- rouillewrite
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今朝礼拝堂で話した通り、イーライとアシュリーが少女たちを連れて、行方不明者を探しに行こうとしたその時。
2022-03-31 21:19:40予想通り、グリムが笑顔でてとてとと小走りになりながら食堂へ入ってきた。昨日の様子はどこへやら、随分とご機嫌な様子だ。
2022-03-31 21:21:53オリヴィアが少し皮肉るようにそう呟くと、グリムは「えへへ」と舌を零しながら笑う。 切り替えが早いのか、何かいい事でもあったのか。子供の機嫌はコロコロ変わるものだからだろうか。
2022-03-31 21:23:04いつもより倍の幼さを含んだ口調で笑うと、彼女は振り子時計とは反対側の奥の方へ向かうと、その場に立つ。
2022-03-31 21:24:10あまりの事態にその人物を把握することが出来ず、驚いた悲鳴を上げている少女たちをよそに、その人物はジャックに掴みかかった。 そして、彼の首に腕を回し反対の手でポケットに入れていた銀色のそれを握りしめると、ジャックに向かって突きつける。
2022-03-31 21:27:25「───っも、もうこんな殺人やめて…さもないと、彼を僕が殺す…こ、ここ…っ殺すよ…っ!」 pic.twitter.com/QJXeVLB91b
2022-03-31 21:27:54───行方不明だと思われていた、ライクムだ。どこから持ち出してきたのか、手に持ったナイフをジャックの首元へと突きつけている。
2022-03-31 21:29:04恐怖と緊張で顔を歪め、走り込んできたことでゼェゼェと息をしているライクムとは対照的に、人質に取られているジャックはキョトンとしている。
2022-03-31 21:30:13「ライクム!?今までどこに行って…」 「……こ、これ以上…誰も死なせちゃいけない、って、お、思って…!」
2022-03-31 21:31:09絞り出すような声でライクムはそう言うと、手元のナイフを見つめる。 この館には、探偵や少女たちが見える場所にある限りでは、厨房にある調理用の包丁等以外パレットナイフなどしか刃物類がない。 勿論、個人で持ってきた刃物や護身用の拳銃すら、館に入る時に回収されてしまったのだ。
2022-03-31 21:31:43ライクムの持っているナイフは明らかに、調理用の刃物ではない。 とあれば、この館のどこかにあったのだろうか。それを探しに出ていて、今まで行方を眩ませていたのか。
2022-03-31 21:32:24この館における行動全てはグリムが掌握している。彼女の想像を回る行動をとる必要があると考えたからだろうか。 ……彼の行動原理は推測するしかないが。
2022-03-31 21:32:56グリムが登場したことで緊迫していた空気が、さらに重くなる。 彼を止めるべきか、これを好機として行方不明者の居場所を聞き出し、これから起こるであろう殺人をやめさせるべきか。
2022-03-31 21:33:52「今いない奴らのことを教えてあげようと思ってたけど。それをふいにして、君が今ここでジャックを殺せるのなら、やってみるといいよ。 ほら、早く。 どこにあったナイフだか知らないけど、僕が出てくるタイミングを見計らってたってことは、結構ちゃんと考えてきたんでしょ?」
2022-03-31 21:36:59