ブレードヤクザ・ヴェイカント・ヴェンジェンス #4
地面に敷き詰められたモミジを踏みしめ、彼は黄金色のプライベート庭園へ足を踏み入れた。その背後には首を裂かれて死んだ警備ヤクザの死骸がある。狂ったように舞うモミジが雪めいてその死骸に降り積もり、あっという間に覆い隠してしまう。そしてモミジをかきわけるように顔を出すタケノコ達。
2011-09-02 22:21:43ケジメニンジャは前方を注視した。人工的に作られた川と石の橋。キョートらしい、奥ゆかしい庭園技術だ。それら川や橋に実用的な意味は無い。だが、それこそがワビである。日本の庭園とは森羅万象のミニチュアであり、それ自体が小型の人工宇宙を表現している……。
2011-09-02 22:25:57残念ながらケジメニンジャはそのような趣を理解はしない。警備ヤクザによって閉ざされたこの庭園を訪れた目的は明確だ。前方の庭園の中、モミジ降り積もるテンプル風の小さな建物の中に、彼の目指す存在がいる。
2011-09-02 22:28:35ケジメニンジャのニンジャ感覚はテンプル風建物の周囲の生命存在を探った。反応無し。手薄すぎるほどであるが、レジェンドヤクザといえど、所詮は引退した存在という事であろうか。彼はそれぞれの手に逆手でドスを構え、姿勢を低く下げてしめやかに前進した。
2011-09-02 22:32:58「イヤーッ!」高床へ一跳びに跳躍し、回し蹴りでショウジ戸を破壊したケジメニンジャは有無をいわさず室内へ押し入った。ダルマのウキヨエが描かれたフスマだ。ケジメニンジャは両手でフスマを開け放った。その先の部屋、彼は、チャブの上でアグラ・メディテーションする男を発見した。
2011-09-02 22:41:15ゼイモン?いや違う!濃緑と金の二色、渦巻くような奇怪な刺繍を施された装束に身を包んだそのニンジャは、アグラ・メディテーション姿勢のまま目だけ開いてケジメニンジャを見据えた。「ドーモようこそ。ケジメニンジャ=サン。お会いできて光栄です。……サブジュゲイターです」
2011-09-02 22:47:19「イヤーッ!」ケジメニンジャは反射的に後方へバック転して間合いを取り、着地の勢いで隙無くオジギした。「ドーモ、はじめましてサブジュゲイター=サン。ケジメニンジャです」サブジュゲイターは不敵にもアグラ姿勢をいまだ崩さぬ!「ケジメニンジャ=サン、残念ながら私はゼイモンではありません」
2011-09-02 22:50:03「では貴様をケジメする」ケジメニンジャはドス・ダガーを構えた。サブジュゲイターは引き続きチャブの上でアグラだ。「今やおわかりと思いますが、貴方が閲覧したであろうドゴジマ・ゼイモンの情報はフェイクの餌です。ここはドゴジマ・ゼイモンの邸宅ですらありません」「……」
2011-09-02 22:53:35「ヨロシサンは貴方が考えるより老獪です。ヤダギ=サンの死亡状況はASAP速度で社内IRCネットワークに共有され、音声監視カメラ映像の会話内容をもとに、ドゴジマ・ゼイモンを探すという貴方の動機を餌にした計画が発案されました。ネットワーク上に偽のレジェンドヤクザ情報が放たれました」
2011-09-02 22:58:43「そうして、貴様が俺を待ち構えていたという事だな。貴様がこの俺を倒すと?」「ハイそうです」サブジュゲイターはアグラしたまま頷いた。「貴方が私に勝つことは物理的に不可能です」「イヤーッ!」ケジメニンジャが仕掛けた!身を沈めてチャブへ突進!下からチャブを跳ね上げる!「イヤーッ!」
2011-09-02 23:03:52「イヤーッ!」チャブを跳ね上げられたサブジュゲイターはようやく動いた。両脚を180度開脚して垂直ジャンプし、チャブごとひっくり返される事を回避!「イヤーッ!」ケジメニンジャは両手のドス・ダガーを水平に構え、高速横回転しながら空中のサブジュゲイターへコマめいて滑る!
