- rouillewrite
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ぼんやりとする視界の中で、ずっと押さえつけられているように痛む胸が、自分の死を予見していた。 もう未来を、見る必要もない。
2022-05-15 22:57:25倒れた拍子に転がった帽子を、歪む視界の中で抱き込んだ。 父の形見。ずっと、大事に持っていたそれを、手放したくなくて。
2022-05-15 22:58:54…多分、ナターシャくんは天国行き…だよね。 嗚呼、それじゃあもうナターシャくんには会えないじゃないか。 ちゃんと面と向かって謝ることすらできないのかい、僕は。
2022-05-15 23:01:11いや、仕方ないかな。 僕はそれくらいのことをしたんだし。 僕は地獄でやらなきゃいけないことがあるから。
2022-05-15 23:01:46僕は地獄で、アイツを地の果てまででも追いかけて、追い詰めて、殺さなきゃいけないから。そうしなきゃ、僕の気が済まない。
2022-05-15 23:02:22父さんも母さんも、天国行きだ。 僕が何をしているのかなんてわからないだろう。 きっと、僕がこんなことをしていると知ったら悲しんでしまうだろうから、丁度いい。 …でも、もしかしたら僕のことを待ってくれているのかもしれない。 …それは、申し訳ないね。
2022-05-15 23:02:57グリムくんはきっとこっち側だから、いつかはまた会えるだろう。 その時は…彼女の復讐相手の話でも聞けたらいいな。教えてくれるかはわからないけれど。
2022-05-15 23:03:26────復讐する以上、死ぬことは恐れないつもりだったけど…。 …ふふ、やっぱり怖い、な。…でも、
2022-05-15 23:04:14死にたくないなんて、“私”に言う権利はないよね。 ティアくんも、ナターシャくんも、死にたくなかったんだろうから。
2022-05-15 23:04:36彼女の手袋を外して、いつものようにその手に傷をつけた。10歳の少女にしては随分傷だらけなその手に、触れて。 復讐を刻む、大事な数字を。 忘れないために。 忘れさせないために。
2022-05-15 23:08:02「───そうだなぁ。 また会おうねぇ。 オリヴィア・ブラッドベリー。 君は箱を開けられた、僕と同じ人間だから。 …あの男も、そっちに送ってあげるよ。 地獄で待ってて」
2022-05-15 23:09:17