新型コロナウイルス感染症においてメルクのモルヌピラビルがファイザーのパクスロビド®︎よりも有効性が低くくても必要な理由

コロナの経口治療薬が治験を通してきたことでコロナ診療は大きな転機を迎えようとしています。メルクのモルヌピラビルとファイザーのパクスロビド®︎の最終治験結果では、数値上の有効性はパクスロビド®︎の方がだいぶよさそうですが、じゃあパクスロビド®︎でいいや、という簡単な話ではないという話です。
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EARLの医学ツイート @EARL_med_tw

治験結果を見るに、メルクのモルヌピラビルの重症化・死亡予防効果はファイザーのパクスロビド®︎に比してかなり落ちますが、それでもモルヌピラビルが必要だと考えます。理由は併用薬の関係でパクスロビド®︎が処方できないハイリスク患者が出てくるからです。

2021-12-18 11:12:59
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パクスロビド®︎にはリトナビルという、古い薬が合剤として含まれています。これはメインのPF-07321332の血中濃度維持のためですが、このリトナビル、CYP3A4関連のため、併用禁忌や併用注意の薬が非常に多く、特にハイリスク患者が内服する生活習慣病治療薬もそれなりの数が該当します。 pic.twitter.com/fTFBYg8EKc

2021-12-18 11:17:09
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このため、基礎疾患等ハイリスクな軽症患者が適用の主体となるにもかかわらずパクスロビド®︎が内服できない患者が出てくるわけです。抗体カクテル療法もありますが、使える環境が限られる上にロナプリーブ®︎はオミクロン株には効果が乏しいです。モルヌピラビルを選択肢に残す必要があります。

2021-12-18 11:19:58
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また、パクスロビド®︎の治験ではリトナビルと併用禁忌/併用注意の薬剤内服患者は試験対象から除外されておりますので、これらの薬剤内服患者に対するパクスロビド®︎の処方に関しては安全性は不明です。治験で安全性が確保されたとは言っても併用薬次第では全く安全性は保証されてませんのでご注意を

2021-12-18 11:31:01
EARLの医学ツイート @EARL_med_tw

あと、定期内服薬を処方してもらってる方は特にですが、風邪症状で受診する際は必ずお薬手帳を持ってきて下さい。作ってない方はすぐに作りましょう。「◯◯(病名)の薬を飲んでいる」じゃダメです。コロナと診断されても普段の内服薬の内容が分からないとパクスロビド®︎が処方できません。

2021-12-18 13:28:21