2022/3/1 ユヴァル・ノア・ハラリTED緊急インタビュー【要約】「ウクライナでの戦争は全てを変えるかもしれない」

2022年3月1日にTEDメンバーシップイベントで行われたユヴァル・ノア・ハラリ氏の緊急インタビュー(3/2公開)を、一問一答ごとに1ツイート要約しました。正式な日本語字幕がつくまでの参考に。聞き手はTEDグローバル・キュレーターのブルーノ・ジュッサーニ氏です。
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三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

他州にいる息子から送られてきた動画。ユヴァル・ノア・ハラリのTED緊急インタビュー。アメリカのリベラルアーツカレッジ大学生たちは、こういうものを見ているらしい。母ちゃんも見るぞ。 / htn.to/VasiutN4vz

2022-03-03 13:42:13
リンク YouTube The War in Ukraine Could Change Everything | Yuval Noah Harari | TED Concerned about the war Ukraine? You're not alone. Historian Yuval Noah Harari provides important context on the Russian invasion, including Ukraine's long h... 1 user 7757
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

YouTubeタイムスタンプを追加しておきます。皆さんの興味のあるトピックの位置に直接飛んで、実際の質疑応答を聴いていただけたらと思います: 第一答 1:05 第二答 3:34 第三答 5:10 第四答 7:16 第五答 10:30 第六答 11:46 第七答 14:40 第八答 18:05 第九答 21:30 第十答 23:40

2022-03-06 13:17:22
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第11答 25:32 第12答 27:27 第13答 29:39 第14答 30:47 第15答 32:50 第16答 33:36 第17答 35:20 第18答 37:04 第19答 39:58 第20答 42:07 第21答 43:56 第22答 45:53 第23答 47:47」以上

2022-03-06 13:17:49
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第一答からハラリらしい視覚的比喩や切れのいい指摘があって、深刻な話ながら苦笑をさそう。「プーチンの幻想では、ロシア戦車はウクライナ市民から花を投げて歓迎されるはずだった」とか「プーチンはゼレンスキーをネオナチと呼んでいるが、彼はユダヤ人なんですけどね、ユダヤナチですか」とか。

2022-03-03 13:51:53
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第二答。ウクライナ人の団結と対ロシア拒否の態度を示すエピソードとして、2014年クリミア侵攻時のデモでは、石を投げて参加することはできない老女二人が、トレイに山盛りのサンドイッチを積んで、道ゆくデモ隊の人々に配っていたと。目に浮かぶようですね。ハラリはほんとこういう描き方がうまい。

2022-03-03 14:02:51
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第三答。もはやソビエト時代とは異なり、今なお「ロシア帝国」主義を抱いているのは、それによって富を占有するごく少数の上層部の連中(ハラリ曰くgang)だけ。富を吸い上げられ低所得生活を強いられている側の国民は、今回の領土拡大戦争に興味がない。

2022-03-03 14:17:23
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第四答。現況のほぼすべては、侵攻「前」からわかっていた。ロシア軍の強大さも、経済制裁も。ただ一つ、侵攻「後」にしか知り得なかった賭けは、ウクライナ人の反応であり、それが今プーチンの番狂わせになっている。大統領は逃げず、人々が徹底抗戦するとは、侵攻してみないとわからなかった。

2022-03-03 14:35:05
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

この第四答は、インタビューに先立って寄稿したガーディアン紙記事(リンク先翻訳記事)に対する、ハラリ本人の説明になっている。ある時点ですでにあった事実・まだなかった事実を時間軸に沿って洗い出して過去を再現する、歴史家ハラリの面目躍如といえる鮮やかな解説! courrier.jp/news/archives/…

2022-03-03 14:39:55
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第五答。ロシア側が被った被害、次の選挙で勝たなきゃいけないプーチンが受けたダメージについては、「知らーん、ぼく政治家じゃないし」とめっちゃつれないハラリ(笑)しかしとにかく明らかなことは、この戦争を早く止めないと、被害はロシア、ウクライナのみならず、全世界に及ぶと。

2022-03-03 14:58:02
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第六答。質問者は「理由は」と一言だけ、すかさず本質論で答えるハラリかっこえー。全世界的影響はズバリ軍事予算の爆上げだと。すでに独で始まっているが、今後は各国が疑心暗鬼で軍事予算を増やし、福祉・教育・環境問題等に割くお金は減り、AIなど新技術規範のグローバル協議も滞る可能性ありと。

2022-03-03 15:08:57
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

数字はうろ覚えだからファクトチェックしてねと言いつつ、かつて絶対王政時代は50-80%もあった国家軍事費が、第二次大戦後数十年間のEUは3-6%で済んでいたのは奇跡だったと。この平和(による経済的余裕)があればこその20世紀後半の技術革新だったが、この先は全世界的に苦難の時代となるだろう…