2011-09-02 23:07:03「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」180度開脚姿勢のサブジュゲイターはそのまま空中で激しくパンチを繰り出し、回転するケジメニンジャのドス攻撃を丁寧に弾き返してゆく!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
2011-09-02 23:09:40ゴウランガ!ケジメニンジャの致死的回転攻撃を前に一歩も譲らぬサブジュゲイターのカラテ恐るべし!着地後もサブジュゲイターは嵐の如き両手パンチ連打をやめず、ケジメニンジャの回転攻撃を弾き続ける!なんたるニンジャ器用さ!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
2011-09-02 23:11:25「イヤーッ!」ケジメニンジャは高速回転攻撃からおもむろに後ろ回し蹴りを繰り出す!「イヤーッ!」サブジュゲイターはその脚をガッチリと抱え込み、後ろへ投げ飛ばす!タツジン!後方へ投げ飛ばされたケジメニンジャはフスマを破壊しながら隣の部屋へ流麗に着地!「ケジメ……!」
2011-09-02 23:15:34サブジュゲイターは腰に手を当てて直立した。「なぜ私が貴方のカラテ戦闘に付き合うか、お分かりになりますか?」ゴキリ、ゴキリと音を立て、首をストレッチする。「この邸宅内には監視カメラが複数設置されています。我々の戦闘……否、私の戦いぶりがモニタされています」
2011-09-02 23:17:56サブジュゲイターはやや身を低くし、両手を前に突き出す構えを取った。「このイクサの決着は既に決まっている。ですが私はただ貴方に勝つだけでは許されない。もう少し貴方とカラテする必要があるのだ」「イヤーッ!」ケジメニンジャが壁の柱めがけて回転跳躍した!柱を蹴り、三角飛びで襲いかかる!
2011-09-02 23:24:00「イヤーッ!」回転しながら竜巻めいて飛来するケジメニンジャ!サブジュゲイターは瞬時に身を床へ投げ出し、仰向けになってケジメニンジャの跳躍攻撃の下をくぐり抜ける。そのまま仰向け姿勢で、上を通過するケジメニンジャの脇腹を蹴り上げる!「イヤーッ!」「グワーッ!」
2011-09-02 23:26:25ケジメニンジャは脇腹を蹴り上げられ、天井へ!「イヤーッ!」そのまま天井を蹴って真下へ跳ね返り、仰向けに寝るサブジュゲイターへ降下攻撃!「イヤーッ!」「イヤーッ!」サブジュゲイターはそのままゴロゴロと転がりながら隣室まで退避!パンキドー由来の回避動作、ワーム・ムーブメントである!
2011-09-02 23:28:37それを追ってすり足で前進するケジメニンジャへ、サブジュゲイターはそのまま転がりながらスリケンを連続投擲!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ケジメニンジャは素早く両手のドス・ダガーを振り回してスリケンを全て弾き返す!
2011-09-02 23:31:12「イヤーッ!」さらにスリケンが一枚ケジメニンジャめがけて飛来。ケジメニンジャはそれをドスで弾き返す。だが、ウカツ!それはスリケンめいてスリケンではない!ドスが当たるとその炸裂弾は細かいスパイクを周囲に飛び散らせる!「グワーッ!?」「スリケン投擲テスト完了!」
2011-09-02 23:36:06サブジュゲイターは両脚を振り回すウインドミル動作をしながら立ち上がると、腰に手を当てて再び首をゴキリゴキリとストレッチした。「思えばレジェンドヤクザのクローン身体にニンジャソウルとは実際驚異的要素。ですがそのスリケンは指で挟み取るかブリッジで避けるべきでした」
2011-09-02 23:39:51「イヤーッ!」ケジメニンジャは果敢に高速回転攻撃でサブジュゲイターに突撃!全身に受けた炸裂弾の傷口から細かいバイオ血液の飛沫が飛び散る。そして竜巻めいたドス・ダガー攻撃!「イヤーッ!」サブジュゲイターは冷静に前蹴りを繰り出す。この攻撃に対しては前蹴りがリーチで優位!
2011-09-02 23:43:42だがその時だ!にわかにケジメニンジャの回転速度が増し、軌道が不規則に揺れて前蹴りをすり抜けた!「何、グワーッ!?」次の瞬間にはケジメニンジャは既にサブジュゲイターの後ろにいた。サブジュゲイターは咄嗟に左手を掲げて防御したが、その代償に左手中指と薬指が一瞬でケジメ!鮮血が噴き出す!
2011-09-02 23:48:14「イヤーッ!」振り向きざまの回し蹴りをケジメニンジャは身を沈め回避!そのまましゃがみ高速横回転で空気を切り裂きサブジュゲイターの懐へ潜り込みにいく!「イヤーッ!」これは実際致命的攻撃!だがサブジュゲイターは蹴りの勢いで背を向けバック転!「イヤーッ!」ケジメニンジャを飛び越す!
2011-09-02 23:54:08ケジメニンジャを大きく飛び越え着地したサブジュゲイターはそのまま三連続バック転を繰り出し、背後のショウジ戸を破壊してエンガワまで退がり、間合いを取る!そしてやにわに右手をケジメニンジャへ向けて付き出した!「ここまでだ!イヤーッ!」「グワーッ!?」
2011-09-02 23:58:17