mRNAワクチン2回接種またはブースター接種後のオミクロンまたはデルタ変異体によるSARS-CoV-2感染に対するワクチン有効性:デンマークのコホート研究|mRNAワクチンのオミクロン株感染防御のVEは2回接種後1か月以降にはほぼ消失、ADEの可能性は?(2021.12.26作成)

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influenzer @influenzer3

●mRNAワクチンのオミクロン株感染防御のVEは2回接種後1か月以降にはほぼ消失、ADEの可能性は? →デンマークからのプレプリント報告です。 booster接種後にVEは速やかに回復するようですが、恐らくは経時的な抗体価減弱により、感染防御のVEはすぐに消失する可能性も高そうです。

2021-12-25 20:47:55
influenzer @influenzer3

booster接種では2回目までとは異なる魔法が期待できるのか、これから出てくる抗体価およびVEの経時的動態の報告を待つしかないでしょう。

2021-12-25 20:47:56
influenzer @influenzer3

いずれにしても、booster接種がほぼゼロの日本は、現時点でオミクロン株感染に対してほぼ完全に無防備である事を示唆しています。 重症化阻止効果が残存している可能性はありますが、まだ証明されているわけではありません。

2021-12-25 20:47:57
influenzer @influenzer3

まずはハイリスク者限定でbooster接種を全速力で展開するのが、現時点での最悪を避ける唯一の戦略かと思います。

2021-12-25 20:47:57
influenzer @influenzer3

気になるのは、本報告内でワクチン接種完了後3か月以降で見られているマイナスのVEです。 著者らもこれに触れ、ワクチン接種者の行動パターン(曝露リスク)の違いなどを考察しています。

2021-12-25 20:47:58
influenzer @influenzer3

一方で、最近は話題にされませんが、コロナウイルスワクチンでは開発の段階よりADE現象のリスクが懸念されてきました。 抗体価が減弱する事で、この懸念されていたADEが起こっていないかを検討する必要もあるように思います。

2021-12-25 20:47:59
influenzer @influenzer3

この現象(感染増強抗体>中和抗体)の有無は、血清サンプルを用いたin vitroの検討でもある程度の推測は可能なはずです。

2021-12-25 20:48:00
influenzer @influenzer3

Vaccine effectiveness against SARS-CoV-2 infection with the Omicron or Delta variants following a two-dose or booster BNT162b2 or mRNA-1273 vaccination series: A Danish cohort study medrxiv.org/content/10.110…

2021-12-25 20:48:00
リンク medRxiv Vaccine effectiveness against SARS-CoV-2 infection with the Omicron or Delta variants following a two-dose or booster BNT162b2 o In this brief communication we are showing original research results with early estimates from Danish nationwide databases of vaccine effectiveness (VE) against the novel SARS-CoV-2 Omicron variant (B.1.1.529) up to five months after a primary vaccination 170
influenzer @influenzer3

---- ・本短報は、ファイザーワクチンまたはモデルナワクチンの2回接種終了から5か月目までのオミクロン変異株(B.1.1.529)に対する有効性(VE)を、デンマークの全国データベースを用いて推定した研究結果報告である。

2021-12-25 20:48:01
influenzer @influenzer3

・デンマークの全国規模のデータベースより、居住地、PCR検査、ワクチン接種の全データを抽出した。調査期間(2021年11月20日- 12月12日)にPCRで確定した国内のほぼ全症例について、全ゲノム配列またはL452R変異を標的としたPCR検査により、オミクロン株かどうかを検討した。

2021-12-25 20:48:01
influenzer @influenzer3

オミクロン株でないと判定されたものはデルタ株とみなした。

2021-12-25 20:48:02
influenzer @influenzer3

・VEは、ファイザーまたはモデルナワクチン2回接種者と未接種者を比較し、12歳以上のデンマーク人を対象としたTime-to-event解析により推定した。ワクチン未接種者については11月20日からfollow upされた。

