エンターテインメントロイヤー 四宮隆史弁護士が語る 映画と法律 著作権その3

映画の著作権は誰にあるのか、プロダクションか、監督か、やはり出資者なのか? そしてその判断の基になるものは何か? についてわかりやすくつぶやいていただきました。今回は僕の質問も入れてあります。少しだけタイムラインを弄りました。
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四宮隆史 @ebisukara5hun

再び復活しました(笑)。「映画と著作権」今回で最後です。ちょっと長くなりますので関心のない方は無視してください!それから、いずれwebdiceのブログにまとめを掲載すると思いますので、後から気になった方はブログをご参照ください。http://bit.ly/akQdt4

2010-05-05 20:43:57
四宮隆史 @ebisukara5hun

19.前回の続きです。では、「映画の著作物」に該当するものであれば、全て同じように法律上扱われるのか?・・・答えは、NOです。

2010-05-05 20:44:46
四宮隆史 @ebisukara5hun

20.「映画の著作物」には著作権法上「頒布権」という権利が認められます。この権利は劇場用映画が全国各地にフィルムが頒布されて配給される、という特殊形態を取るために認められた権利です。

2010-05-05 20:45:05
四宮隆史 @ebisukara5hun

21.つまり、劇場用映画であるからこそ「頒布権」を認める意味がある・・・逆にいえば、劇場用映画ではない「映画の著作物」には頒布権を認める必要はないのでは??という疑問が出ますよね。

2010-05-05 20:45:23
四宮隆史 @ebisukara5hun

22.そこで、中古ゲームソフトに関する裁判で、最高裁は、「ゲームソフトは映画の著作物だが、劇場映画と同じように頒布権が認められる訳ではない」と判示しました。

2010-05-05 20:45:40
四宮隆史 @ebisukara5hun

23.すなわち、「映画の著作物」の中には、劇場用映画だけではなく、ゲームも、フラッシュムービーも含まれるが「全て同じように扱われる訳ではない!」ということです。

2010-05-05 20:45:53
四宮隆史 @ebisukara5hun

24.このことは「映画監督に著作権があるか?」という議論にも影響を及ぼします。

2010-05-05 20:46:36
四宮隆史 @ebisukara5hun

25.「映画の著作物」の著作権を持つのは、著作権法上「映画製作者」と定められていて、「映画製作者」とは、映画の製作について「発意と責任」を有するものと定められています。

2010-05-05 20:46:53
四宮隆史 @ebisukara5hun

26.「発意」というのは「製作の意思」を意味し、「責任」とは「法的責任」と「経済的な責任」を意味します。

2010-05-05 20:47:10
四宮隆史 @ebisukara5hun

27.前にtweetしましたが、映画ビジネスが失敗しても、映画監督が損害賠償責任を負うことはない。監督が直接スタッフと契約をするケースも少ない。だから、映画監督が「発意を責任」を有する場合は少ないでしょう。

2010-05-05 20:47:34
四宮隆史 @ebisukara5hun

28.しかし、監督が自分で企画して、脚本も書いて、撮影・編集もして、予算の大部分を自分が出して、スタッフとも自分自身で契約した場合は監督に「発意と責任」がある、といえます

2010-05-05 20:47:54
四宮隆史 @ebisukara5hun

29.例えば、ドキュメンタリー映画や自主映画は、こういうケースが比較的多いんじゃないでしょうか。

2010-05-05 20:48:08
四宮隆史 @ebisukara5hun

30.このように著作権法上「映画の著作物」の著作権は、映画の製作に「発意と責任」を有する「映画製作者」にあるが、映画監督がこの「映画製作者」に該当するケースは少ない・・・

2010-05-05 20:48:31
四宮隆史 @ebisukara5hun

31.でも、その可能性はゼロではない。映画が製作された状況によっては監督が著作権を持つ場合も十分にあり得る、ということです。

2010-05-05 20:48:44
四宮隆史 @ebisukara5hun

32.さらに。「映画の著作物」に該当するものでも、全て一律に扱われる訳ではありません。劇場映画とゲームでは違う扱いを受ける可能性があります。実写とアニメでも違います。

2010-05-05 20:49:10
四宮隆史 @ebisukara5hun

33.つまり、映像の性質によっては「監督」や「演出」とクレジットされる人の、法律上の権利や立場も変わる可能性がある!ということです。

2010-05-05 20:49:27
四宮隆史 @ebisukara5hun

34.まとめましょう。まず、(1)著作権法上の「映画の著作物」には劇場用映画だけではなく、他の映像も含まれますが、「映画の著作物」に該当しない映像も存在する。

2010-05-05 20:49:52
四宮隆史 @ebisukara5hun

35.(2)「映画の著作物」に該当するものでも、法律上、全て一律に同様の扱いを受けるわけではない。

2010-05-05 20:50:21
四宮隆史 @ebisukara5hun

36.(3)映像の性質や製作状況によっては、「監督」、「演出」、「制作」とクレジットされる人や団体がその映像の著作権を持つ可能性がある。以上が、法律上の原則です。

2010-05-05 20:50:42
四宮隆史 @ebisukara5hun

37.ですので、「映画の著作権」を考えるためには、まず「映像の性質」(劇場用映画か、実写か、アニメか、ドキュメンタリーか、CMか、資料映像か、ユーストリーム等のライブ映像か、など)を捉えたうえで、

2010-05-05 20:51:28
四宮隆史 @ebisukara5hun

38.「製作の状況(契約関係とか、事業スキームとも言います。)」(出資者が複数いるのか、一社協賛か、脚本家と監督が自腹を切っているのか、など)を捉える。

2010-05-05 20:51:45
四宮隆史 @ebisukara5hun

39.この2点を把握することで、誰が映画製作者で、誰に著作権が帰属するのかを把握することができます。試しに一例を。音楽ライブをただカメラ据え置きで撮影しただけの映像の著作権は?

2010-05-05 20:52:50
四宮隆史 @ebisukara5hun

40.編集も何もしていない状態だとすると、「全体として一個の思想の表現物」とはいえないので、「映画の著作物」には該当しない可能性が高いです。「映画の著作物」に該当しない、ということは、著作権はそれを撮影した人又は団体に帰属します。

2010-05-05 20:54:21
四宮隆史 @ebisukara5hun

41.それからたまにユーチューブで違法に写真をつないでBGMを入れているだけの動画が流れてますよね。これの場合は、どうか?

2010-05-05 20:55:42
四宮隆史 @ebisukara5hun

42.これも「静止画をただ並べただけ」なので「映画の著作物」ではないと判断される可能性が高いです。

2010-05-05 20:56:24