佐藤誠市氏によるナムコ80年代ゲーム作品についての証言

「ボスコニアン」の企画をはじめ数々のナムコのゲーム作品に関わった佐藤誠市氏が、多根清史「教養としてのゲーム史」をきっかけとして、主に同書内で取り上げられているゲーム作品を中心にさまざまなお話をツイートされています。 大変貴重なものであると思いますので、一部注釈など入れながらまとめていきたいと思います。 ※この後の話は新規にまとめを作成しました→ http://togetter.com/li/530826
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※このお話は、最下級の敵キャラクターの正式名称を「ザコ」とした「ギャラガ」「ギャプラス」のことが下敷きにあります 特に「ギャラガ」がシューティングゲームにおいてひたすら撃ちまくって敵を殲滅する快感を押し出したきわめて初期の作品であることを考慮すれば、その影響力はかなりあったと思われます ただ「ギャラガ」アーケード版のインストラクションカードには敵キャラクターの名称までは書かれていないので、それが何らかの形で伝播したのが先か、自然発生的に雑魚と呼ばれるようになったのが先かはわかりづらいところです

※なお、「ギャプラス」では敵キャラクターの正式名称が「マイコンBASICマガジン」などで公表され、当時のマニアには相当広まったと思われるので、それ(84年夏)以前の状況がどうだったかがポイントになりそうです

佐藤誠市 @SugarSeisan

座っていられないくらい腰の痛みが増してきたので、今日のところはこのあたりで。ネーミングについては『リブルラブル』とか『南極2号』とか『秘密の花園』『島割り君』『太鼓判』『ゲームシャトル』などいろいろあるのですがこれらはまた機会をみて。

2011-08-31 10:58:50

ネーミングについてその2 仮称と商標権

佐藤誠市 @SugarSeisan

本日も腰の調子が悪いのでネーミングについてさくっと。企画書を書くときに内容をわかりやすくするために仮のタイトルを付けることがあります。いわゆる仮称というやつですね。入社一年目でこの仮称にルールを付けようと提案したことがあります。まあ即却下というり無視というかたちになったのですが。

2011-09-01 10:15:24
佐藤誠市 @SugarSeisan

ちなみに新人ながらいろいろ提案していたので、後で「女よこせ運動」の首謀者にさせられていたことがあります。さて、その仮称のルールというのがアルファベット順に頭文字を付けていこうというものです。Aから始まりZでまたAにもどるというものです。

2011-09-01 10:20:25
佐藤誠市 @SugarSeisan

今でもそうだと思いますが、仮称で付けてもそう呼ぶ人はいなくて開発ナンバーという数字で呼ばれることの方が多いのです。従って凝った仮称を付けても呼んでもらえずあまり意味がなかったので私の提案も無視されたのでしょう。でも悔しいので企画に関わっていた3機種にそのルールで仮称を付けました。

2011-09-01 10:23:55
佐藤誠市 @SugarSeisan

開発ナンバーが7から始まったのでG・H・Iの頭文字のつく仮称(自分では開発コードネームと呼んでました)を考えて仕様書に書き込みました。Gについては覚えていないのですが宇宙ものと言うことで「Galaxy」をベースにしたものだったかもしれません。

2011-09-01 10:27:34
佐藤誠市 @SugarSeisan

Hについては人間のキャラが敵を倒すと言うことで「ハンター」、Iに関してはこれも宇宙ものと言うことで「インターステラ」と名付けました。結局自分でもこれらのコードネームで呼ぶこともなかったので、自分の中でもすぐに廃れてしまったルールです。

2011-09-01 10:30:23
佐藤誠市 @SugarSeisan

それぞれのゲームの最終製品名は『ギャラガ』『ディグダグ』『ボスコニアン』となりました。ただ「インターステラ」は、かなり後まで製品名候補として残りましたので商標出願もされました。その後他社から同名のゲーム機が発売されましたが、当社から商標を買い取ったものです。

2011-09-01 10:37:50

※83年に発売されたアーケードゲーム「インターステラ」(フナイ/学研)のことと思われます

佐藤誠市 @SugarSeisan

商標を他社から買い取るのは莫大な費用がかかると思っている企画者の方もいるかもしれませんが、そうではありません。まあ相場は有ってないようなものですから足下を見られてふっかけられることもあるかもしれませんが。でも通常は数十万円くらいで取引されたりします。