2022-03-03 15:14:20
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第七答。「西側諸国」を分断させようとするプーチンの試みは、完全に逆効果を招いた。西側の団結の早さ・強さ・一致ぶりにはハラリも驚いたほど。近年、西側は「文化戦争」(二極化による社会的分断)に陥っていたが、リベラリズム/ナショナリズムは民主主義の中の違いだと、外敵に直面して気づいた。

2022-03-03 15:28:35
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第八答。ハラリの2/9エコノミスト紙寄稿「ウクライナ危機は人類史の必然」の説明。第二次大戦後、一国たりと戦争で消滅していない事実を楽観視するピンカーら歴史学者もいるが、ハラリはより現実的。戦争が人類史の常態であり、プーチンは人間の本性に従っただけなのだと。 economist.com/by-invitation/…

2022-03-03 15:47:32
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第九答。核兵器の脅威についてはハラリも「まじでこわいね」と即答、フロイト的な抑圧(自己防衛)を感じるほどだと。核は60年代のキューバ危機や映画「博士の異常な愛情」以来過去のものであり、平和のための抑止力として効果的に働いてきたが、実際には現存し、誤射の可能性は常にあったのだと。

2022-03-03 16:02:06
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第十答。核の脅威はすでに高まっていた。20世紀後半、核の抑止を共通認識として人類が共同で建てた「ヒューマニティの家」は、近年、手入れされず壊れかけていた。これが崩壊したらヒトは滅亡する。今回の戦争を止めることだけでなく、全人類が住んでいるこの「家」を建て直すことが必要である。

2022-03-03 16:12:45
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第11答。以後は視聴者とのQ&Aか。レバノン生まれの女性から質問「この戦争の心理的後遺症は?」ハラリ曰く、戦争は憎しみ・恐怖・惨めさの「種」をまき、それは数十年に渡って恐ろしい「果実」を実らせる。今回のロシアの行動も、前大戦で侵攻「された」恐怖の産物。ただし学びではなく逆襲の方向に。

2022-03-03 16:21:43
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第12答。11答に補足して、職業上の率直な吐露。ハラリは「歴史家」として、自分の知識をもって人々に何ができるかわからないことに恥もしくは責任を感じると。過去にまかれた負の種から育つ果実から、人々は逃れられず、40年50年おきにまた次の種をまいてしまう。木の根を断ち切るべきなのだが。

2022-03-03 16:36:00
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第13答。歴史の連鎖を断ち切る必要に関しては、ドイツも同様だと。現代ドイツはEUのリーダーであり、「自分たちはナチスではない」と延々と証明し続ける必要はない。ハラリは、ユダヤ人としてイスラエル人として歴史家として、今のドイツを信用していると強調。先日の独の即時軍拡に対するコメント。

2022-03-03 16:45:53
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第14答。今回の戦争が、地上戦とサイバー戦のハイブリッド(相互連結)である点。ハラリは、多すぎる情報はフェイクニュース等の駄情報になりがちと指摘。また(新技術の登場というよりも)、新石器時代の「石壁」攻防戦を、現代は、SNSからの締め出しやサイトの相互攻撃としてやっている、と理解。

2022-03-03 17:10:03
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第15答。新しいのは、戦争への遠距離リモート参加。20世紀前半スペイン内戦では現地従軍しかなかったが、ウクライナは一夜で全世界から17万5千人のサイバーボランティアを集めた。ハラリは歴史家としての鳥瞰で、戦争には常に新しい戦術が現れるが、同時にまた常に古い戦術も使われる、とまとめ。

2022-03-03 17:20:23
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第16答。中国の立場について(やっと出てきた!)。むろんハラリは、中国の専門家ではないとして個人的な希望を述べるにとどめ、ロシアに近い中国が「責任感ある大人」として戦争を鎮める方向に働きかけることを期待。そうすれば世界から感謝されるだろうが、逆なら中国の損失も大きいだろうと。

2022-03-03 17:29:47
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第17答。視聴者の質問、この戦争はEU外交の失敗か?モスクワ会談などで回避できる可能性があったか。ハラリは、外交で除けるような国防上の危機が皆無なのに侵攻したのは、(ロシア帝国再興という)「プーチンの幻想」が目的だからで、彼はどのみち外交的解決には興味を示さなかっただろうと。

2022-03-03 17:44:49
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第18答。視聴者質問、この戦争が過去の戦争と異なる点は。ほぼ再掲になるが、次の3点: 1)第二次大戦後初の「国境(の神聖さ)」に対する侵犯であり、悪しき前例になりかねない 2)部族戦争・宗派戦争と異なり「超大国」間の戦いになる可能性がある 3)「軍事予算」拡大の世界的連鎖を招く

2022-03-03 17:59:28
三浦真弓 / Mayumi MIURA @mayumiura

第19答。環境問題への影響。ロシアに天然資源を依存してきたヨーロッパ諸国・および全世界にとってのベストシナリオは、今回の危機を、再生可能エネルギー開発(グリーン・マンハッタン・プロジェクト)の加速につなげること。歴史上、石油・ガス産出国はつねに独裁政権と経済格差の温床だった。

2022-03-03 18:15:11