二楽山人氏による表紙シリーズまとめ(2021年11月22日までの投稿分)

二楽山人(@hitomaroeiku)氏が投稿した表紙に関するつぶやきをまとめたものです。
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二楽山人 @hitomaroeiku

題簽に金紙を用いた錦の表紙の豪華写本。やはり大名家クラスのものなのでしょうが、江戸期の伝来など全く不明です。表紙にはあまり見ないタイプの裂だと思います。 pic.twitter.com/l23Gkb2c3p

2021-11-08 12:28:24
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二楽山人 @hitomaroeiku

百首歌の基本形として、後代への影響が大きいこの作品には、作者が14、15(2種)、16名の4種がありますが、これは最も伝本の多い14人本です。堀河天皇への奏覧は14人であったようで、『新編国歌大観』では人数の多い16人本が底本となっていますが、原初形態を考える上で14人本は貴重です。 pic.twitter.com/4qRk0KAvsi

2021-11-08 14:09:49
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二楽山人 @hitomaroeiku

『堀河院次郎百首』などとも呼ばれる『永久百首』の表紙です。裂の種類は違うのですが、本と題簽の大きさ、外題の筆跡などからも、先に挙げた『堀河院百首』と一具であったことは疑いないと思われます。別々のお店から販売されたものですが、表紙の特長から再びセットにすることができました。 pic.twitter.com/aYyszYWsZq

2021-11-09 06:05:56
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二楽山人 @hitomaroeiku

中はこんな感じ。次郎さんは参加歌人も少ないのであっさりしてます。紙の艶が上紙であることを物語っています。 pic.twitter.com/iVmUde0eHF

2021-11-09 18:37:38
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6.かなり珍しい「印金」の表紙の本!

二楽山人 @hitomaroeiku

表紙シリーズということにして、かなり珍しい印金の表紙です。しかも織物ではなくて紙に金箔の模様が施されています。模様もちょっと西洋的でもあります。状態もよくありませんが、こんな繊細なものでは致し方ないでしょう。17世紀末頃の自讃歌注の写本です。 pic.twitter.com/Thv9T9YGsh

2021-11-10 21:14:42
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7.本格的に表紙シリーズがスタート。表紙がいかにも17世紀的仕立ての『敦忠集』

二楽山人 @hitomaroeiku

表紙シリーズとして。江戸前期の嫁入本の三十六人集の内の『敦忠集』です。伝統的な雲紙地に、金銀泥の草花紋が描かれ、金泥の他に、色調の異なる金砂子や金小切箔を用いて雲霞紋が施されています。題簽の色合いも室町時代には見ないものだと思います。いかにも17世紀的な仕立です。 pic.twitter.com/UTZXtfAPFY

2021-11-11 08:55:43
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二楽山人 @hitomaroeiku

見返しは眩い金紙。紗綾形の文様があまりに精緻で、見ていて震えます。 pic.twitter.com/tqYreRS4eZ

2021-11-12 08:47:12
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二楽山人 @hitomaroeiku

中はこんな感じです。好みの分かれる筆跡ですね。他でも見かけたことがありますので、嫁入り本などの書写を専門にしている人物であったようです。 pic.twitter.com/XlAVu92xWY

2021-11-12 08:43:56
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8.金銀のストライプの装飾紙の本が登場!『新拾遺和歌集』

二楽山人 @hitomaroeiku

表紙シリーズ。東京古典会で初め落札した本です。西本願寺旧蔵二十一代集の別れ。外題は飛鳥井雅章筆。金銀のストライプの装飾紙は、飛鳥井家関係の本に見られるもの。金の2線は色調が異なります。沢山の仲間の中から選ん理由は本の厚さでした。綴葉装の厚さの限界を知りたかったのです。 pic.twitter.com/3SeVjnshQR

