間接正犯について

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杉山博亮 @sugiyamahiroaki

1)間接正犯について。正犯とは、自ら実行行為を行う者をいう。共犯(狭義)は、教唆行為・幇助行為によって正犯の実行行為に加担する者をいう。正犯と共犯とは、自ら実行行為を行うか否かが異なる。正犯には、直接正犯と間接正犯とがある。いずれも自ら実行行為を行うから正犯とされる。

2011-08-27 11:41:02
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

2)直接正犯では、犯罪は行為者によって直接実現されるが、間接正犯では、直接的には他人によって実現される。にもかかわらず、何ゆえ正犯なのか。その他人(被利用者)の行為が実行行為ならば、背後の利用者は、自ら実行行為をしていることにはならず、正犯ではあえないのではないか。

2011-08-27 11:41:39
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

3)間接正犯の場合に、利用者が自ら実行行為をしているという構成は、3つ考えられる。a)利用者の利用行為自体に結果発生の現実的危険があるという構成。b)被利用者の行為を止めない利用者の不作為を実行行為とする構成。c)被利用者の身体の動静は「利用者の」行為であるとする構成。

2011-08-27 11:41:56
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

3-2)aが最も普通に使われる。ただ、実行行為が「結果発生の現実的危険のある行為」であるのは、結果犯の通常の場合だけ。例えば、暴行罪の実行行為は「人の身体に直接向けられた有形力の行使」。この場合、利用者の利用行為を「暴行」とは評価できない。定型性がない。これがaの構成の限界。

2011-08-27 12:14:35
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

4)そこで他の構成が必要となる。しかし、bは適用場面が限定される。被利用者が結果発生の現実的危険のある行為を行う時に、利用者がその場にいなかったり、寝ていたりすると、止めることは不可能なので「作為可能性」がなく、使えない。また、不作為を「暴行」といえるかという問題もある。

2011-08-27 11:42:17
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

5)cの構成は、被利用者の身体の動静は、利用者に支配されているがゆえに利用者の実行行為と評価できるとする。AがBに対し「人形に石をぶつけてみろ」と言い、Bが石を投げた。人形ではなく人だと知っているAはそれを知らないBの身体の動静を支配していたから、この「暴行」はAの行為だとする。

2011-08-27 11:43:41
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

6)ところで、間接正犯は、一般に「他人を道具として利用することにより自己の企図する犯罪を実現する場合」と定義される。しかし、この定義は、少なくとも正確ではないだろう。もしこの定義に従うならば、間接正犯は故意犯に限られることになってしまう。過失犯を射程に入れるには修正が必要だ。了

2011-08-27 11:44:58
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

間接正犯について。ナンバリングを間違え、1つ脱落しました。追加で2-2をツイートしました。

2011-08-27 12:13:26
杉山博亮 @sugiyamahiroaki

すいません。再度間違えました。正しくは3-2でした。(><)

2011-08-27 12:15:20