エンターテインメントロイヤー 四宮隆史弁護士が語る 映画と法律 著作権その3

映画の著作権は誰にあるのか、プロダクションか、監督か、やはり出資者なのか? そしてその判断の基になるものは何か? についてわかりやすくつぶやいていただきました。今回は僕の質問も入れてあります。少しだけタイムラインを弄りました。
11
四宮隆史 @ebisukara5hun

43.このように、現代社会では特に「映像」といっても色々ですよね。そして著作権法は、その「映像の性質」によって法律上の保護を変えることを前提としています。だから「映像だから」といって著作権のありかを一律に捉えることは出来ません。

2010-05-05 20:58:56
四宮隆史 @ebisukara5hun

44.では、最後に、複数の出資者がいて、1億円以上の規模で製作する、いわゆる商業的な劇場用映画に限定して、「誰に著作権があるか?」を考えてみましょう。

2010-05-05 21:00:43
四宮隆史 @ebisukara5hun

45.法律に照らせば著作権は「発意と責任」を有する「映画製作者」にあります。そして、多くの場合、この「映画製作者」は、企画をたて、自らも一部出資をして、キャスティングもして、各方面と契約をする、制作会社だといえるでしょう。

2010-05-05 21:02:14
四宮隆史 @ebisukara5hun

46.しかし、これも一概にはいえません。出資者が増えて制作会社が「ノーリスク」の環境を整えたら、いくら企画発案者だからといって「発意と責任」のある映画製作者とは認められません。

2010-05-05 21:03:16
四宮隆史 @ebisukara5hun

47.製作委員会方式について語るだけで一冊の本が出来ますが(笑)、製作委員会といっても在り様は千差万別です。そして、海外との共同プロジェクトの場合、「製作委員会」という日本独特の製作スタイルを海外パートナーが理解できないことも多い。

2010-05-05 21:06:45
四宮隆史 @ebisukara5hun

48.いずれにしても、日本国内製作であっても、海外との共同製作であっても、海外資本のみで製作する場合であっても、「製作の状況」や「関係者の立ち位置」をしっかり整理して、把握すること。これが非常に重要です。

2010-05-05 21:09:02
四宮隆史 @ebisukara5hun

49.製作状況=スキームの把握を間違えると、締結すべき契約の内容を間違えることにもつながります。映画における紛争は、この初期段階での関係者のやりとりに端を発するケースが多いです。

2010-05-05 21:10:37
四宮隆史 @ebisukara5hun

50.ということで、ちょうど「50」になりましたので、終わりにしたいと思います(笑)。以上の法律上の原則を踏まえた上で、「映画と著作権」について、より具体的な類型に応じてtwitterで議論できれば面白いかな、と思います。

2010-05-05 21:13:01
榎本憲男★『サイケデリック・マウンテン』絶賛発売中!!! @chimumu

四宮先生、ありがとうございます。通常の商業映画の場合は、監督の発案・脚本・シナリオ(発意)であっても(ここまでは、ままある)、自らは出資していない(経済的な責任がない)のが一般。故に監督に著作権がないという理解でいいでしょうか? RT @ebisukara5hun ということで、

2010-05-05 21:14:50
四宮隆史 @ebisukara5hun

@chimumu そうですね。「発意」とは「製作の意思」です。衣のつく「製作」ですね。つまり、「製作の意思」とは「映画を作って商売をする意思」です。監督にこれがない以上、経済的な権利である著作権が監督に帰属することはないです。

2010-05-05 21:19:02
四宮隆史 @ebisukara5hun

@chimumu 例えば監督が「ギャラは半分でいいから、残りの半分は労務出資にさせて欲しい」といった場合。この場合は、金銭的な出資はありませんが、労務出資というかたちで「リスク」を背負いながら「商売をする意思」が認められるので監督にも著作権の一部が帰属します。

2010-05-05 21:22:15
榎本憲男★『サイケデリック・マウンテン』絶賛発売中!!! @chimumu

制作会社の場合はどうでしょうか。キャスト・監督の選定、シナリオ開発を経て出資を募り、幹事会社を決定し、製作委員会の組成を強く促した。しかし、自らは出資せず、製作委員会のメンバーではない。この場合、この制作会社に著作権はないのでしょうか(経済的な責任の最終的には負っていない故)?

2010-05-05 21:21:06
四宮隆史 @ebisukara5hun

@chimumu 制作会社が、キャスト、監督、脚本家を選定する段階で各プレイヤーと契約をした場合は、出資がなくても「法的責任」は負っているので著作権が認められる可能性は高いです。でも契約をしないか、契約を全て幹事会社に移譲した場合、制作会社のリスクはかなり軽減されますよね。

2010-05-05 21:25:29
四宮隆史 @ebisukara5hun

@chimumu さっきの場合は、制作会社に著作権が帰属する可能性は低くなるといえます。でも、だからこそ、制作会社としては、「契約」によって著作権又は何らかの受益権を勝ち取ることが重要になるんですね。ここは契約の交渉力の問題になりますね。

2010-05-05 21:27:04
榎本憲男★『サイケデリック・マウンテン』絶賛発売中!!! @chimumu

そうですね。つまり、制作会社が企画開発し、出演・演出等の契約を交わした場合は、たとえ出資していなくても著作権を取る努力をするべきだ。なぜならばその可能性があるからだ。 @ebisukara5hun: @chimumu さっきの場合は、制作会社に著作権が帰属する可能性は低くなる

2010-05-05 21:31:15
四宮隆史 @ebisukara5hun

@chimumu ですね。プロジェクトを俯瞰して法律上の著作権がどこに帰属するかを把握した上で、「契約交渉」によって自分が欲しい権利を獲得していく。力関係によって「交渉」自体が成立しないケースも多いですが、「努力」する価値はあると思います。

2010-05-05 21:37:25