ギガベース日誌 ほのぼの閑話「薬物汚染をやっつけろ」

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再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「知性体が健康的に生きるためには、最低でも3つの愉しみが必要だ」 #ギガベース日誌

2021-11-10 23:56:02
再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「人間であれば、デフォルトとして備えている食事、睡眠、性行……どれか1つでも義務にすれば、そこを埋める何かが必ず必要になる。でなければ知性体の一生は遺伝子に隷属する道程でしかない」 #ギガベース日誌

2021-11-10 23:57:02
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「きゅきゅきゅ急になんですか……」 「ただの前置きだ気にするな」 「そうは言われても……本題がわからないのは、ちょっと、怖いかもです」 「鴨も鴎もあるか!もう暫く黙って聞け」 #ギガベース日誌

2021-11-10 23:59:55
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「艦娘の場合は?私は戦闘・食事・そして提督という存在に指揮されているという自覚であると考える。サイセター出身の艦娘共に異常者が多いのは、この3つ目が最初から存在しなかったからだ」 「ヘイトスピーチ……!!」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:01:54
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「そこんとこどうだ?天津風」 「それ確認するためにあたしまで呼んだの……まぁ、提督が来てから皆が一様に大人しくなったかって言われれば、そうでもない気がする。ゴトや瑞穂はわかりやすく改善したけど……で、結局何が言いたいのよ、長月」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:05:30
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「これを見ろ」 「これは」 「命令書……かもです?」 「あぁ、司令官からこの長月に直接与えられたミッションだ。サイセターに蔓延る薬物汚染の影を取り払え、とな!」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:06:44
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サイセターの食堂の運営サイクルは、第一艦隊のそれとは若干異なるものとなった。 在籍する艦娘の数が大きく増えたため、合流直後に拡張工事が決定。 従来は25時閉店6時開店だった営業時間も、間宮と伊良湖の入れ替わりによって完全24時間制が実現されるに至った。 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:12:08
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そんなサイセターの食堂の早朝。 その朝で最も早い客の一人として、DfJが足を運んでいた。 「おはようございます、提督」 「……今日はお前か。ピザまんと最中一つ」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:13:28
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切り替え直後である今の時期は、間宮が別件の対応で不定期に食堂を離れる事も多く(伊良湖管理下の食堂が相当に劣悪な環境であり、その改善活動に奔走している)伊良湖と妖精が調理場につく事が多い。 「お待ちどおさまです。辛子、おつけしますか?」 「うーん……要らん」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:15:40
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指揮官無き鎮守府の食糧事情を背負っていた伊良湖だが、その対応には多大な問題があった。 作る料理は平均以上であり、手際も良い。そんな伊良湖と間宮を決定的に隔てるものがあるとすれば、自分が作った料理に対する愛着の度合いだった。 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:17:33
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伊良湖は自分の料理を何らかの形で損なわれると激昂し、相手が戦艦であろうが空母であろうが半殺しにしようとする精神上の問題を抱えていた。 その上「損なわれる判定」が社会通念を外れていたため、サイセターの多くの艦娘は地雷原を歩くような気分での食事を強いられていた。 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:19:28
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「オムライスの上に……マヨネーズを、加えて……???」 「高菜、食べてしまったんですか?!スープを飲む前に?!唐辛子が口の中に入っていたらまともにスープを味わってもらえないじゃないですか?????」 「海防のドブネズミ共が私の芸術品を咀嚼するなァーーーッ!!!!」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:21:14
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間宮のカウンセリングもあって現在は大きく改善されたが、DfJは万に一つを危惧し、伊良湖から料理を受け取る時は恒例のタバスコ大量投与を控えていた。 タバスコにすら縋れない。単純作業を終える気持ちで、席にも向かわず立ったまま口にピザまんと最中を押し込んでいく。 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:23:51
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(粘土が詰まったペーパークラフト食ってるみてえだ……ん?) 最中の皮と餡が奏でる独特の硬と柔のリズムに、寝起きのぼんやりとした意識が刺激されたのか。 入室時から存在していたその異常を、DfJはその時になってようやく感じ取ることができた。 「煙?」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:27:10
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食堂に、白煙が充満している。 「伊良湖。火事だ。どっかで何か燃えてんぞ。厨房じゃないのか」 「私が厨房でそのような粗相をするとでも?煙は食堂の向こうの角からです、火事じゃないですよ」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:28:48
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煙の発生源へと歩くDfJ。歩を進める毎に発生源が近づき、噴出の原点となる何かに向かい合う艦娘の背が見えてくる。 若干の目眩を覚え始めつつ、DfJはその艦娘に手が届く距離にまで達した。 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:30:49
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「えーと、秋月型で貧乏そうでタイツ履いてない栗色の……照月だな。共用スペースで何してるんだお前」 呼びかけに対して、3秒ほどは応答無く静止。 そこから竜骨が砕けんばかりの勢いで上半身を仰け反らせ、少し身を引いたDfJに向かって照月はこう答えた。 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:33:26
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「宇宙旅行です☆」 両眼を別方向に微振動させながら照月は回答する。 そして、彼女が仰け反った事で、正面のテーブルを包む煙の中から諸悪の根源が姿を現した。 「お前、それは……」 「照月の愛❤照月の存在証明❤照月の宇宙船❤」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:37:45
再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

照月が使用していたその器具に、DfJは見覚えがあった。 コジマ汚染物質を触媒として、致死性化合物を多量に含んだガスを生成。液式フィルターを通してガスの濃度調整と冷却を行い、それを吸引して愉しむ退廃嗜好品。リンクス戦争後の混沌と退廃が齎したひとつの芸術にして辺獄。 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:38:58
再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

それは、今は亡き妙高型重巡洋艦羽黒がかつて愛用していた、コジマ薬物用の水上置換式吸引装置だった。 「一番艦と一緒に沈んだんじゃ……お前これ何処で拾った!」 「えっ、出会い?恥ずかしいなぁ❤彼とは食堂裏の倉庫で❤」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:42:57
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「間宮が持ち出した荷物の中か……羽黒のやつ、食料庫にろくでもねえもん置きっぱなしにしやがって」 オーメル本社海域における戦いで、間宮は脱出の際に自慢の8本型マニピュレーターをフル活用し、食料庫から節分用の豆やクリスマス用のシャンパンといった物品を持ち出していた。 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:45:29
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間宮も相当に焦っていた事だろう。荷物の中に紛れた退廃芸術に気づけというのも酷な話である。 DfJは副流煙に目を痛めながら、作戦終了後に食堂の隅でこれをちまちまと吸っていた在りし日の羽黒の姿を目の前の照月と重ねようとしたが、あまりにも輪郭が違いすぎた。 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:48:01
再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

目の前の照月の状態は、違法薬物に明るくない者が見ても「この子戻ってこられるのかな?」と思わせる領域に達していた。 「挨拶に来た時はこんなんじゃ無かったから……最近見つけたって事か……?」 「お、あっ、やばっ❤お゛っ」 「うおっ……」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:50:34
再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「あっ……おおおお゛っ♡魂がランクアップしちゃう゛っ?!天使のチアガールが私のこと応援してくれてる……新たなる令の庇護で肉は消え十億のバネに吹っ飛ばされるアストラル体んがっ……あっまたちょっと到達っ❤❤赤き星が黒き星にっなっぢゃうっ❤」 #ギガベース日誌

2021-11-11 00:53:15
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