ヤマダノススメ

読者の鉄人・お玉さんが、最愛の作家である山田正紀作品をなるべく書籍刊行順にゆるゆる読んでいく──そんな読書企画のまとめです。
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お玉と毒でんぱ @ottama709

ラストに見せるある種の境地に至る迄の道程もまた楽しい。 滅び 『弥勒戦争』におけるこの最重要キーワードを読者の意識に浸透させるため、エピソードが練られている。プールでのやりとりも好き。ほっこりとした別れも好き。敵の強大さを語るテレパシーの罠も好き。テーマトークの箇所も好き

2022-01-23 01:27:30
お玉と毒でんぱ @ottama709

立てたフラグや掲げたフラグを全て回収し綺麗に幕を引く、そんな閉じた構造のお話だ『弥勒戦争』は。 なのに、独語の余韻として残るイメージやスケールはやたら壮大で、拡がりは終わりがなく止めどない。 特殊なルールを基軸に置き、それを特殊な論理形成で問題解決させてるからこその二律背反なのね

2022-01-23 01:28:12
お玉と毒でんぱ @ottama709

令和という今の時勢から見ると『弥勒戦争』の設定ってちょっと厨二感の手触りが強く、『神狩り』と比較するとアダルティ感やクール感が弱かったりするため、難解なSFが醸し出す高尚さとは縁遠い作品と思われちゃうかもだけど、 異界味のある道具立てからの討論材料の抽出と論理展開はピカイチじゃね?

2022-01-23 01:28:35
お玉と毒でんぱ @ottama709

また。 山田正紀先生といえば先行作家や先行作品からの影響を「全く隠さない」ことでお馴染みなんだけど、特にこの『弥勒戦争』に関して言うと、もう「日本SFへの熱い熱いラブレター」級なのね。いろんな箇所からいろんなインスパイアを拾い出すことが出来たりするんよね。読み返すたびに微笑ましい

2022-01-23 01:29:09
お玉と毒でんぱ @ottama709

冒頭でハルキ文庫の新装版の表紙イラストをディスったんだけど、過去のハヤカワ文庫版や角川文庫版のイラストよりも、作品の本質の部分で考えてみるとこの少女の絵が一番しっくりくるんだよね。ハヤカワ文庫版は何か楽しそうだし、角川文庫版は、、、正直、訳がわからない pic.twitter.com/HxMQj4NeJx

2022-01-23 01:30:45
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お玉と毒でんぱ @ottama709

(でも、ハルキ文庫の新装版は、旧版にあった作者あとがきが省かれているので、まぁ、あまりオススメはしない) (ちなみに、あのあとがきの内容に関しては、無謀な挑戦を行ったからこそ、作品世界の異界感がより強くなっているのでは? と思っている民でありますよ) pic.twitter.com/7GSwDwgAQu

2022-01-23 01:30:47
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お玉と毒でんぱ @ottama709

というわけで『弥勒戦争』でございました。 長々と語ったわけだけど結論は「好き!」で「読んで!」なんですよね。 とにかく構成力がモンスター級なんですわ今作。 主人公に一番協力的なあの人の見せ方とか本当にヤバいんですわ。 ではでは

2022-01-23 01:33:18
お玉と毒でんぱ @ottama709

さて、山田正紀完成攻略! になればいいのになぁと夢見る「ヤマダノススメ」で御座います。 今回は第三回。『化石の城』とあいなりますよ。(写真は二見サラブックスですね。初期作品では珍しい未文庫作品なので、このノベルス版しか存在しない作品なのですね) pic.twitter.com/XmhI6ANUgq

2022-02-15 01:33:52
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お玉と毒でんぱ @ottama709

「SF界初」の「大型新人」「書き下ろし」「「「問題作!」」」 そう、それが『化石の城』。 ここまで強いアオリが踊っているのに、中身は冒険小説風味がムチャクチャ色濃いのよね。期待を良い意味で裏切る。それも一級のエンターテナーの務め。 pic.twitter.com/rDQkq0ekdi

2022-02-15 01:34:46
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お玉と毒でんぱ @ottama709

ジャンルを越境するノーボーダーな作家! どんな題材も面白く料理する何でも書ける作家! 令和を生きる僕らはこの事実をすでに知っているわけだが、デビュー一年目、著作三冊目からすでにその種が蒔かれていたことには驚きしかない あとがきで今作のSF要素を説明し、SFアピールをしてはいるけど……

2022-02-15 01:35:15
お玉と毒でんぱ @ottama709

途方もなく壮大な理想に魅せられた男たちが奇策を用い夢の成就を図る。そこには奇妙な友情があり、運命じみた恋愛劇がある。近い未来に起こり得るかもしれない問題点が論考され、現実の歴史で起こった事件が物語に取り込まれ利用される。拳が唸る。銃弾が跳ねる。 『化石の城』とはそんな物語である

