阿部公彦『小説的思考のススメ』読書メモ

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かんた @0sak1_m1d0r1

小説とは嘘であることが前提になっているという、不思議な言葉のジャンルです。そういうジャンルの言葉と接するとき、私たちはどこかで無理をする必要がある。 (阿部公彦『小説的思考のススメ』2)

2022-01-22 00:30:19
かんた @0sak1_m1d0r1

小説を手に取って迷ったりひるんだりしても、それはあなたのせいではありません。小説のせいです。小説というのは元々読むのが難しいものなのです。 (阿部公彦『小説的思考のススメ』8)

2022-01-22 00:39:19
かんた @0sak1_m1d0r1

自由自在に手際よく心地よさを生み出す。これは小説の入り口かもしれません。でも、その先がなければ小説は成就しない。心地よさをつくりあげたうえでそれを破ること。それを壊すこと。それがなければ小説は小説にはならない。 (阿部公彦『小説的思考のススメ』18)

2022-01-22 11:50:24
かんた @0sak1_m1d0r1

教養ということをうるさく言う人の中には、「自分は学生の頃は○○を読んだものだ」と威張ったりする方もおられますが、その本がどんな内容だったか、文章の感触はどうだったか訊いてみると、あまりはかばかしい答えが返ってこないということがよくあります。こういう「名前主義者」には

2022-01-22 19:29:13
かんた @0sak1_m1d0r1

なりたくないものです。むしろ作家名やタイトルは忘れても、文章の体験だけは大切にすべきなのです。 (阿部公彦『小説的思考のススメ』25) うわー、これはめちゃくちゃ大切な言葉だ…。

2022-01-22 19:30:32
かんた @0sak1_m1d0r1

というのも、「が」はたしかに主語を示しているかもしれないけれど、収入役が話題の中心であり、それが現在語られている物語のオチを形成するのだということまでは伝わってこないからです。まだ何かあるのか、という気になる。 (阿部公彦『小説的思考のススメ』54) こういう感覚、僕も大事にしたいな

2022-01-25 16:40:29
かんた @0sak1_m1d0r1

情報として「語り手は若い女だ」と知ることと、いかにも"若い女"な語り口を体験することとは、読者にとって必ずしも同じことではないのです。 (阿部公彦『小説的思考のススメ』69)

2022-01-25 16:45:52
かんた @0sak1_m1d0r1

よく知られているように古井由吉は「杳子」という作品で芥川賞を受賞(1970年)し文壇デビューを飾りましたが、そのときの芥川賞選考会議ではもう一篇の作品が最終選考に残っていました。その一篇とは、同じく古井氏による「妻隠」だったのです。 (阿部公彦『小説的思考のススメ』172) びっくり。

2022-01-26 16:58:42
かんた @0sak1_m1d0r1

阿部公彦『小説的思考のススメ』読了 「小説というのは元々読むのが難しいもの」という出発点からまずハッとさせられた。小説を読むこと自体は簡単だと思っていたし、楽しまなきゃという意識がどこかにはきっとあったから。 やけに丁寧な言葉(語り)とそれが破れる瞬間を読む『斜陽』読解、 pic.twitter.com/MrP0j8tnoJ

2022-01-27 11:46:47
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かんた @0sak1_m1d0r1

表面上丁寧な登場人物の台詞と語り手の堅苦しい観念的な語りからそれぞれの「真実」との向き合い方を読む『明暗』読解、語りの「は」と「が」から物語構造に鮮やかに切り込んでいく『家族写真』読解、どれも素朴な読み心地や文章の感触が物語の大きなテーマに接続していて、とても勉強になった。

2022-01-27 11:50:49