2021-11-13 05:09:14
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・飛鳥井雅章(あすかいまさあき):1611~1679 江戸時代前期の公家。歌人。家学の和歌を能くして、後水尾天皇より古今伝授を受け、同家では雅親以来の名手と評せられている。また蹴鞠宗家の業を継ぎ、書道にも巧みであった。その詠には『飛鳥井雅章三十首和歌』その他があるほか、『新歌部類現葉和歌集』に収められ、歌論の一端は『詠歌金玉論』にみえる。なお『飛鳥井家懐紙之法』『蹴鞠之記』『芳野紀行』などの著述がある。延宝七年十月十二日没。六十九歳。京都上京の遣迎院に葬る。法名は究竟院原道文雅。

・綴葉装(てっちょうそう):書物装丁法の一つで、列帖 (れつじょう) 装ともいう。料紙を数枚重ねて二つ折りにし、それを幾折か重ね、表紙を付して糸でかがったもので、今日の西洋式のノートブックに似た製本法である。(出典:日本大百科全書ニッポニカ)

二楽山人 @hitomaroeiku

この本の親本は宮内庁書陵部にあって、二十一代集全体を飛鳥井雅章が写しています。それを複数人で分担書写して、外題は雅章が一人で書いて統一感をだしたものが、西本願寺旧蔵本です。書陵部のものは表紙の地色が青かったりします。

2021-11-13 05:15:27
二楽山人 @hitomaroeiku

で厚さの件ですが。綴葉装は細い絹糸で綴じるのですが、本の開閉時に糸に負担がかかり、糸がとても切れやすいのです。いくらでも暑く作れますが、それだけ糸にかかる負担が大きくなるので、自ずと限界の厚さも定まります。この本はその限界に近いと思われる厚さです。

2021-11-13 05:37:04
二楽山人 @hitomaroeiku

同じセットの他の集は2冊だったりしました。それらを選んでいたら、ライバルがいて当時の僕の資力では落札出来なかったのですが、新拾遺集は人気がなくて、比較的安価に入手できました。随分以前の思い出です。この本は書誌学の授業で活躍してくれていますが、運ぶのに重いのがネックです。

2021-11-13 05:45:26

9.『源氏物語』表紙シリーズ!「ほたる」「花ちるさと」「夢のうき橋」

二楽山人 @hitomaroeiku

表紙シリーズ。江戸前期の豪華な嫁入り本『源氏物語』の「ほたる」です。金泥と金箔の使い方に遠慮がありませんね。手元には1冊しかありませんが、54冊揃ったら壮観でしょうね。 pic.twitter.com/A8hWRHB0q7

2021-11-14 07:14:11
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二楽山人 @hitomaroeiku

こちらが表紙裏側の見返しです。金の純度が高くて反射してしまい、細かな紋様が上手く撮影できません。きっとこの本が納められたいた書物箪笥も豪華だったことでしょうね。 pic.twitter.com/redOhQSywv

2021-11-14 19:34:41
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二楽山人 @hitomaroeiku

中はこんな感じです。かなり手慣れた感じの筆跡です。嫁入り本あるあるですが、殆ど読んだ痕跡がありません。 pic.twitter.com/bObdkbf7b3

2021-11-15 06:36:03
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二楽山人 @hitomaroeiku

まだまだ表紙シリーズ。先日の「ほたる」よりも、少しだけ地味な「花ちるさと」です。こちらの方が嫁入り本としては普通ぼいです。題簽がやや珍しい白地で、定家様で書かれているのがうりですね。 pic.twitter.com/7HibY7sEwL

2021-11-17 07:38:04
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二楽山人 @hitomaroeiku

題簽拡大するとこんな感じです。こちらにも金泥でこまかな下絵が入っています。なかなかよく書けた定家様です。17世紀後半のもの。 pic.twitter.com/8ffA3Igl9e

2021-11-17 07:42:29
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二楽山人 @hitomaroeiku

まだまだしつこく表紙シリーズ。延宝7年(1679)写の『源氏物語』「夢のうき橋」です。ちょっと状態が悪いのですが、その豪華さとデザインの斬新さを感じていただけると思います。物語写本として伝統的な枡形なのも好ましいです。 pic.twitter.com/yPKX9fykmA

2021-11-18 07:48:58
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10.天皇の直筆?!『栄華物語』の「音楽」