2011-09-01 10:40:34
佐藤誠市 @SugarSeisan

まあその商標が使われていないということが重要なファクターになりますが。自分で商標出願して登録すると10万円くらいで何とかなるのですが、特許事務所を使ったりすると経費で2倍とかすぐになることを考えると数十万円で買ってもそんなに高くはありません。

2011-09-01 10:44:02
佐藤誠市 @SugarSeisan

商標出願は自分でできるのになぜ特許事務所に頼むかというとやはり安心感を買うためでしょう。昔ゲームのキャラクターで『みどりちゃん』という名称を商標出願しようとしたことがありました。特許事務所に登録可能性を調べてもらった結果『GREEN』という先願があるため駄目という結論になりました

2011-09-01 10:47:38
佐藤誠市 @SugarSeisan

ようするに言葉の呼び方(称呼と言いますが)の他に意味が同じだと登録にならないのです。こういったこともすべて調べてもらうには特許事務所を使った方が良いのです。『ゼビオス』という先願があったときに『ゼビウス』という名称は登録になるのかなど一文字違いのものも調べたりします。

2011-09-01 10:51:15
佐藤誠市 @SugarSeisan

そういう安心感を得るため特許事務所を使います。事務所でOKが出たtのに特許庁で駄目になった場合、事務所のプライドもあるので懸命に登録に持って行く努力もしてくれます。どうしても使いたい名称があるが法務の方から他社が登録していて使えないとか言われたことのある企画者もいると思います。

2011-09-01 10:58:06
佐藤誠市 @SugarSeisan

その時、どうにかならないか特許事務所に相談するのも良いことだと思います。正攻法が駄目でも搦め手の方法があったりします。法律違反であっては困りますが、是非使いたいという思いが伝わればなんとかなります。

2011-09-01 11:01:08

女性企画者が入ってきてわかったこと

佐藤誠市 @SugarSeisan

まだ入社して一年も経っていないとき、企画のS上司から「女の子が欲しいんだって」と聞かれた。突然のことで何のことやらと思っていたが、応接室兼会議室に引っ張られていった。何のことはない、企画に女性が必要かと聞かれたのだ。そういえばアイドル先輩とそんな話をしたことを思い出した。

2011-09-02 10:09:38
佐藤誠市 @SugarSeisan

『パックマン』が女性を意識して作られたように、ゲームセンターに女性を呼び込むことは重要な課題となっていました。企画会議の時にどうしたら女性を呼び込めるゲームを作れるかよく話題になっていた。当然営業や販売からの要望にもあった。

2011-09-02 10:14:26
佐藤誠市 @SugarSeisan

そこでアイドル先輩との雑談時に「女の子の好きなものは女の子しかわからない」と言ったのだ。それがアイドル先輩からS上司に伝わったようだ。そんなこんなでS上司は「来期はもう無理だがその次は何とかする」という約束をしてくれて実際に企画職で2名女性が入ってきた。

2011-09-02 10:19:22
佐藤誠市 @SugarSeisan

その後岩谷さんが上司の時も数人入ってきた。この時入ってきた女性から驚愕の一言を聞くことになる。なぜ女性がゲームセンターでゲームをやらないかを聞いたときだ。ゲームをやっている姿が格好悪いからだと。当時のゲーム機はテーブル筐体が多く背を丸めてやる姿がいけていないのだと。

2011-09-02 10:26:20
佐藤誠市 @SugarSeisan

これは衝撃だった。当時ゲームセンターは不良のたまり場というイメージがあり、それを払拭するためには明るいゲーム場作りが必要だねとか、ゲーム内容も殺伐とした戦闘ものばかりでなくかわいいキャラクタのほのぼのゲームがいいねとか。そうすれば女性も来てくれるよねとか思っていたのに。

2011-09-02 10:29:00
佐藤誠市 @SugarSeisan

「格好悪いからゲームセンターにいかない」だと!思考が停止してしまった。これは簡単にいかないぞと思いました。実際女性の団体をゲームセンターで見かけるようになったのは『ファイナルラップ』の通信対戦ゲームぐらいからでしょうか。

2011-09-02 10:33:48
佐藤誠市 @SugarSeisan

後は『UFOキャッチャー』とか『プリクラ』とかビデオゲームに関係ないものが女性客を呼び込むきっかけになっています。最近ゲームセンターに行っていないので分かりませんが、女性はビデオゲームをやっているのでしょうか?そういえばテーブル筐体の駄目な点で大股開きというのも指摘していました。

2011-09-02 10:36:44
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