- mocharn3rd
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ロドス ドクター執務室 ケルシーとアーミヤ、ドクターの前に、熹一とスプラトがいた。 ケルシーが解説する。 「スプラト……こいつはこれからロドスのオペレーターとして働くことになった。コードネームは"アレキサンドル"。アレックスとかアレクとか呼べばいい」
2022-01-03 16:57:35まず」 ケルシーが人差し指を立てる。 「彼のこめかみには位置発信機兼爆薬がある」 ケルシー以外の人間が青ざめた。 「あとアレックスの手首を見て欲しい。これは下手をすると高圧電流が流れるようになっている」
2022-01-03 16:57:53アーミヤが声を上げる。 「あの、さすがにそこまでは……」 ケルシーは断ずる。 「アーミヤ。君は変身できることの優位を分かっていない。身分をいかにも操作できるということは、人の信用や信頼を操作できるということだ」
2022-01-03 16:58:11「ケルシー」 ドクターが口を挟む。 「色んな人に信用関係を築いたり破棄させることができる相手への、文字通りの首輪か」 ケルシーは頷く。
2022-01-03 16:58:22「私の教え子だったということを抜きに評価しても、アレキサンドルの知性はこの世界でも卓越している。いつか他にも変身能力を持ってる者対策として知っておいて欲しい」 熹一はスプラトを小突いた。 「何ニコニコしとんねん」
2022-01-03 16:58:35「してたか? ……どうだな、師匠から褒められたら喜ばない弟子がいるか」 「いやまあそうやけど……なんか今それやられるのイヤやわ」 ケルシーがスプラトの近くに寄って小突く。
2022-01-03 16:58:47「両方のこめかみに用意してるから、アーツで変身しようとしたら反応して信号が送られる。場合によっては爆破だ。……キー坊、事後承諾だが、潜隠爆破脚の後遺症の回復に、頭のツボを押したりはしないか?」
2022-01-03 16:58:57冷や汗をかきながら熹一は応える。 「いや、できんことはないけど、ちょっとビビったわ」 叔父の鬼龍がかつて、こめかみに爆薬を埋められたことがあるが、こちらは念の入り方が強かった。 「降参だよ」
2022-01-03 16:59:08スプラトが他人事のように深呼吸した。 「かえって不気味だと思うんやけど、アーミヤちゃんどう?」 「ケルシー先生が処置を施したのなら、もう何とも……ただし」 肩を揉むようにして答えた。
2022-01-03 16:59:39「外部通信装置の利用の禁止、作戦外のロドス外部への移動禁止、一般オペレーターよりも入退室可能可能なエリアの制限。……無期限とまでは言いませんよ」 「さすがだよアーミヤ嬢。私でもそれくらいする」 スプラトは鷹揚に頷き称える。
2022-01-03 16:59:54「お前そういうところが疑われるんやぞ……」 熹一はスプラトの横腹を軽くつついた。 「なるほどね、ケルシー、了解した」 ドクターが背伸びをして、ストレッチし始めた。
2022-01-03 17:00:35「アレクサンドルは悪ぶるのが好きなんだな。アーミヤが言うように脅威ではあるが、なに、このあたりはもう交渉済みなんだろう?
2022-01-03 17:01:13「ああ。そうでなければここまで連れてこない。しばらく拘束して、情報だけ引き出すさ……。アレックス、許可する。一度変身してみろ」 「はい」 スプラトは金髪碧眼の壮年から、黒い犬の頭へと変化した。ケルシーの服からアラームが鳴る。
2022-01-03 17:01:30「それが、今言った"信号"だな」 アラームをケルシーが取り出す。 「ああ。これと同様の物をいくつか用意してある。念のためにログ機能付きだ。クロージャが一晩でやってくれた。…
2022-01-03 17:01:51黒犬が元の頭にもどっていく。再びアラームが鳴った。 スプラトは少し申し訳なさそうな顔でつぶやく。 「パフューマーさんには謝らないとな……」
2022-01-03 17:02:19「スキャッターの名前でロドスに寄付したり出入りしてましたね。パフューマーさんにも事情を説明したいですし……」 「ああ、わかった」
2022-01-03 17:02:34熹一とドクターは、高セキュリティエリア内の談話室で話す。 ここには厳密にアクセス制限がかかっており、上層部や特別なオペレーターとその随伴でしか立ち入ることはできない。
2022-01-03 17:03:19「なんであいつはアレックスなんや? スキャッターの名前でロドスで通ってるならそっちで動くほうがラクじゃ……」 「スキャッターの名前でオペレーターとして動くと癒着を疑われるからな」 「それもそうか」
2022-01-03 17:03:37「スプラトがレユニオンとつながっているのを知っているオペレーターはそこそこいるし、その名前も使えない」 「なるほどね」 「ああ、そうなるとカシャやアンジェリーナにも話す必要があるな。チェンさんは……」
2022-01-03 17:04:16「チェンさんには協力してもらって悪いけど、口にチャックやな」 「チェン本人は暗命拳やロドスの調査を信じても、龍門が信じないだろうしな。それに、スプラトはレユニオンに薬物提供をしたのみだ。VR灘神影流についてはあくまで彼個人のジムだったようだし」 「ワシにできることは……」
2022-01-03 17:04:30「潜隠爆破脚の治療をお願いしたい。どれくらいで回復可能だ?」 「早くて一か月から数か月。薬と同じで、一度に治療できる程度は限られとる。これも理想的な話であって、アレックスが他のケガしたとか自己治療とかするようやったら話は変わる。あいつの活法と医学知識によっては良くも悪くもなるな」
2022-01-03 17:04:42「了解。……そうだな。あとは、ケルシーから君が格闘教官になった時には、補佐として協力させて良いと聞いている」 「情報伝達が早いのォ」
2022-01-03 17:05:01