認知症の人の意思決定支援について

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドラインを学ぶために作られた動画がよくできていたので感想をまじえて内容をまとめました。
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内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドラインというものがあります。 mhlw.go.jp/file/06-Seisak… このガイドラインを学ぶための手引きに認知症のご本人のインタビューがありyoutubeに公開されているんですが、この動画がよくできている。続く #認知症 #意思決定

2022-01-20 22:51:25
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

インタビューリンクはこちら。 youtube.com/watch?v=ui3qxf… 6分ほどなので、ぜひ見て欲しい。 近くに息子さんが住んでいて一人暮らしをしている女性。地域の食堂でボランティアをしている。 2年前から物忘れが目立つようになり1年前に認知症と診断された。

2022-01-20 22:51:25
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内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

不安なのでカレンダーやノートを何度もみる。 ノートは3冊持っていると言い、提示されたノートには黒ペンや赤ペンでびっしりメモが描かれている。 ←認知症の人で最も多い症状が記銘力障害と言われるもので、新しいことを覚えることが難しくなる。このため、この方はノートに書き記憶を補っている。

2022-01-20 22:51:26
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

「3回くらい書かないと覚えない。不安だからね」との発言。 ←逆にいうと、3回書くと覚えられる。記銘力障害があるとはいえ認知症になるとすぐに何も覚えられなくなるわけではない。繰り返すことで覚えることができる。そしてこれは、認知症かどうかは関係ない。テスト勉強、繰り返して覚えたよね?

2022-01-20 22:51:26
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

一番困ることは料理。あるものを切って、そのまま食べることが多い。簡単に済ませている。でも、配色サービスの利用について尋ねられると「もう少しいいかな」との反応。 ←ここが重要で、自分でできることはできるだけやる。役割や目的を失うと認知症の進行は加速する。

2022-01-20 22:51:26
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

「物忘れが激しくなってるので人前に出て話すのは無理だと思います」と主治医に言ったら「積極的に交流した方がいい。薬に頼るより、どんどん(人前に)出てください」と言われた。 ←主治医の対応が素晴らしいと思う。認知症の人の行動に周囲がブレーキをかけがちで、役割や目的を奪いがちなのが問題。

2022-01-20 22:51:27
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

「こんなに喋れるのは認知症の方でも特殊では?」という問いかけに、「そんなことないですよ。地区の会員さんは話はできると思う」 ←認知症当事者が上手に話をしていると「認知症らしくない」「特殊だ」と言われる課題がある。これについてはぜひ「間の人」を読んで欲しい。s-scrap.com/category/higuc…

2022-01-20 22:51:27
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

これからも続けていきたいことについて、「自分が好きでやっていたコーラスや手話ダンスなど、なるべく続けていきたいという話。自分でついていけないと納得したら、ひとつずつできなくなっていくだろうと思います」

2022-01-20 22:51:28
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

「今の暮らしが自分で決めてやりたいことがたくさんある。それが1日でも多く長くやっていければベストだと思う」 「でもそれができなくなった時は、いさぎよく自分で決めて納得してやめていきたいと思う」 「自分で決めるということだと思う。何事もそう」

2022-01-20 22:51:28
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

「人に言われたからやめるのではなくて。自分でわかる。自分のことは。自分で決めていきたいと思います。」 として動画は締めくくられる。 まさに、認知症の人の意思決定支援に相応しい動画だと思った。

2022-01-20 22:51:28
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

一方で、この動画に一つだけついている 「自分で分かるって言ってるけど、自分で分からなくなるのが認知症なのでは?」 というコメントも興味深い。 これは、ある意味真実であり、ある意味真実ではない。

2022-01-20 22:51:29
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

このコメントにあるように、一般に認知症になると判断能力がなくなると思われていることが多い。 しかし、初期や中期の認知症では記銘力障害や軽度の認知機能障害があるだけで、説明する際の言葉選びや、イラストや図を使い、説明を過剰書きにするなどの配慮をすることで多くの意思決定が十分可能だ。

2022-01-20 22:51:29
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

現状は、認知症というだけで意思決定の選択肢を奪われすぎている。これについては、丹野智文さんの新著「認知症の私から見える社会」をぜひ読んで欲しい。bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0…

2022-01-20 22:51:30
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

しかし、一方で、認知症の原因疾患の多くが進行性で不可逆性なのも事実だ。 認知症の進行に伴い自分で判断することが難しくなる。この時に助けになるのがアドバンスケアプランニング(人生会議)だが、はじめてTwitterのスレッド機能を使って長くなってしまったので今回はここまで。 #認知症 #意思決定

2022-01-20 22:51:30
岡部廉 @ta_okabe

@naokiuchid 大変勉強になりました。ありがとうございました。

2022-01-21 03:08:48
ハム @U2rm41vNwB5AgpP

認知症についてだんだんと社会に認知されるようになってきたけど、まだまだ「忘れる病気」だとか「徘徊する病気」という認識が大半だと思います。 残された機能に重きを置く介護という仕事に携わらなければ僕も同じような認識だったろう。 地域への理解を発信することも認知症者の介護なのかも。 twitter.com/naokiuchid/sta…

2022-01-21 07:30:48
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

@U2rm41vNwB5AgpP おっしゃるように、認知症について地域に情報発信することが重要だと感じています。 認知症のイメージが重症のものに偏っていることが大きな課題で、これによって認知症と診断されることを恐れたり、軽症の方が活躍してると「認知症らしくない」と言われたりとすることが生じていると考えています。

2022-01-21 11:04:24
ハム @U2rm41vNwB5AgpP

@naokiuchid 内田さん!引用失礼しました! 認知症に関する理解をもっと広めていけば「認知症になったなんて恥!」みたいな考えも是正できると思います。内田さんのような医師の方から説得力のある発信がもっと広がればいいと陰ながら応援しています!

2022-01-21 12:56:02
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

@U2rm41vNwB5AgpP ありがとうございます!! 認知症発症の最大のリスク因子は加齢です。 「歳をとると誰でも認知症になる」という理解が広がっていけばと思っています。

2022-01-22 21:39:15
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

@HiguchiNaomi ありがとうございます。 この動画、ほんとうに示唆に富む内容になっていると思います。 次に認知症の人の意思決定支援の研修をする機会があれば、これをテーマにワークショップやってみます。

2022-01-21 11:11:33
Daisei Kinoshita @daiseikinoshita

知的障がいで認知症がある人は「障害福祉サービスの利用等にあたっての意思決定支援ガイドラインについて」と「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定ガイドライン」と併せて考えるのが良いのだろうか。北里大学の大石先生@SATORUOI と考えてみたいと思います。 mhlw.go.jp/file/06-Seisak… twitter.com/naokiuchid/sta…

2022-01-21 08:37:22
内田 直樹 @たろうクリニック院長 @naokiuchid

@daiseikinoshita @SATORUOI ありがとうございます。 さらに、人生の最終段階における医療とケアの決定プロセスに関するガイドラインも、途中の段階から必要になると思います。 ご翻訳された「知的障害と認知症」、大変興味深く拝見しました。

2022-01-21 11:07:25