クライ・ハヴォック・ベンド・ジ・エンド #7

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは回転蹴りと回転蹴りの繋ぎ目に正拳突きで割り込まれ、アバラに精密な打撃を受けた。かつて自分自身を鋼鉄化するジツを持ったニンジャを、ニンジャスレイヤーは決して中断する事のない打撃連打で強引に殺した事がある。トゥールビヨンにはこのセオリーが通じない!

2011-09-28 14:24:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

さらに、その正拳突きは奇妙であった。トゥールビヨンはニンジャスレイヤーに叩きつけた拳を引かず、拳を押し当てたまま、なお一歩踏み込んだのだ。ビシッ、ビシ、ビシ……トゥールビヨンの全身の関節稼働音が拳を伝い、ニンジャスレイヤーの骨を伝って不気味な木霊を響かせる。直後!「グワーッ!」

2011-09-28 14:36:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは突如ワイヤーで引っ張られたように回転しながら吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた!タツジン!まるでマジック!だがこれはカラテだ!エスケープメント・ジツを攻撃に転用した変則的ワン・インチ・パンチである!「格の違いを見せてやる!格の違いを!」トゥールビヨンが吠える!

2011-09-28 14:54:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」壁をずり落ちながらニンジャスレイヤーは早くも反撃を開始!スリケンの連続投擲だ!十枚、二十枚、三十、四十、五十!「スリケンに私のエスケープメント・ジツは効かぬと見たか?ならば教えてやろう、そんな事は無い!」トゥールビヨンは例の構えを維持しながら摺り足で前進!

2011-09-28 15:32:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ビシッ、ビシ、ビシ、ビシ!おお、なんたる事か!トゥールビヨンの手のひらが受ける無数のスリケンはその手に到達するや推力をゼロにされ、垂直にポロポロと落下する。衝撃はトゥールビヨンの身体を伝って足元へ逃げ、 床にヒビを入れ砕いてゆく……トゥールビヨンが壁際のニンジャスレイヤーに迫る!

2011-09-28 15:53:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

これは実際強敵!スリケンを投げながらニンジャスレイヤーは舌を巻いた。推し量れる実年齢からは想像のつかぬ洗練されたカラテ。しかし……ならば、それゆえに!今この場で成長の芽を摘まねばならぬ。ここで逃がせばさらに強大な敵となりニンジャスレイヤーに立ちはだかるはずだ。必ず殺すべし!

2011-09-28 16:28:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その時だ!ブガーブガーブガー……トゥーン。警報音が突如鳴り止み、赤い警告ライトが正常化した!「システムリカバリ重点ドスエ」響き渡るマイコ音声。「何……」ニンジャスレイヤーは眉根を寄せた。トゥールビヨンは前進しながら勝ち誇る「貴様の企みはお終いだな。機関室のネズミが狩られたのだ」

2011-09-28 16:43:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……!」「そうだ、これがダークニンジャ=サンの王者的判断力、そしてリーダーシップだ!この程度のアクシデントはあの人の最適な行動で呼吸するがごとく解決……」トゥールビヨンの口上をさらなるマイコ音声が遮る。「実際エマージェントな。当ハンマーシリンダー機構を強制稼働するドスエ」

2011-09-28 16:50:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが仕掛ける!一度に十枚のスリケンをショットガンめいて投擲!この目くらましの陰に隠れるように、スライディングタックルをかけに行く!「くだらんぞニンジャスレイヤー=サン!」奇襲に対応すべく電撃的速度でスリケンを無力化しながらトゥールビヨンは叫ぶ。

2011-09-28 16:53:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(しかし……強制稼働とは?)トゥールビヨンはわずかに困惑した。マイコ音声が続ける。「ハンマーシリンダー強制稼働にともない当施設は自壊可能性重点、地盤の破砕とともにシリンダー装置の損壊、火薬類の誘爆重点。作業員、オペレータの皆様は覚悟してハイクを詠むドスエ。カラダニキヲツケテネ」

2011-09-28 16:59:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(な!?)トゥールビヨンのニューロンが加速し、思考が乱れ飛んだ。(ダークニンジャ=サン!?一体それはどういう事ですか?各稼働部の接合・溶接がいまだ不完全な今、いきなりシリンダーを稼働すれば……)ハンマー機構は地盤を貫通・破壊し、当初の目的は確かに達成できる、しかしそれでは……。

2011-09-28 17:15:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

破壊されたシステムを一から直していれば工期が遅れる……地盤破壊の目的をつつがなく達成するべく、乱暴にタイムイズマネーしたのか?この施設を鉄の棺桶と化して……トゥールビヨンの身もこの崩壊に巻き込んで?「捨てられたな。トカゲの尻尾切りか」悪魔めいたニンジャスレイヤーの囁き!