2021-12-25 20:48:02
influenzer @influenzer3

follow upは12月12日、PCR陽性、移住、死亡、ワクチン未接種者のワクチン接種、ワクチン接種者のbooster接種のうち、最も早い時点で終了した。過去にPCR陽性歴がある例は対象から除外した。VEは、年齢、性別、居住区で調整したCox回帰モデルでHRを推定し、(1-HR)として算出した。

2021-12-25 20:48:02
influenzer @influenzer3

(結果) ・2021年12月12日までにデンマークで確認されたオミクロン株感染例は5767人で、年齢の中央値は28歳だった(93%が60歳未満)。

2021-12-25 20:48:03
influenzer @influenzer3

・接種完了後の最初の1か月間のオミクロン株に対するVEは、ファイザーで55.2%(23.5- 73.7)、モデルナワクチンで36.7%(-69.9-76.4)だった。しかし、このVEはデルタ株に対するものよりも有意に低かった。

2021-12-25 20:48:03
influenzer @influenzer3

オミクロン株に対するVEは、5か月の間に急速に低下する事も確認された。デルタ株に対するVEは同じ期間で比較しても有意に高く、効果が維持されていた(better preserved)。 ・14-44日前にbooster接種を受けた群では、2回接種完了者と比較したVEが54.6%(30.4- 70.4)だった(解析対象は60歳以上に限定)。

2021-12-25 20:48:04
influenzer @influenzer3

(考察) ・解析の最終期間におけるマイナスの推定VE値は、ワクチン接種群と非摂取群のコホートで行動や曝露パターンが異なるために、VEが過少評価されている事を示唆していると考えられる。

2021-12-25 20:48:04
influenzer @influenzer3

オミクロン株の流行初期は、単一のsuper-spreading現象を介してワクチン接種例の若年者間で急速に広がった事も関連しているかもしれない。

2021-12-25 20:48:04
influenzer @influenzer3

・イギリスからの最近の報告では、ファイザーワクチン接種は有症状オミクロン株感染に対する高い有効性を示したあと、急速に防御効果が減弱し、boosterワクチン接種後2週間には未接種者と比較したVEは75.5%(56.1- 86.3)まで再上昇していた。今回の我々の結果もこれを支持する新たな証拠である。

2021-12-25 20:48:05
influenzer @influenzer3

・オミクロン株感染例の指数関数的増加を考慮すると、これらの知見はbooster接種を大規模展開する必要性がある事を強調している(highlight the need)。 ------

2021-12-25 20:48:05
influenzer @influenzer3

・結果のすべてです。 左がファイザー、右がモデルナワクチン。 それぞれ経時的なVEの変化が示されています。 青がデルタ株に対して、緑がオミクロン株に対するVEです。 オミクロン株の症例がまだ少なく95%CI区間が大きいのですが、以下は言えるのでしょう。

2021-12-25 20:48:06
influenzer @influenzer3

1) オミクロン株の両ワクチンの防御能はデルタ株よりも有意に低下している 2) オミクロン株に対する有効性は、両ワクチンともに接種終了1か月以降には消失している可能性がある 3) データからは接種後3か月以上でVE<0であり、中和抗体減少によるADE現象が否定できない pic.twitter.com/o8yc5FNxcD

2021-12-25 20:48:07
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influenzer @influenzer3

→感染もしくはワクチン接種により誘導される抗体は、中和抗体だけでなく非中和抗体もあります。 厄介なのは、非中和抗体の中には逆に感染を増強させてしまう感染増強抗体があるという点です。 これはデング熱で良く知られている現象です。

2021-12-25 20:48:07
influenzer @influenzer3

SARS-CoV-2ワクチン接種後にも感染増強抗体が産生されている事は示されています。 結局、我々が観測している抗体の防御能とは、(中和能 ー感染増強能)として算出されるものという事になります。 (続く)

2021-12-25 20:48:08