【乞うご意見】ゲーマーは何をし、科学者は何が出来なかった?9/23読売報「ゲーマー、科学の難問を3週間で解明」報道を検証する
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ρ(x) = A0 + 10 sin(2πx) (赤がρ(x)) http://t.co/CrAsQ7Zg
2011-09-27 00:56:11ρ(x) = A0 + 10 sin(2πx) + 10 sin(4πx) http://t.co/2K0n5B3a
2011-09-27 00:57:52ρ(x) = A0 + 10 sin(2πx) + 10 sin(4πx) + 10 sin(6πx) http://t.co/lM8NyGZw
2011-09-27 00:59:18で、お気づきの様に電子密度は原点対称(奇関数)とは限らない訳で、ケイ子ちゃん。そこで必要になるのが、φnの位相。
2011-09-27 01:04:04ρ(x) = A0 + 10 sin(2πx) + 10 sin(4πx) + 10 sin(6πx + π/2) (位相をずらした4項をミドリに) http://t.co/pJ25G5TN
2011-09-27 01:07:29ρ(x) = A0 + 10 sin(2πx) + 10 sin(4πx) + 10 sin(6πx + π) (位相をずらした4項をミドリに) http://t.co/pdBpNxoX
2011-09-27 01:08:11これがX線結晶構造解析の実験においてどういう意味を持つかというと、普通の結晶にX線を当てて得られる強度データ(よく目にする点々の写真)からは、三角関数の係数Anのみ。
2011-09-27 01:16:41で、位相φnを求めるためには、別途必要なプロセスがあって、それがここ http://t.co/8eg3Z9pA にもある「位相決定」のプロセスであり、この論文のキモでもアリ。
2011-09-27 01:21:43で、位相の決定法としては、古くは重原子同型置換とか、シンクロトロンでX線の波長可変になってからは同じく重原子を用いて多波長異常分散などなど、別途新たに結晶に重原子(水銀だったり場合によってはウラン化合物なんかの場合も、まぁ色々)を導入する必要が。
2011-09-27 02:17:07と、実験の上でも大変だったり、と言う事情と、これまでに解析された結晶構造のPDBデータも増えてきた頃に(と、同時期にゲノムの解読が進んで、相同性の高い遺伝子のデータも得られつつあった事も)より簡易に位相を得る方法として、分子置換法が。
2011-09-27 02:37:13もっとも方法論としては、それ以前からもある程度研究されていたハズで、例えばリガンドの無い結晶構造を元に、基質が付いて構造変化したたんぱく質(酵素)の構造解析などにもこの分子置換法が。
2011-09-27 02:40:37で、その「分子置換」とは、実験でφnを求めるのではなく、それらの様に既に解析された構造、すなわち先のグラフにおける「赤」を元にして、個々の「青」に対するφnを求めよう、と言う方法。
2011-09-27 02:47:27より正確に言うなら、グラフの「赤」は計算によって得られた「密度」なのに対し、モデルは具体的な「座標」。もっとも、「電子」には波動関数的広がりもあり、またアミノ酸は揺らいでいたり、結晶中のたんぱく質も水溶液中にあるのでそれらには水和した水を考慮する必要があるなどなど。
2011-09-27 02:57:38つまり分子置換法は、既知の構造を元にして実験によってではなく計算で位相φnを求める、と言ういわゆる「逆問題」の一つ。
2011-09-27 03:02:07で、このプロテアーゼの結晶に対しても、普通の重原子導入による方法のみでなく(と言うかこれが上手くいかんかったんかと)、既知のホモダイマーの構造やNMRによって得られていた構造を元にこの分子置換をやったけど、これさえもことごとくアカンかった、と。
2011-09-27 03:11:33そこでFolditによる「モデル」でこの分子置換をやってみたら、ゲーマーの貢献もあって三週間弱でちゃんとした位相が付きました、と言うところ。
2011-09-27 03:23:20かの島津の田中耕一氏がとってもう9年か。で、2002年に同じ化学賞を受賞したのが、スイスの構造生物学者のクルト・ヴュートリッヒ http://t.co/WX9Hdd3Q で、受賞理由が「タンパク質を構造解析する手段としての多次元核磁気共鳴法の先駆的研究」なのだけど(続
2011-10-03 02:03:47いわゆる、溶液のNMRによる構造解析法の確立には、「X線結晶構造解析においては、(特に90年代以前は)良質の結晶が得られるか否か」が、一つの律速段階、と。なので、「結晶化によらない溶液のまま解析する手法」が求められた、と言うところかと。
2011-10-03 02:10:52で、(フリーモデルにアプローチもとい「Lipari-Szaboのモデルフリーアプローチ」とかのハナシは\(・_\)(/_・)/こっちに置いといて)磁場中のスピンの共鳴周波数は周囲にスピンがあれば、その双極子-双極子相互作用で局所的環境を反映するよね、と言う物。
2011-10-03 02:28:21だったら、その局所的環境(大雑把に双極子-双極子相互作用が及ぶ5Å程度だっけ?)と言う近距離情報に基づいて、たんぱく質等の全体の構造を再構築出来ないか?と言ったコンセプト。
2011-10-03 02:32:34で、確かに方法としては、X線結晶構造解析とガチンコ勝負して、まぁ「勝った」のではあるが(同時に開始して、何ヶ月以上の差をつけて先行かつ同様の成果を)。
2011-10-03 02:41:21