平賀源内が「土用の丑の日にうなぎを食べよう!」と宣伝した…はガセ/~では、いつからそんな俗説が広まったの?

語られたのはすこし前のようなのですが、今年の「土用の丑の日」が近くなる中で再紹介されて目にしました。
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2020年

杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

日々.雑学を垂れ流すアカウント/三省堂:異名・ニックネーム辞典/作詞:ショムニ主題歌.ピンクの弾丸.等/単行本を10冊ほど「異名・ニックネーム辞典」など/SBSラジオで雑学語り10年/源氏物語:「知泉源氏」執筆中pixiv.net/user/25099132/…

杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

#ガセ雑学 >土用の丑の日は平賀源内が考案したキャッチコピー というのは誰もが知っているけど、実際にはガセ。 夏場、売り上げが落ちたウナギ屋に頼まれ平賀源内が『明日、土用の丑の日』というキャッチコピーを考案。店頭に貼りだし夏場の痩せたウナギが大人気になった。 と言われているが (↓続

2020-05-14 18:20:02
杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

平賀源内がそのような事を書いた文献はない。 Wikipediaでは風来山人名義の『里のをだまき評』で「土用の丑の日に鰻を食べると滋養になる」と記述したと書かれているが、実際にはそのような文面はなく、その中でウナギの記述は「深川の地は陽気がよく、牡蠣・蛤・鰻が捕れる」としか出て来ない。 (↓続

2020-05-14 18:20:03
杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

平賀源内に関して、明治29年に生前の記録を妹の子が集めた資料を基に『平賀源内』という伝記本が出ているがそこにはウナギの話はない。 初めて平賀源内と土用丑を繋げた文献は、死後133年、大正2年に書かれた『神田の伝説』の中にある。売り上げが落ちたウナギ屋のコピーを書いた話として。 (↓続

2020-05-14 18:20:03
杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

土用の丑の日とウナギがいつ結びついたのかというと、文化文政時代の曲亭馬琴の日記や、近代風俗氏の基礎資料になる『守貞謾稿』にもない。 『山形経済志料』に「天保年間(1831-45年)は土用丑に鰻を食べる習慣は無かったが、嘉永年間(1845-55年)に誰彼もが食べるようになったと書かれている。 (↓続

2020-05-14 18:20:04
杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

そして『山形経済志料』では明治時代に入って土用丑は廃れてしまったと書かれている。 どうやらそのタイミングで前述の大正2年『神田の伝説』が書かれ、そこから「平賀源内が土用の丑の日にウナギを食べようと言い始めたんだってさ」がスタートしたらしい。 (↓続

2020-05-14 18:20:04
杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

ちなみに「土用の丑の日=ウナギ」は古くから言われているが、平賀源内とセットで盛んに語られるようになったのは平成以降。1971年のNHKドラマ『天下御免』や、石森章太郎の1987年の漫画『平賀源内 解国新書』でも扱われていない。 詳しくは↓ facebook.com/permalink.php?…

2020-05-14 18:20:04
小暮 宏 @yapoono6

@tisensugimura ガセであること自体が有名かと思ってましたが。

2020-05-15 06:57:55
二茂 @nimo_42

@tisensugimura 平賀源内がキャッチコピー考えた説、中島らものコラムで読んだ気がします。多分らも氏がまだコピーライターの肩書きだった頃だから平成入るか否か辺りだったかなぁ

2020-05-15 21:47:02

2021年

近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

@tisensugimura 私がおさえている資料の中で、平賀源内と土用丑の日の鰻を結びつけた最古の文献は、明治38年の『月刊 食道楽 第一巻第三号』「妙なうまい物案内(其三)」(清九郎)になります。 その頃には何らかの書籍に書かれていたようです。 syokubunka.or.jp/library/magazi… pic.twitter.com/WN1V5RGIVh

2021-07-25 10:47:08
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フナと納豆のひと🔥(元マンボウ拾ったひと) @wormanago

@ksk18681912 私も初出を調べていたのですが、これより前が見つかりません。

2021-07-25 10:56:34
近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

@tisensugimura ちなみに大田南畝説も明治39年の『月刊 食道楽 第二巻第八号』「鰻料理の話」(ろくせん)に登場しており、平賀源内説並に古かったりします。 syokubunka.or.jp/library/magazi… pic.twitter.com/5r70UNN22v

2021-07-25 10:57:33
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BEAUTIFUL PHOTOS @ProPhotoHiro

@ksk18681912 @tisensugimura これはネットのパワーを感じる事例です。資料や知識を持っている人物が、誤った情報をすかさず訂正する。誠に素晴らしいことです。私も勉強になりました。ありがとうございます。

2021-07-26 05:11:04
杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

松本零士も1989年に大量の資料をかき集め『GENNAI 明日から来た影』という書き下ろしコミックを出版しているけど、さまざまなエピソードが描かれている中、ウナギの話はまったく出てこない。 pic.twitter.com/47d9K2nhzD

2021-09-05 22:46:22
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杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

藤栄道彦さん『最後のレストラン 19』 安定の面白さですが、平賀源内が出てくる回なので「まさかアレを描いてやしないか」とドキドキしながら読む。すると途中に「ウナギを売る方法も」とあり、アチャーッやっぱし!と思うけど、その後ちゃんと「丑の日の逸話も証拠が無い」とあってひと安心。 (↓続 pic.twitter.com/awEzuvbHTD

2022-06-01 12:15:31
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杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

平賀源内さん、アレコレ手を出したけど大成功まで行かないことばかりで、漫画で描かれているように悩み多き人生だったと思うし、最期は破傷風での獄中死だし悲しい。 葬儀などは友人の杉田玄白が行っているが、なぜか幕府の許可が下りず遺体も遺骨も無い謎多き葬儀だったという。 (↓続

2022-06-01 12:15:32
杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

つまり誰も平賀源内の遺体を見ていないという最期。 そのために、パトロン的な田沼意次が監獄から連れ出し領地である遠州相良藩で80歳過ぎまで長生きしたという噂もある。 かつて自分が途中まで描いた「やじきた」では相良で老発明家に出逢う話も考えた(けどそこまで描けなかった)。

2022-06-01 12:15:33

2022年

杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

ちなみに「平賀源内が”土用の丑の日にウナギを食べるのだ!”とキャッチコピーを考案したというのは根拠となる文献が無い」という話はこちらで twitter.com/tisensugimura/…

2022-06-01 12:35:56
バンバ @tamaru13

@tisensugimura amazon.co.jp風雲児たち-第6巻-海から来た男-希望コミックス-111/dp/4267900906 自分は風雲児たちで知りました。 子供の頃、源内ブームのようなのありましたね。

2022-06-01 16:00:03
杉村喜光:知泉(源氏物語の漫画、執筆中 @tisensugimura

日々.雑学を垂れ流すアカウント/三省堂:異名・ニックネーム辞典/作詞:ショムニ主題歌.ピンクの弾丸.等/単行本を10冊ほど「異名・ニックネーム辞典」など/SBSラジオで雑学語り10年/源氏物語:「知泉源氏」執筆中pixiv.net/user/25099132/…

藤栄道彦 @michihikofujiei

@tisensugimura ありがとうございますー。 最近、下調べとかするのにもまったく時間が取れず、ひいひい言いながら描いてますけれど、とにかく話数をこなすのも大切なことですしねえ。

2022-06-08 04:00:05