・HPVワクチンと検診で子宮頸がんはほぼ消えるって言い過ぎじゃ無い?・HPV非依存性子宮頸がんはどうするの?・ワクチン接種者に検診って意味ある?

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Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

Virologist (Papillomavirus) 主食・おかず・おやつにPapillomavirus パピローマウイルスに関することならなんでも marshmallow-qa.com/amamino_kurousa

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Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

この連ツイは示唆に富んでいます。 ・HPVワクチンと検診で子宮頸がんはほぼ消えるって言い過ぎじゃ無い? ・HPV非依存性子宮頸がんはどうするの? ・ワクチン接種者に検診って意味ある? 全部大事なところで、相互に絡み合っています。 大変なのは予想されるけど、いってみよー😎 → twitter.com/torinoniku1014…

2022-04-26 19:11:48
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

①まず検診もワクチンもない場合の子宮頸がんの粗罹患率を考える必要があります。今現在の各国の子宮頸がん罹患率はそれぞれどの程度検診システムがうまく行っているかによって修飾を受けています(ワクチン関係ないです)。例えば英国、70くらいの検診受診率で約3分の2の子宮頸がん発症を予防している→

2022-04-26 19:11:48
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

と考えられて、検診がなかった場合は年間10万人あたり30人程度(以下この単位で話します)。検診で9人に抑え込んでいる。日本は現在15人くらいですが、祖罹患率は30人から40人の間くらいになるか?検診で半分くらいには抑えてます。世界的には一番高いところで60人くらいになります。これを前提に→

2022-04-26 19:11:49
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

HPVワクチンと検診が理想的(精度の高いHPV検査+トリアージシステムが70%に受診される)に働いた場合。2人以下にできる。これが目標。95%減少して年間10万人あたり1.5人になったとき、ほぼ消えると言っていいか・いけないかは、お任せ。 フィンランドなんか、検診だけで4人に持ってきているので→

2022-04-26 19:11:49
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

ワクチンによる追加の減少は大きくないです。それでも、粗罹患率に対して効果絶大ですし、検診負担を減らすのでワクチン採用に躊躇はない。粗罹患率に対して考えてくださいってことで。 ②扁平上皮癌の5%強と腺癌の30%がHPV非依存性でざっくり子宮頸がんの10%がHPVと関係ないんじゃ無いの?→

2022-04-26 19:11:49
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

これも①と同じ議論をしないといけなくて、分母によります。極端な例を挙げると、9価ワクチンを接種した集団で検診システムがうまく行っている状況で、それでも発症する子宮頸がんを見たら…ほとんどHPV陰性になります。検診だけをとっても、HPV陽性の扁平上皮がんが検診で予防しやすく→

2022-04-26 19:11:50
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

腺癌が検診で見つかりにくいので、検診がうまく行くほど、その集団ではHPV陽性の子宮頸がんの割合は減ります。なのでこれも粗罹患率に対してみる必要がある。あと、HPV陰性の子宮頸がんの場合でも(A)真のHPV感染によらない子宮頸がん(B)子宮頸部原発の他のがん(子宮体癌と同じものが子宮頸部に→

2022-04-26 19:11:50
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

発症したとか)の紛れ込み(C)検査に陰性に出ただけ。これは、子宮頸がんになるとHPVDNAのコピー数が小さくなるから・HPVDNAの大部分がロストしてしまう、から検査で検出しにくくなることによります。HPVDNA検査の子宮頸がんにおける感度と発見・治療対象である高度異形性に対する感度では→

2022-04-26 19:11:50
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

後者の方が高く、臨床上はそれで十分です。じゃ(A)はどの程度、粗の罹患数に対してあるのか?ほとんど0でしょと言うのが、”ほとんど全ての子宮頸がんはHPV感染が原因だ”と言う時の意味になります。 ③じゃあワクチン接種者に検診って意味ある?過剰診断ばかりになるんじゃ無いの?これは同時に→

2022-04-26 19:11:51
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

②の(A)(B)(C)にどうやって対処するって問題でもあります。まずコンセンサスとして(実際にどうやって検診プログラムに反映させるかは別として)初交前にワクチン接種した集団にワクチン非接種集団と同じ検診プログラムを実施する必要はないです。効率も悪いし、負担・害の方が多くなるから。→

2022-04-26 19:11:51
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

特に20代の検診は必要ないでしょう。ワクチンだけで9割以上の子宮頸がんは予防できる上に、経過観察しても治療しても子宮頸がんの罹患率減少や死亡率減少に効かない、過剰診断・治療ばかりになるからです。ほんとは低リスクHPVによるLSILなんて見つけても仕方がない。HSILにしても沢山治療してやっと→

2022-04-26 19:11:52
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

ひとつの子宮頸がんを予防できる、端的に効率が悪い。初交前に大部分の人がワクチンを接種して生涯2回の検診で十分。それ以上の検診はコストに見合わない。 これが(A、B)を予防する時も同じ視点で、端的にこの二つに対して現在の検診は有効な方法でないと言う現実があります。検診しても予防できん→

2022-04-26 19:11:52
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

(C)は高度異形成で見つければいいのですが、(A,B)に関しては、現在の検診法では対処できない。だが、幸い数はほとんどないと言うのが実際のところです。(A,B)を見つけることを念頭に置いた検診システムはコストと弊害から正当化されることはないでしょう。→

2022-04-26 19:11:52
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

それで、世界中の検診システムがHPV検査を一次検診に採用して細胞診・コルポによるトリアージ検査の方向に移行しています。見てわかる様に、HPV陰性の子宮頸がんははなから対象にしていません。検診で見つけるものではない。 →

2022-04-26 19:11:53
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

ワクチンと検診(2〜3回)で子宮頸がんがほとんどない世界(95%以上減って年間対十万1.5人以下)になると言う時の背景でした。 検診を負担最小限に最大の効果を発揮するためにもワクチンは必須。9価集団に検診いらんと言う議論も将来はあるかもしれない→

2022-04-26 19:11:53
Amamino Kurousagi @Amamino_Kurousa

対十万年間2人強くらいになるのと、検診コストのバランス。 まあ、これは実際の数を見ながら検討することになるので、私が生きている間の話ではないな。ギリあるか?

2022-04-26 19:11:54