2011-09-28 17:27:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その瞬間、ニンジャスレイヤーのスライディングタックルはトゥールビヨンの両脚に絡みつく!関節技だ!ウカツ!だが微かな疑念を無慈悲に押し広げたニンジャスレイヤーの断定は、未熟な彼の意識を、ダークニンジャへの崇拝を汚していた!「嘘だ!」トゥールビヨンは叫んだ。そして関節技を潰しにゆく!

2011-09-28 17:32:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

確かにトゥールビヨンのエスケープメント・ジツは、組み技、特に関節技に対しては有効に機能しない。だがそれは彼自身重々に承知しており、日々、ジュードーとコマンドサンボのトレーニングを欠かさなかった。だからトゥールビヨンはニンジャスレイヤー……「イヤーッ!」「え?グワーッ!?」

2011-09-28 17:35:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フェイント!トゥールビヨンがニンジャスレイヤーを潰すべく拳を振り上げた時には、既にニンジャスレイヤーは脚絡みの試みを解き、膝立ちになっていた。一連のセットプレーだったのだ。そして斜め上に突き上げられた拳がトゥールビヨンの顎を直撃!かち上げられるトゥールビヨンの身体!

2011-09-28 17:44:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グ、グワーッ!?」意識外からのポムポムパンチを食らったトゥールビヨンは机よりもやや高い高さへ打ち上げられ、もがく。落下まで僅か一秒足らず。だがそれが死線!天井にぶつかるわけでもないこの中途半端な高度はニンジャスレイヤーの絶妙なカラテコントロールの産物だ!「……ニンジャ殺すべし」

2011-09-28 17:49:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

トゥールビヨンのニューロンは焼けるほどに輝き、打つべき手を探した。……ダメだ。この後に間違いなく放たれる致命的な一撃……その衝撃力をエスケープメント・ジツで逃がし、押しつける先が無い!壁が無い!床も無い!天井も無い!トゥールビヨンには拠って立つものがない!おぼつかない空中だ!

2011-09-28 17:55:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

トゥールビヨンの視界から現世が吹き飛び、虚空に自身の短い人生がソーマト・リコールする。(俺は死ぬのか?このまま下層のゴミ虫どもと一緒くたに、このシリンダー装置の残骸にまみれて死ぬのか?ダークニンジャ=サン、どうしてこんな事を?……死にたくない!まだ死にたくない!)

2011-09-28 18:11:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ダークニンジャ=サンは何故?……任務だ、任務が全てだ。トゥールビヨンは組織の尖兵。組織の大目的と尖兵一個の命ではどちらが大事か?答えは自明!地盤は妨害の中で予定通り粉砕され、コフーン遺跡への道は拓かれる。そうだ、喜ぶべきだ!ザイバツ・バンザイ!ダークニンジャ=サン!バンザイ!)

2011-09-28 18:22:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ギルドそしてダークニンジャに栄光あれ。迷いは晴れた。そしてトゥールビヨンは運命に抗おうとした。ニンジャスレイヤーが攻撃を繰り出してきたならば、そのインパクトの瞬間にその衝撃力を返すべし……ニンジャスレイヤー自身の身体に!そんな事が可能なのか?知らぬ、やるのだ!とにかくやるのだ!

2011-09-28 18:54:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは瞬時にスリケンを四枚同時に投擲した。「グワーッ!?」トゥールビヨンの両肘、両膝にスリケンが突き刺さる!ダメージを逃がす場所は無い!ナムアミダブツ!希望は容易く潰えた!そしてニンジャスレイヤーが跳躍……!「イヤーッ!」「グワーッ!」

2011-09-28 19:01:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーの射抜くような飛び蹴りは空中のトゥールビヨンの背骨を逆向きに蹴り上げ、一撃で砕き折った。エビぞりになったトゥールビヨンは真上に蹴り上げられ、天井にバウンドしたのち、受け身も取れず床に叩きつけられた。ニンジャスレイヤーはその頭を足で踏みつけた。「ハイクを詠め」

2011-09-28 19:11:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……アバッ……」メンポから血泡が零れた。ニンジャスレイヤーは無感情にそれを見下ろす。トゥールビヨンは足首を掴もうとしたが、果たせなかった。そして言葉を押し出した。「ニンジャの社会……黄金の時代が幕開けだ」「イヤーッ!」「サヨナラ!」ニンジャスレイヤーは無慈悲に頭部を蹴り潰した。

2011-09-28 19:16:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……幕開けなどさせぬ」ニンジャスレイヤーは呟いた。そして管理者デッキに足早に近づく。背後でトゥールビヨンの死骸が爆発四散した。フジキドの胸中に、この若いニンジャへのアワレはあっただろうか?殺された息子トチノキを重ね合わせる事は?彼は無言でデッキを操作する……。

2011-09-28 19:19:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

キーをわずか一つパンチするだけで、モニタに大写しになる「デキマセン」の文字。さらに「最高権限者による強制稼働命令受け入れ済な」。画面下部には「36089」と表示され、見る見るうちに、その数字は実際物凄い速度で減ってゆく。ブガーブガーブガー!先程とは別種のアラートが鳴り響いている。

2011-09-28 19:28:03