恋する女たち』 2位 新井素子『星へ行く船』 3位 藤本ひとみ『愛の迷宮でだきしめて!』 4位 久美沙織『丘の家のミッキー』 5位 田中雅美『恋の罪』 6位 日浦功『スターライト☆だんでぃ』
2021-10-20 16:19:097位 辻真先『小説!? Dr.スランプ』 8位 青島美幸『み〜んなブスにひざまずけ』 9位 赤川次郎『吸血鬼はお年ごろ』 10位 ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ『愛の魔法 LOVE MAGIC』 さてこの結果は「後に一般文芸で成功した人だけをとりあげていた」といえるか。
2021-10-20 16:19:09座談会では、コバルト四天王といわれた正本ノンをさしおいて赤川次郎なの?と議論になっている。BさんCさんは唯川恵正本ノン倉本由布の恋愛ものはあんまり読んでいないと言っていて、結局これは好みの問題だろう。それに正本ノンさんも後に大人向け小説を書いているので、もしベストテンに入っていても
2021-10-20 16:19:10芦辺さんのいう「後に一般文芸で成功した人」にあてはまってしまう。 吸血鬼シリーズはロングセラーなのでともかく、日浦功さんと辻真先さんが入るのはいかにも本の雑誌の読者らしい偏向だ。芦辺さんは「辻真先なんかより倉本由布を入れろ」と言いたいのだろうか。でもこの座談会は
2021-10-20 16:19:10辻真先作品を猛烈に読みたくさせるのだ。「アラレちゃんが好きだったからノベライズを買ったんだけど、面白いのなんの。二作目の『小説!? Dr.スランプの逆襲』はパスティーシュで、Dr.スランプを川端康成風とか井上ひさし風で書くんです。私はこれで文学に目覚めたといっても過言ではない」とBさん。
2021-10-20 16:19:10Dr.スランプを川端康成で?どういう小説なんだ?すごく気になるけどamazonでは3万円の高値がついている…。父親とHするという田中雅美『恋の罪』も気になる。とりあえず芦辺さんはこのベストテンにどう不満があるのか具体的に教えてほしい。この座談会に登場しない80年代コバルト作家は何人もいる。
2021-10-20 16:19:11しかし島村洋子さん山本文緒さん竹内志麻子さん(後の岩井志麻子さん)喜多嶋隆さんを選んでも「後に一般文芸で成功した人」にあてはまってしまう。前田珠子さんは88年デビューなので「80年代コバルト文庫」の枠で話すのはかなりギリギリになる。どんなベストテンが芦辺さんにとっての正解なのだろう?
2021-10-20 16:19:12あ、言い忘れていたけどルネ・ヴァン・ダール・ワタナベさんは「後に一般文芸で成功した人」ではないですね。そもそもこの特集は煽り文が「氷室冴子が亡くなってはや三か月」と始まり巻頭の久美沙織さんは氷室さんの追悼文を書きベストテンでは氷室冴子が1位で氷室冴子作品リストが載り……と
2021-10-20 16:19:12ほぼ氷室冴子追悼特集なのである、ということを見落としてはいけない。 久美さんの文章は「そのひとは意外なほどに小さかった。色白で細くて、折れそうに華奢だった」と初対面の印象を記し、コバルト四天王を若草物語に例えて「氷室さんが、長女のメグ。背の高い正本ノンちゃんがジョー、
2021-10-20 16:19:13ピアノ弾きのマーちゃん(田中雅美さん)がベス、最年少のわたしは生意気な末っ子エイミーだ」と言いコバルトの長女氷室冴子を称えるのだが「このへんを言うと、彼女は 「ちょっと待って。あんたがエイミー?エリザベス・テイラーなの?」と眉をそびやかした。 「わたしはジョーよ。短気でカッと
2021-10-20 16:19:13なりやすいし。なんといっても、作家ですもの!」」と氷室さんの肉声を見事に甦らせている。氷室さんから「いまの読者にウケるものを狙って書いてはいけない。十年後二十年後にも、もっと先の読者にも、ちゃんと楽しく読んでもらえるのを書かなくちゃだめ」と言われたエピソードも胸に刺さる。
2021-10-20 16:19:13『さようならアルルカン』『なぎさボーイ』『少女小説家は死なない!』『なんて素敵にジャパネスク』『いもうと物語』『シンデレラ迷宮』など氷室冴子作品への愛を語る高頭佐和子さんの文章も圧巻だ。 「気がつくと私はもう30代だ。氷室センセが名作エッセイ『いっぱしの女』を書いたのと、同じ年齢に
2021-10-20 16:19:14なっている。偉大な「センセ」であった彼女も、悔しさや寂しさをたくさん経験したひとりの女性だったんだな、なんてことを初めて考えたりしている。(略)今は滅多に手にとることはなくなっていても、いつもどこかに、しーのや瑠璃姫や利根がいて、時々私をなぐさめたり励ましてくれている。きっと多くの
2021-10-20 16:19:14氷室ファンも、同じように感じているんだよね」 芦辺拓の乱暴な一文だけで本の雑誌の少女小説特集をわかったような気にはならないでほしい。芦辺さんはこれを呼んで憤然としたというが私は芦辺さんの「日常の謎派が表現規制派と手を組み我々を人殺し小説として弾圧する」という被害妄想に憤然とした。 pic.twitter.com/HYUk59jlGo
2021-10-20 16:19:17本の雑誌はこの特集の前、2001年2月号には「ティーンズノベルを読もう!」という特集を組んでいる。小野不由美『十二国記 図南の翼』を読んで大興奮したけれど他のライトノベル(この名称はまだ定着していなかった)を知らない北上次郎さんに大森望さんとみのうらさんが11作のライトノベルを読ませる。
2021-10-20 16:19:18畑違いの読書に悪戦苦闘する北上次郎を見て大森望がほくそ笑むという企画。ラインナップはこちらでasahi-net.or.jp/~kx3m-ab/01013…茅田砂胡『デルフィニア戦記』須賀しのぶ『流血女神伝』は絶賛で古橋秀之『ブラッドジャケット』神坂一『スレイヤーズ』は理解不能という極端な結果が楽しい。
2021-10-20 16:19:18このように本の雑誌はライトノベルを以前からとりあげている。少なくとも「日常の謎派は獅子身中の虫」と排除する芦辺拓さんよりは風通しがいい。twitter.com/ashibetaku/sta…
2021-10-20 16:19:19「セッ〇ス描写はダメならミステリーの殺人描写とかどうなるんだ!」とか叫ぶ人がいるが、答えは簡単。次はそれも取り締まり対象になります。そしてジャンル内部から「何も殺人を扱わなくてもミステリーって書けるよね?」という声があがる。だから、「日常の謎」派は獅子身中の虫として、あらかじめry
2021-08-01 15:49:25