サイゼリヤデート、たんぽぽの花束、クリスマスの4℃、そしてバレンタイン、贈与論からまとめて考察

Twitterでよく燃える全てを「贈与」という観点に着目して考察してみました。
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青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

これに対して、男性が高品位の物品を贈与したり、デートで女性を上座に座らせたうえで、贈与物たる飲食を饗応するのは「献上」の図式です。その飲食や物品の内容によって「上位者の権威」がどの程度尊重されているか測ることも含めて、非常に類似していると言えるでしょう。

2022-02-13 15:18:36
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

こうした男女関係における贈与の図式は別に現代に始まったことではなく、きわめて古い、原始的なものです。少なくとも、古代ローマのオヴィディウスは『恋の技法』という著作の中で、「女性を主人のようにみなして、男性が召使のように仕えるゲーム」としての恋愛のマナーを説いています。

2022-02-13 15:18:36
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

オヴィディウス的恋愛は、イスラム世界を経て、ヨーロッパ世界の宮廷に逆輸入され、アンドレアス・カペルラヌス『宮廷風恋愛の技術』やドニ・ド・ルージュモン『愛について』などの著作で再解釈され、いわゆる「宮廷風(騎士道)恋愛」が誕生します。

2022-02-13 15:18:37
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

女性を権威者とみなして、男性が献上品を「贈与」し、その仕草の洗練でもって自己の「能力」をPRすることで、女性はより優秀な男性とつがい、男性は貴婦人というトロフィーを得る……というゲームで、市民革命などを経て宮廷風恋愛が市民にも広まり、これは現代の恋愛まで通底音として続いています。

2022-02-13 15:18:37
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

さて、私は別に、恋愛における男女の非対称性が悪いと言いたいのではありません。でも、これって、はっきりいって「ジェンダー」ですし、フェミニズムとかジェンダーフリーとかとはゲロッさ相性が悪いというか、矛盾しているということは指摘しておきたいのです。

2022-02-13 15:18:37
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

普段、フェミニズムを主張している人々が、こうしたいわゆる「ロマンチックラブイデオロギー」に安直に乗っかり、あまつさえそれを擁護する側で論陣を張るのは、明らかにおかしな主張をしているというのは、自覚してほしいのです。何度も言いますが、それは、まじりっけなし無垢無垢の「ジェンダー」。

2022-02-13 15:18:38
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

バレンタインにひっかけて言えば、「ホワイトデー」というのもあるじゃないですか。あれって昔から「3倍返し」なんて言いますけど、先程考察した「贈与とは交換である」という理屈から言うと、3-1=2の部分って何と交換されているのか、って話ですよ。

2022-02-13 15:18:38
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

それこそまさに、女性がジェンダーとして担ってきた「ケア」の価値じゃないんですか、って話ですよね。男女関係にセックスまで含めるなら、それってフェミニズムが「性の二重基準」として批判してきたものの裏側に存在するものじゃないですか。

2022-02-13 15:18:39
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

これ、本当にちゃんと考えるべきだと思うんですよ。よくネットで批判的に言及される太田弁護士の『これからの男の子たちへ』ですけど、これもバレンタインで現れる男女の権力差(女性が男性を選定する権力を振るう場になっている)にちゃんと言及している。これ、偉いことですよ。 pic.twitter.com/OpkJA9T6Mt

2022-02-13 15:18:40
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青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

男女の「贈与」を巡る非対称性の裏側に何があるのかって話、表面的な男叩き/女叩きに終始するのではなくて、もう少し、それこそ人文系の学者の先生とか、ちゃんと考察してみてもいいんじゃないかなって思いました。おしまい。

2022-02-13 15:18:40

追記:大事なこと

青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

あ、大事なことを書き忘れていたので追記すると、4℃とかサイゼデートが燃えるの、この男女の「権威差」を巡るコンフリクトだと思っていて、男女平等とかジェンダーフリーという建前から言えば、「権威差」があるのって本来おかしいんですよ。

2022-02-13 15:39:05
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

完璧にジェンダーがフリーで自由な恋愛なら、サイゼでも何でもいいはず(対等者が一方的に贈与物を審問するのはおかしい。というか、そもそも贈与ですらなくなる)なんですけど、実際にはそうじゃないわけです。

2022-02-13 15:39:05
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

海外ではデートはどこでもいいぞーって話が出てますけど、男女の恋愛の場としての高級レストランが発達したのって、もともと欧州なのですから、ジェンダーフリーな欧米諸国ではそういうのがなくなっているのかもしれませんね。欧米ガーのみなさん、触れませんけど。 twitter.com/massi3112/stat…

2022-02-13 15:39:06
マッシ 🇮🇹🇯🇵 フードライター&通訳 @massi3112

最近、サイゼリヤでデートはあり?なし?のような話を見るけど、イタリアではサイゼリヤのようなお店がほとんどで、初デートもナンパも家族の時間も大体サイゼ的なお店が多い。サイゼで初デートの良いところは、いろんな料理を頼んでカスタマイズすることで、相手のために最高の味を作れること。

2022-02-11 18:13:02
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

そうなってくると、結局、男性も女性も、ジェンダーフリーとは言いながらも、自分が都合のよいジェンダーは降りたくないんだって話でしかないんですよ。男性は政治やビジネスで、女性は恋愛において、都合のよいジェンダーを必死で守ろうとしている。

2022-02-13 15:39:06
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

私はそういう「心地よいジェンダー」を全部が全部ぶっ壊すのって、現実的ではないし非合理だと思うので、男女両方が自らの立場をぶっちゃけ本音でステートメントしあうことがそろそろ必要なんじゃないかなと思ってます。必要なジェンダーは必要なジェンダーとして残せばいい。

2022-02-13 15:39:07
青識亜論(せいしき・あろん) @BlauerSeelowe

そういう感じですね。今度こそ本当におしまい。

2022-02-13 15:39:07