- rouillewrite
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「いいえ…。誰のせいでもない、ってさっき結論出たでしょう?それに…私のためにアシェルが必死に走り回ってくれたって、マリンから聞きました。 …ありがとうございます。嬉しかったです」 「エリーゼ…」
2022-05-05 21:22:48首を動かしてアシェルの方を向き、エリーゼは優しく微笑んだ。 自分を狙っていた凶器から庇って片目が見えなくなったのに、穏やかな彼女を不思議に思う。
2022-05-05 21:23:33「…何も出来ない私が…私のせいで、みんな死んでしまったから。 今度は守れて嬉しいんです。アシェルが、死ななくてよかった」
2022-05-05 21:24:46掠れたような、安堵したようなエリーゼの声にアシェルはハッと顔を上げる。 瞠目して、穏やかに笑う彼女を見ていられなくて、アシェルは医務室から飛び出した。
2022-05-05 21:25:22何も出来なかった自分が悔しくて。 嫌で、どうしようもなくて。 今度はいつ、「 」と言われるのか分からなくて。
2022-05-05 21:27:48鳥のさえずりがやたらに耳朶を叩いても、ライクムは立ち上がらない。 そういえば、アシェルはどこに行ったか。
2022-05-05 21:30:45自分はこんなところで立ち止まって何をしているのか、と自問自責していたらいつの間にか周りの音は掻き消えていた。 強く握りしめていた自分の両腕に爪の跡が残っていることに気がついて、ようやく目が覚める。
2022-05-05 21:32:16キィ、と小さく音を立てて開かれた扉に気がついたのはほんの一瞬だった。 いつの間にか背中に感じた小さな温もりに気がついて、ちらりと目をやると そこにはアシェルがいた。
2022-05-05 21:33:21「………………。 ……………ナタリアが見えなくてもわかるようないい香りの花探したいんだ、教えて」
2022-05-05 21:35:52ライクムは随分と小さい声で返事をしてきた。 しかしアシェルは返事があったこと自体に安堵の笑みを浮かべ、パッと立ち上がる。先導するように扉の方に行くと、明るく手を伸ばした。
2022-05-05 21:36:48ライクムは弱々しく返事をし、先導されるままのそりと立ち上がると、アシェルについて行く。 自分の足音と少女の小さな足音が響く中で、先を行く彼女にポツリと声をかけた。
2022-05-05 21:38:07