よしざわひでおＰのクロニクルまとめ

よしざわひでお @yoshi_clonoa

だからタイトルネームを付ける際にも単に「ワギャンランド」のナンバリングにしたくないと思っていました。 そこでディレクターのKくんといろいろなタイトル案を考えました。 スタッフからもいろいろなネーミングが出ましたが、どれもこれも何かいまひとつピンとこないで困っていました。

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そこで私が 「タイトルって略したとき響きがいい方がいいよね。例えばワギャンパラダイスでワギャパラとかギャンパラとかさぁ」 というとディレクターのKくんが「それだ！」って言って非常に気に入ってしまったのです。 そして結局これが正式名になりました。

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今月はアーケード用ゲーム「ピンボールアクション」発売３５周年に当たるので、記念して久々にクロニクルを書いてみます。 pic.twitter.com/TVpyfnRdzd

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テクモ（当時テーカン）の販売部に入社して半年、開発に異動になり、まず最初に与えられた仕事がアーケードのビデオピンボールの面デザインでした。

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この『ピンボールアクション』という企画はメイン画面から３つの面へ続くホールがあって計４つの面を行き来して遊ぶピンボールなので、４つの面のデザインとヒットを作らなくてはならないんです。

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で、毎日毎日ピンボールのカタログや本で面の構造や仕掛けを研究したり、社内のマニアに取材して、どういう所が面白いと思うのかを知ろうとしました。 そこでピンボールの奥深さを知りました。

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フリッパーの使い方一つで様々なテクニックがあり、それが使えるように調整したり、面のデザインを考えたりの毎日。何百枚も面デザインを描いては上司に見せての繰り返しでした。

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でも毎日こんな事をして給料もらえるのが申し訳なかったですね。 とにかく毎日会社に行くのが楽しみで楽しみで仕方なかったんです。 つづく

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今日は「ピンボールアクション」開発中に起こった謎の発光事件について。 pic.twitter.com/KfKUZ7XCCw

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業務用の基板には絵やデータが入ったROMが挿さっていて、新しいデータができるとROMに焼いてプログラマの所に持って行って挿し替えるのでした。 ROMというのはICチップを内蔵し、ソケットに挿す足がたくさんついた記憶媒体です。 pic.twitter.com/IGVdSFnBph

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丸いガラス窓が付いていて、ここに紫外線を当てるとチップのデータが初期化されるのです。データを焼きこむとこの窓に丸いシールを貼ります。 使用済みのROMからこの丸いシールを剥がして、ガムテープで糊をきれいにし、紫外線装置で消去するのは新人の私たちの仕事でしたね。

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その日も新たなデータを作成し、焼いたROMを持ってプログラマの所に行くと、仕事しないでマンガを読んでいます。 当時は実行ファイルを作成するためメイクをかけると３０分以上かかるのです。これを「アセンブル中」と呼ぶのですが、私は「遊んでる中」と呼んでました。

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この間にROMを交換して待っているとアセンブルが終了し、電源を入れました。 しかし画面が映らない。するとROMの丸い窓の赤いシールが眩い光を放って光り始めたのです。 「なんか光ってるよ」 というとプログラマが「バカ！」と言って電源を慌てて切りました。

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ROMを逆さに挿してしまったのでショートして中で燃えて光っていたのでした。もちろんROMはお亡くなりになりました……。 それからは向きを注意深く確認するようになりましたとさ。 つづく

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この作品は私が開発部に異動して最初の仕事だったので、とにかく何かしら自分の爪痕を残したかったんですね。 pic.twitter.com/CPLAJaXM3f

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４つの盤面を行き来するピンボールという企画自体は上司の上田さんが考えたもので、私はその盤面のデザインが仕事でした。遊びやピンボール自体のことについて、上田さんには全然かなわないので、いつも上田さんにこれでいいかどうか確認しながら進めるしかないのです。

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でもひとつだけ私が勝手に考えて創った部分がありました。 それはタイトル画面です。 ビデオゲームのタイトル画面には大抵「INSERT COIN」という表記があります。これと 「PINBALL ACTION」という文字が似てるな～と眺めながら思ったのでした。

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そこで最初画面に「INSERT COIN」という文字が表示されていて、その文字が動いて組変わったり、モーフィングしたりして「PINBALL ACTION」というタイトルになるという仕様を書きました。

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BGMもこれにぴったり合うように創ってもらい、動きのデータや調整をして、完成した時には達成感があったものです。 今見ると稚拙極まりないですが、ね。 この動画で見られます。ちなみにこの人、プレイが超うまい。 つづく youtube.com/watch?v=QVhuRY…

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今日は第一回目のロケテストについてです。 pic.twitter.com/noM5U0Tsuk

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当時はビジュアルのスタッフも少なく、企画が絵も描いていたので、私も挑戦しました。結構よく描けたつもりでしたが、周囲の評価はいまひとつ。

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そこで１回目のロケテストがありました。 課長がわたしに 「吉沢くん、ロケテスト見に行く？」 と聞くので、てっきり課長の自家用車に乗ってお供させてもらえるのかと思って「車ですか？」と聞いたんです。

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すると課長は 「車だったら行くけど車じゃなかったら行かないっていう姿勢は好きじゃないな！」 えらい剣幕で怒られてしまいました。

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そいういつもりじゃなかったんですが、確かにロケテストを見に行くことは企画の重要な仕事のひとつだとその時思い知ったのでした。課長に内緒でそっと会社を出て、電車でロケテストのゲーセンに行き、遅くまで視察したものです。