2022-02-15 01:36:44
お玉と毒でんぱ @ottama709

物語に登場する城がかなりトンデモない城だったり、主人公たちの作戦がトンデモスケールだったりするけど、、、作中で描写されている男たちの熱量(冷たく熱い!)の総和は、根幹アイデアであるすごく不思議を遥かに上回っている。 故に、単純な意味でのSFっぽい印象は、物語から全て消え去っている

2022-02-15 01:36:44
お玉と毒でんぱ @ottama709

「これが冒険小説じゃなければ、何が冒険小説なのよ?」 そう呟きたくなるくらい冒険小説味が強い小説だ。日常から非日常へと至る(幾らでも引き返せそうな)なだらかな経緯があり、戦うための表面上の動機にトンデモスケールだからこその(いろんな意味で)異常な説得力がある。

2022-02-15 01:38:26
お玉と毒でんぱ @ottama709

思想背景を持つ作戦行動の中で青春期に感じた未練やくすぶりと向き合う。それが最終盤での生命をかけて戦うための意地となる。 当時の時勢をシュミレートしてあの背景を背負うあの城が作者の筆から誕生したのだと思うけど、城そのものより、城へと辿り着こうとする人の話になってるよ『化石の城』

2022-02-15 01:38:26
お玉と毒でんぱ @ottama709

ここからはちょっとネタバレ。 『化石の城』でのあの城って、某有名作家の某有名小説に登場するお城から採られており、とある集団の導き手としてのシンボルとして扱われてるわけだけど、これって同時に「辿り着くことが出来ない城」という意味も暗に匂わせているんよね

2022-02-15 01:39:00
お玉と毒でんぱ @ottama709

なので、あのシーンで語られる城の真実に対し、どんでん返し的な驚きでは無く、むしろ「やっぱりそうだったのね」という予定調和じみた印象を受け取ったわけなのね。 でも、それでいい。 熱気が醒めた後に、「(比喩的な意味で)城に辿り着くため」の熱狂(熱くもあり冷たくもある)が待っているからね

2022-02-15 01:39:00
お玉と毒でんぱ @ottama709

そう考えると、あの破壊工作員のあの死に様って、冒険小説スタイルのテンポの良さで初読のときはスッと受け入れていたけど、……すっげえ皮肉の効いた内容じゃない、……めちゃくちゃ良く出来ているじゃない Σ(゚д゚lll)

2022-02-15 01:39:00
お玉と毒でんぱ @ottama709

(……まぁ、某有名作家の某有名作品って、私何度か挑戦しているんだけど、……三日目くらいで、いっつも挫折しちゃってるんだもんね。文学評とかで概要が紹介されているので辿り着けないのは知ってはいるけど、それが何を意味しているかのは未だ確かめられてないのよね)

2022-02-15 01:40:19
お玉と毒でんぱ @ottama709

SF作家の物語構築方で描かれる冒険小説。 『化石の城』から僅か数作後の山田正紀作品にてそれは芽吹き大満開で花が咲く。超傑作群たちが爆誕する。 なので、ジャンルノーボーダー作家としての契機、そのような位置付けで『化石の城』は捉えていたけど、エンタメ文学としてかなり◎なんよなぁ

2022-02-15 01:41:11
お玉と毒でんぱ @ottama709

というわけで『化石の城』でした。 正直、昔読んだときはピンと来ない作品だったんだよね。でも、ある程度の歴史知識、エンタメ小説で使用される技法の数々、年々強くなる若い時分の未練や後悔、そんなものたちを装備した状態で読むと、結構クるですよねコレ。 何故に未文庫??

2022-02-15 01:41:38
お玉と毒でんぱ @ottama709

山田正紀の書籍刊行作品をゆるゆる読んでいき、ゆるゆる感想を呟く「ヤマダノススメ」 本日は第4回、サスペンスSF『流氷民族』! 車で少女をはねることで始まる捜査行と大冒険! (写真はハヤカワ文庫版。改題されたハルキ文庫版は、帯でおもいっきりネタバレをしているためコチラで) pic.twitter.com/SJryntCoBk

2022-02-19 01:51:42
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お玉と毒でんぱ @ottama709

最初から脱線だけど、『氷河民族』から『流氷民族』への改題、◎だと思ってるよ。 氷河って「ドンッ!」って不動な感じだが、流氷ってのは「シャ〜ッ」て感じじゃん。 流氷って、流れるだけじゃなく流されているようなイメージもある。 本編で語られる彼ら彼女らの環境を考えると流氷のほうがピッタリ

2022-02-19 01:52:53
お玉と毒でんぱ @ottama709

(『三人の『馬』』、『灰色の柩』、『SF読書会』、「機神兵団」でのサブタイトル剥がし、、、 改題をそんなに行わない作者なのに、あくまで個人的な意見だけど、何か改題後のタイトル、しっくり来ないンですわナ。 あっ、『最後の敵』のサブタイ剥がしは好きですよ♫)

2022-02-19 01:52:54
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